フェルナンド・アロンソ
フェルナンド・アロンソが、ホームレースの一つスペインGPを前にコリエレ・デラ・セラ紙のフラビオ・バネッティによるインタビューに答えた。

今、何より気になるのは、「フェラーリスタ」であることが5月9日のバルセロナでのレースにどう影響するかです。有利に働くのか、それとも大きなプレッシャーですか?
間違いなく、有利に働くだろう。観客の期待が大きいので、裏切らないように全力を尽くすよ。バルセロナではブレーキのタイミングを5メートル遅らせて、2秒早くアクセルを踏むつもりだよ。

恐れるものはないということですね。ところで、親指に1000万ユーロの保険を掛けたそうですが。例えるならば、F1界のピアニストですか。
サンタンデール銀行が保険業務を始めたため、僕が宣伝を兼ねて加入することになったんだ。ドライバーは親指を酷使するからね。

F1チャンピオンとして、事故の脅威にはどのように対処していますか?
あまり意識していないよ。身体能力に依存する仕事なので、常に冷静でいることが重要なんだ。何事にも細心の注意を払い、不安を残さないようにしている。レースでは、いつもトップを目指しているからね。

現実的な性格に見えますが、運命に従っているのですか?
運命は自分で変えることができる。中国GPではフライングを犯してしまったけど、あれは自分のミスであって運命ではない。

あのようなミスの後はどうしていますか?
反省するし、自分に失望もするよ。後から振り返ってみる。心が折れてはいけないし、逃げてもいけない。

あなたは一流のドライバーで、フェラーリも特別な存在です。やはり出会うべくして出会ったのでしょうか?
自分が一流かどうかは分からないけど、僕もフェラーリもレースに情熱を注いでいる。もっと冷めたチームに所属するのは少し違和感があった。ラテン系のドライバーが2人そろっていることも、かなり刺激になっている。

出会うのが遅すぎたとは思いませんか?
別々の道を歩んでいたけど、時間を無駄にしたとは思わない。僕はマクラーレンでも、続くルノーの2シーズンでもチャンピオンになかったけど、2006年より今の方がドライバーとして成長している。フェラーリは2007年にライコネンで勝ち、2008年もコンストラクターズ部門でタイトルを獲得した。僕たちは2010年に出会い、以前よりその準備が整っていると感じたんだ。

マラネッロの印象は予想通りですか?
違ったね。予想以上だよ。最強のチームでその恩恵を得られると期待していたけど、フェラーリにはそれ以上のものがある。情熱、哲学、生きざま。こうした思いがすでに、僕の中まで入り込んでいるよ。

ある意味、シューマッハのおかげでチームに適応できたとも言えますよね。彼に対しては、多くのファンが裏切られたと感じています。
少し自由になったのは事実だと思うけどね

あなたの素顔を教えてください。
静かな人間だと思うよ。好青年と言ってもいいかな。それにロマンティックだ。何の変哲もないごく普通の人間だよ。内気で、それを隠すこともしない。ただ、安心しているときは、スペイン人の本性が出るね。

内気な性格は仕事の妨げになりませんか?
そうだね。でも僕の場合、ヘルメットをかぶると性格が変わるんだ。

プライバシーを大切にしますよね。
その通りだ。私生活に踏み込まれると、腹が立つからね。そういう性格で、そういう教育を受け、両親にそう言われてきた。レースと私生活は別物だとね。フェルナンド・アロンソに興味を持つのは日曜日の午後までにしてほしい。

F1の嫌いなところは?
イメージをゆがめられるところだ。多くの人に誤解される恐れがあるからね。

現在、スペインはスポーツ界を席巻していますが、あなたの活躍もその一部ですか?
僕は素晴らしい時代に育つことができた。スペインはこの20年、爆発的な成長を遂げている。スポーツの世界でも、非常に大きな進歩があった。テニスだけを見ても、コートの数が2000%も増えている。

一方、スペインには、ドーピング疑惑にかかわったフエンテス博士のような例もあります。
どの国にも、どのスポーツにも、フエンテス博士のような側面はある。プラスの面に目を向けるべきだ。

スポーツ界のアイドルは?
ミゲル・インドゥラインだ。僕と同じく物静かな性格で、レースになると輝く。まさにスーパーヒーローだ。

あなたもスーパーヒーローと思われていますが、ご存知でしたか?
知らなかったよ。でも確かに、F1やドライバーにはそういうイメージがあるし、情熱的なファンもいる。スペインに帰ると、僕を見て泣き崩れる人たちがいる。僕もインドゥラインにそういう感情を抱いているよ。

スペイン人としてイタリアで活動するのはどのような感じですか?
スペイン人とイタリア人は生き方が似ている。パーティーや楽しむことが好きだからね。ただし、プロ意識は北欧の『クール』な国と変らないよ。

イタリアは南北に分かれていると感じますか?
いいや。一つの国だと感じている。忘れないでほしい。僕の国にはバスクやカタルーニャ、アウトゥリアスがあり、それぞれに分離独立派がいるんだ。

国王についてどう思いますか? 2000年代のスペイン人という感じでしょうか?
若者は彼を尊敬しているけど、それほど関心はない。誰もが知る人物で、どちらかといえば、両親や祖父母の世代の人だ。個人的には、フアン・カルロス国王には強烈な印象を持っている。伝統を重んじる主義だからね。

フラビオ・ブリアトーレは単なる友人というより、ほとんど父親ですよね。想像してみたら、おかしくありませんか?
そうだね。なかなか想像できないと思うよ。

予想ですが、ブリアトーレに「汚染」され、あなたも父親になるのでは?
妻のラケルと話し、今はそのタイミングではないという結論に達した。僕だけでなく妻にも仕事がある。妻は歌手として、年に40〜50回のコンサートを開いているからね。新しい家族を作るには立ち止まる必要があるし、すべてが変わる。この問題に関しては、運命に従うことになるのだとうね。たぶん違ってくる。やはり運命を決めるのは自分だからね。

もし魔法のつえがあれば、世界をどのように変えますか?
今の世界はあるべき姿ではない。貧富の差が不均衡を生み出している。99%の人はこの問題を解決したいと考えている。私だけが考えていることではない。

チャンピオンになるにはどうすればいいのですか?
すべては車による。良い計画を立てること、そして開発だ。制約があって、自由な発想はできないからね。さらに今のレースは運も必要だ。細かい部分がうまくいくだけでなく、いくつもの要素が重ならなければならない。

ドライバーは重要ではないのですか?
大切なのはチームだ。どのように開発し、どのようにレースを戦うかだ。運転する人間が占める割合は低いと思うけど、ドライバーはいつでも最大限の仕事をしなければならない。時々100%を出すより、どのような状況でも98%の仕事をできることが重要だ。

レッドブル、フェラーリ、マクラーレン。実力的には、この順番でしょうか?
レッドブルは予選に強く、非常にスピードがある。ただし、レースでは互角だ。マクラーレンは素早い開発を得意としているけど、こちらも遊んでいるわけではない。総合的には、フェラーリがチャンピオン争いの本命だ。

では、シューマッハに話を戻しましょう。彼がメルセデスに行ったのは意外でしたか?
とても驚いたよ。そもそも復帰するとは思っていなかった。あれだけの実績を残し、穏やかな日々を過ごしていたんだからね。

中国では、ピットレーンの入り口でマッサを抜き、批判されましたね。同様の場面があれば、もう一度同じことをしますか?
もちろんだ。

2人の間に問題が起きるとしたら、あなたとマッサのどちらが原因になるでしょう?
フェリペと僕は互いを補う関係だ。たとえ僕がコーナーに弱くても、僕の方が速いセクションもあるといった具合だ。互いから何を学んでいるかは秘密だ。問題が起きるとしたら、むしろバトンとハミルトンの方だろうね。

追い抜きたい相手は?
シューマッハを抜き去るのは気持ちがいいね。1週間は話の種になる。

バレンティーノ・ロッシにアドバイスはありませんか? まだ F1のことを考えているようですが。
オートバイの世界では、彼は間違いなくナンバー1だ。これからも、近づく者さえ現れないだろう。ラリーやF1に転向しても、マイナスにはならないと思うけど、特にアドバイスはない。もし僕たちのチームに加入したら、きっと歓迎されるだろうね。

スペイン人もイタリア人も宗教に熱心です。イタリアにはローマ教皇もいます。あなたも信仰心はあつい方ですか? 神との結び付きについて教えてください。
神との結び付きはないし、探し求めたこともない。繰り返しになるけど、僕は運命や神の導きを信じていない。もし飛行機が墜落して死んだとしても、誰かが天国に導いたとは思わないよ。

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カテゴリー: F1 / フェルナンド・アロンソ / スクーデリア・フェラーリ