ピレリ F1ブラジルGP
ピレリが、2013年 最終戦 F1ブラジルGPの決勝レースを振り返った。

今シーズンの世界王者、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがブラジルグランプリを制し、今シーズン13勝目を挙げた。同時に、ベッテルは1シーズン9連勝を達成。ポールポジションからスタートしたベッテルは、2周目にトップに立ち、最初の2スティントをPZeroホワイト・ミディアムタイヤで、最終スティントをPZeroオレンジ・ハードで走行する2ストップ戦略を採って優勝した。

過去に9連勝を達成したドライバーは、1950年代のアルベルト・アスカリのみ。アスカリもピレリタイヤを使用していたが、彼の9連勝は2シーズンをまたぐものだった。

セバスチャン・ベッテルのチームメイトのマーク・ウェバーは、ベッテルと同様の戦略で自身のグランプリ最終戦を2位で締めくくった。ウェバーは、来シーズンから耐久レースへ転向する。フェラーリのフェルナンド・アロンソは、第2スティントにハードタイヤを使用するというベッテルとは異なった2ストップ戦略を採り、3位を獲得した。

金曜日と土曜日に雨が降り続いたため、各チームとドライバーにとっての最大の課題は、ブラジルグランプリ決勝のスタート前にハードとミディアムでのドライ走行が全く無いことだった。気温20℃、路面温度26℃、降水確率50%のドライコンディションの下で決勝はスタートした。

14番グリッドからスタートしたマクラーレンのジェンソン・バトン、17番グリッドからスタートしたザウバーのエステバン・グティエレス以外の全ドライバーが、ミディアムタイヤでスタート。最初にミディアムからハードへの交換を行ったドライバーは、10周目にピットストップしたトロ・ロッソのジャン・エリック・ベルニュだった。ジェンソン・バトンは、ハードタイヤでのスタート組では最初にピットストップを行い、20周目にミディアムへ、43周目に再度ミディアムへ交換。この戦略が功を奏し、バトンは、今シーズン自己ベストとなる4位でフィニッシュした。

セバスチャン・ベッテルは、24周目にミディアムへ交換し、トップのままコースへ戻った。レッドブルは事故によるセーフティーカー導入を警戒し、ベッテルとウェバーともに47周目のピットストップを実行。ベッテルは、この時ハードタイヤへ交換した。小雨が降り始めて新たな不確定要素が加わり、レースの終盤にかけて雨足が少し強くなったが、Cinturatoグリーン・インターミディエイトの登場までには至らなかった。

変わりやすいコンディションにも関わらず、タイヤは期待通りの完璧な性能を示した。メルセデスのルイス・ハミルトンとウィリアムズのバルテリ・ボッタスのマシンにパンクが発生したが、このパンクは両マシンの接触に起因するものだった。

マルシャのマックス・チルトンが、V8エンジン時代の最後となる今シーズンのもうひとつの記録を達成した。チルトンは、デビューシーズン全てのレースを完走した初のルーキードライバーとなった。

ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)
「決勝のスタート前までにドライ走行の機会が無かったため、各チームは、適正なタイヤ戦略を過去の経験の蓄積から導き出さなければなりませんでした。さらに、路面上にラバーが乗っていない状態だったので、摩耗とデグラデーションのレベルを計算することが極めて困難な状況でした。決勝時間帯は不安定な天候が予測されていたことも状況をさらに複雑なものにし、チームごとに情報が多様に解釈されていました。しかし、決勝でドライコンディションが続けば(結果的にそうなりましたが)、両スリックコンパウンドの使用義務があることも各チームは念頭に入れておかなければなりませんでした。今回のレースが、現行マシンおよびタイヤを使用する時代の最終戦となり、来年からは完全に変更されます。記録破りのシーズンをつくったセバスチャン・ベッテルとレッドブルを祝福したいと思います。また、ここブラジルでF1の素晴らしいキャリアを締めくくったマーク・ウェバーの今後の成功を祈りたいと思います」

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カテゴリー: F1 / ピレリ / F1ブラジルGP