アルファタウリF1代表フランツ・トスト 「私たちには強力なチームがある」 / 2022年 アルファタウリ AT03 発表 Q&A
スクーデリア・アルファタウリのチームプリンシパルを務めるフランツ・トストが、2022年F1マシン『AT03』の発表でQ&Aに応えた。

2021シーズンのスクーデリア・アルファタウリは22戦中19戦でポイントを獲得し、チーム史上最多獲得ポイントを記録しました。この成績は2022シーズンに向けてどのような意味を持っていますか?
チーム史上最多獲得ポイントを記録して終えた2021シーズンには満足しています。

私たちにはファエンツァとビスターに強力なチームを抱え、私たちと協働する非常に優れたパートナーも数多くいます。2022シーズンも強力なパフォーマンスを続けていけることを願っています。

アルファタウリとの関係の重要度を教えてください。
私たちはスクーデリア・アルファタウリとして3年目のシーズンを迎えます。私たちと密接に協働しているアルファタウリとの素晴らしい関係を継続していく予定です。特に研究開発や新たなテクノロジーの活用において、ファッションとF1には多くの共通点があります。

アルファタウリはファッションの世界でイノベーティブな存在になるべく新素材の開発に取り組んでいますが、これはF1も同じです。どちらの企業も、最新テクノロジーを市場へ持ち込み、可能な限り最高の素材を提供するために懸命に取り組んでいます。もちろん、ファッションブランドとの協働には大きなメリットもいくつかあります。おかげで、私たちのチームメンバーはサーキットの内外で常に正しい身なりをすることができています。

2021シーズンは刷新されたテクニカルレギュレーションが導入されます。この変革でレースが予測不可能になり、チーム間の序列に変動が起きると思いますか? それとも、ヒエラルキーに大きな変動はないのでしょうか?
今すぐに答えるのは難しいですね。というのも、完全に新しくなったテクニカルレギュレーションは全チームが新世代マシンを白紙から設計しなければならないことを意味しているからです。レギュレーションですべてが厳しく制限されているとはいえ、あるチームが極めてオリジナルなソリューションを見出して、パフォーマンスのアドバンテージを手にする可能性は十分に考えられます。

メカニカルからエアロダイナミクスまでのすべてが新しくなりますから、チーム間の力関係を予想するのは簡単ではありませんが、個人的にはマシン間のパフォーマンス差がより接近することを望んでいます。現実を言えば、最初のテストを終えた時点でのスクーデリア・アルファタウリのパフォーマンスの予想くらいしかできません。より具体的な全体像を手にするまでは序盤の2、3レースを終えるまで待たねばならないでしょう。

F1では、大幅なルール変更のあと予算が最も潤沢なチームがアドバンテージを手にするときがあります。コストキャップが導入されたことで状況は変わると思いますか?
今年は予算上限がさらに500万ドル(約5億7,800万円)分引き下げられたので、コストキャップの影響はあると考えています。状況の変化は起きるべきですが、昨夏までトップチームは大所帯ゆえのアドバンテージを得ていて、研究開発も次々と進めることができていました。シミュレーションツールの使用では特に大きなアドバンテージを得ていて、複数のアイディアを試しながらベストソリューションを見つけることができていました。

ですので、一部のトップチームにアドバンテージが残っていると言えますが、トップチームと中団以下のチームとの差は縮まるはずですし、すべてのマシンが近づくはずです。新世代マシンの登場によってレースアクションが増え、チーム差がなくなれば、F1は観客にとってより楽しめるものになるでしょう。

ですが、コストキャップ制度が実効性を持つのは、さらなる予算削減が実施される2023シーズンになると考えています。なぜなら、その時点でアドバンテージを持っているチームはいないはずですし、誰もがコストキャップの制限内に収まるようにするはずだからです。

昨シーズンの私たちは上限より遙かに少ない予算で運営していたので、コストキャップは懸案事項ではありませんでした。ですが、刷新された今シーズンのニューマシンは過去数シーズンのマシンよりもかなり高額になっているようです。このため、どのチームも限度内に留まることが難しくなりますが、コストキャップ導入でパフォーマンスの格差が縮まるはずなので、私はとてもポジティブに捉えています。

今回のルール変更が狙い通りの効果を発揮し、マシンの接近戦が増えて、レースがよりエキサイティングになると考えていますか?
低中速コーナーのマシンは以前よりも接近できるようになると思います。高速コーナーについては、やや懐疑的です。なぜなら、車幅が広く大きなタイヤを履いたマシンの後方には常にダーティエアが存在するからです。ですので、前走マシンへの接近が簡単になることにはまだ確信を持てません。最初のテストが終わった時点で判断したいと思います。

ホンダがF1を撤退したことで、パワーユニットには何らかの変化があるのでしょうか?
大きな変化があるとは思いません。ホンダは素晴らしい仕事をしてくれましたので、昨シーズンと同じくらい優れたパフォーマンスになることを望んでいます。より大きな変化は、パワーユニットで使用される燃料です。今年からバイオ成分の含有率が10%へ引き上げられました。この変更には若干の調査が必要になりましたし、パワーユニットも一部改良されました。新規定の燃料でも昨シーズンと同じパフォーマンスが見込めるパワフルなパワーユニットになることを望んでいます。

史上最多となる全23戦が用意された興味深いシーズンへの準備は整っているように見えますが、2022シーズンはかなりタフになると思いますか?
昨シーズンは各レースが非常に興味深く、常にバトルが展開されていたのでラッキーでしたが、常にこのようなシーズンを過ごせるわけではありません。ですので、個人的には年間23戦は限界値だと思っています。仕事量が理由ではありません。これほど多くのレースが開催されることで結果的に世間がF1への興味を失ってしまう可能性を懸念しているからです。

個人的には、年間18戦から20戦が妥当だと思います。なぜなら、F1はプレミアムなプロダクトであるべきだからです。その特別感を維持するためにレース開催数を減らすことを本気で検討すべきでしょう。個人的には年間23戦でもそれ以上でも構いません。問題はそこではありません。F1の未来にとって何が最善なのかが問題なのです。

ドライバーラインアップは昨シーズンと変わりませんが、ピエール・ガスリーと角田裕毅にはどのようなパフォーマンスを期待していますか?
このドライバーラインアップには非常に満足しています。ピエールは素晴らしいドライバーで、私たちが優れたマシンを用意できれば表彰台でフィニッシュできる能力を示してきました。裕毅は非常に高いスキルを持ったドライバーで、昨シーズンの終盤3戦のように、非常に優れたパフォーマンスを何回も示しました。

裕毅にとって、2021シーズンはF1ルーキードライバーの典型的な1年となったので、低迷やミスは必然でした。F1デビューへ向けて彼をしっかり準備させたので、シーズン序盤は何回か良いパフォーマンスを見せてくれましたが、その後は、未経験のサーキットでのレースが続きました。また、当然ながら、F1という厳しい競争の中でルーキドライバーがすぐに結果を出すのは簡単ではありませんでした。

ですが、シーズン終盤を迎えると、マシンやテクニック、そしてエンジニアとの関係の習熟度を高めたことで、本当に優れたパフォーマンスを発揮してくれました。アブダビGPは4位でフィニッシュしましたし、彼の競争力がさらに高まることを確信しています。

ピエールもリードドライバーとして素晴らしいリザルトを持ち帰れることをすでに証明していますし、今年の両ドライバーにはかなり期待しています。

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カテゴリー: F1 / スクーデリア・アルファタウリ