モトGP バレンシアGP YAMAHA
Movistar Yamaha MotoGPは、好天に恵まれたバレンシア・リカルド・トルモ・サーキットにおいて素晴らしい走りを披露し、2016シーズンを締めくくった。ホルヘ・ロレンソは絶好のスタートからトップに立ち、そのままアドバンテージを広げて優勝。

チームメイトのバレンティーノ・ロッシも激しいバトルの末に4位でチェッカーを受け、ヤマハに通算7回目のFIM MotoGPのチーム・タイトルをもたらした。

昨日の予選で完璧な走りを見せたロレンソは、そのペースに自信を持って決勝を迎えた。好ダッシュからホールショットを奪って真っ先に第1コーナーに進入し、そこからアドバンテージを0.6秒まで拡大。オープニングラップでは唯一1分36秒台に入れ、そのあとは1分31秒台でコンスタントに周回を重ねた。

ロッシがアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)、マルク・マルケス(ホンダ)と2位争いを展開する間に、ロレンソは順調にアドバンテージを広げて単独走行。ほとんどの時間帯で4秒以上のマージンを維持していたが、終盤になってペースを緩め、1.185秒差でチェッカーを受けた。これによってロレンソはライダー・ランキング3位を獲得し、ヤマハでのキャリアを終了した。

一方のロッシもフロントローから好スタート。第1コーナーでサイドバイサイドの競り合いを見せたあと、3番手に付けるM・ビニャーレス(スズキ)の後方に落ち着いた。タイヤが暖まるのを待ってから4ラップ目にプッシュを開始。上位陣を逃がすまいと第14コーナーでパスしたが、その間にもマルケスがぴったりとついていた。

ロッシは次に2番手を行くイアンノーネに照準を合わせ、素早くそのテールに迫る。そのあとは激しいバトルが24ラップ以上にわたって続き、何度も順位を入れ替えて最終戦に詰めかけたファンを楽しませた。

残り12ラップ、マルケスがバトルに加わりさらに激化。第2コーナーで先行を許すと、ポジションを確保しながら虎視眈々とチャンスを窺っていた。残り5ラップあたりからマルケスがペースを上げて逃げ始め、3位獲得を目指してイアンノーネに迫って行ったが、バトルで貴重な時間を費やすことに。チャンスを待ち続けたロッシは残り2ラップで最後のアタックをしかけたが、抑え切れず4位でチェッカー。貴重なポイントを獲得して最終戦を締めくくった。

シリーズポイントではロッシが合計249ポイントでランキング2位。ロレンソは合計233ポイントでランキング3位。ふたりの活躍によってモビスター・ヤマハ・モトGPは合計482ポイントとなり、2位に28ポイント差をつけてチーム・タイトルを獲得した。

Monster Yamaha Tech 3のポル・エスパルガロは、YZR-M1での最後のレースで6位を獲得し、トップ・サテライトの栄冠を手に入れた。グリッド2列目からスタートを切り、前方のファクトリー勢が激しく入れ替わる間に順調に走行。2ラップ目からはリズムをつかんでペースを上げてゆき、レースの四分の一ほどが終了した時点で7位まで浮上。そしてさらにパワーを注ぎ込んでコンスタントにペースをキープしながら、後方から追い上げてきたファクトリーマシンに乗るアレイシ・エスパルガロ(スズキ)を抑え込んだ。残り2ラップとなってエスパルガロはアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)をとらえて6位。激しいバトルを0.039秒差で競り勝ち、Tech 3での最終戦を印象的なレースで締めくくった。

一方、エスパルガロのチームメイトのブラッドリー・スミスは、9位を獲得してTech 3との6年間のパートナーシップに終止符。グリッド4列目の先頭からスタートしたスミス。素早くペースをつかんで順調に走行し、オープニングラップを11番手で終了した。そしてタイトなコーナーが続くコースと格闘しながら、懸命にプッシュを続けて着実にアドバンテージを拡大。レース中盤には9番手に上がり、ここからは安定したペースをキープしてそのままチェッカーを受けた。2016シーズンは膝の怪我もあり厳しい戦いを強いられてきたが、それらを克服し、最終戦を好成績で終了。その強い意志と決意が、深刻な怪我からわずか7週間での復帰を可能にし、その後は完璧な状態でないなかでも着実にポイント獲得に結びつけてきた。そのことによってMonster Yamaha Tech 3は、チーム・ランキングにおいてトップ・サテライトの栄冠を5年連続で獲得することとなった。

チームはポルとブラッドリーの長年にわたる努力と貢献、そして情熱とハードワークに感謝の意を表する。ふたりの未来を祝福し、成功を祈る。

Movistar Yamaha MotoGP
ホルヘ・ロレンソ(優勝)
「最初の数ラップ、ポールポジション、ファステスト・ラップ、そして優勝。本当に素晴らしい最終戦になった。20歳のときに初めてモトGPに参戦し、最初のレースでポールポジションを獲得。あれから約10年が過ぎて、ポールポジションと勝利で最終戦を締めくくることができたんだ。これまで僕を支え続け、常に、競争力が高く勝てるマシンを用意してくれたヤマハに、最高の恩返しができたと思っている。たくさんの経験をなつかしく思い出しながら、今日はチームとみんなと最後の夜をエンジョイするよ。決勝では45分間ずっと集中し続けてマシンをしっかりコントロール。だからゴールラインを通過したときには、まだ感傷的な気持ちにもなれないし、あまりいろいろ考えたりもしなかった。それよりも緊張から自分を取り戻すことのほうが先だったんだ。それから2〜3分経ってようやく、これまでのキャリアのなかの良かったことや悪かったことがよみがえってきて、チームのみんなに対する気持ちが高まってきた。今晩はもちろん、最も盛大な、最もクレイジーなパーティーを開くよ! だって今日はおめでたい日なのだから。今までのすべての経験を、とくにヤマハとの最後の時間を楽しまなくてはいけないんだ」

バレンティーノ・ロッシ(4位)
「最初から最後までプッシュし続けた。前半は2位をキープしていて決して悪くはなかったんだけれど、差を広げるほどの速さがなかったために後半で苦しくなってしまった。マルケスがとても強かったので2位に上がり、僕はイアンノーネとバトル。残念ながら彼のほうが速く、抑え切ることができなかった。だから4位が今日の僕の力ということ。でもとてもいいレースだったと思っているよ。2016シーズンを振り返ってみれば、何度も表彰台に上り、何度もフロントローに並び、最後にランキング2位を獲得することができた。いつだって競争力はとても高いのだから、来年はもっと多く優勝できるように頑張らないと。残念だったのは、何度かミスをおかしてしまったことと、ムジェロでのアンラッキー。これらによってタイトル争いからは離されてしまったけれど、でもとてもいいシーズンだったよ」

マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)
「2016シーズンを素晴らしい結果で締めくくることができた。ホルヘの完全優勝とバレンティーノの見ごたえあるバトルは、間違いなく最高の成果であり、それによってMovistar Yamaha MotoGPがチーム・タイトルを獲得することになった。ホルヘはウイークを通じて好調を維持し、考え得るなかの最高の形でヤマハでのキャリアを終了。バレンティーノはウイーク序盤で苦労したものの、決勝に向けて解決策を見つけ、イアンノーネとのバトルは大勢の観客を喜ばせた。僅差で表彰台を逃したのは残念だったが、タイヤの消耗が激しかったのであきらめざるを得なかったのだ。しかし彼の4位のポイントによって、我々はチーム・タイトルを獲得。最終戦の目標を達成することができたので満足している。2016シーズンの終了とともにホルヘとのパートナーシップも終わりを迎える。それだけに、今日の優勝とチーム・タイトル獲得は記憶に残るものになるだろう。今日と明日はこのことを祝って盛大なパーティーだ。そして火曜日からは早くも2017シーズンがスタートする」

Monster Yamaha Tech 3
ポル・エスパルガロ(6位)
「ブラック&グリーンのヤマハで走る最後のレース。Monster Yamaha Tech 3とともに過ごした時間を好成績で祝うことができて、うれしく思う。今日のことは僕の、そしてチームの士気を、これからの冬の間も高く維持してくれることになるだろう。良い形で、パートナーシップを終えることができた。シーズンが始まったときと同じように、最終戦でもトップ・サテライトを獲得。シーズンの間には苦しいこともたくさんあって、結局、ランキングではトップをキープすることができなかったが、常にベストを尽くしてきた。長年にわたって全力で支えてくれたMonster Yamaha Tech 3チームには感謝の気持ちでいっぱい。しかも彼らは、モトGPマシンの乗り方まで教えてくれたんだ。そうして良いときも辛いときもともに時間を過ごしてきた。1年目は素晴らしかったが、2年目は苦しかった。それでも2016年は、そうした状況をなんとか乗り切ろうと最大限の努力を尽くして頑張ってきたつもりだ。今日のレースについていえば、序盤の数ラップの重要なところで時間を費やしてしまったのが残念。でもそのあとは調子が上がり、ファクトリー勢とも同等のペースで走ることができた。アレイシ(エスパルガロ)がずっと後ろについてきたが、彼がついてくるのに精いっぱいなのか、それとも抜きたがっているのかわからなかった。結局、最後まで抑え切ることができたので、それによってドビツィオーゾに追いついてひとつ順位を上げた。ドビツィオーゾを抜いたあとは、彼がアレイシと僕との間に入ってバリアになってくれたおかげで6位を獲得できたんだ。最後にもう一度、チームのみんなの3年間のサポートに感謝。Tech 3とのたくさんの思い出を心にしまって、ここを去るよ」

ブラッドリー・スミス(9位)
「難しいレースだったけれど、すべてを賭けて戦った。最終戦で9位を獲得できたことは良かったと思う。ウイーク中、問題を抱えたまま厳しい状況が続いたが、もちろん、常にベストを尽くしてきた。そして決勝でついにベスト・セットアップを見つけることができたんだ。そうなれば、あとはひたすらプッシュしてエスパルガロ兄弟とカル(クラッチロー:ドゥカティ)についていくことだけを考えた。ポルのほうが、とくにレース後半はペースが良さそうで、残念ながら最後まで粘り続けることはできなかった。ちょっと望みすぎかもしれないけれど、僕らのこのチームでの最後のレースで彼と戦いたいと思っていたんだ。いずれにしても、レース中盤でカルが転倒し、そのあとは僕ひとりでリズムをキープしなければならなくなった。だって後続は10秒も離れていたし、ポルとアレイシはそのときには手の届かないところへ行っていたから。最終戦までにできるだけ回復し、本来のポジションに少しでも近づくことが僕の最大の目標だったので、それについては達成できたと思う。モトGPでの4年間、そしてその前のモト2での2年間、僕のために懸命に仕事をしてくれたTech 3チームの全員に心からの感謝を。2017シーズンは新しいライダーを迎え、彼らとともに成功をおさめることを願っている。そしていつかまた"bonjour"と言って帰って来るよ」

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カテゴリー: F1 / MotoGP