角田裕毅 F1パドックの声:メキース「レッドブルF1残留の理由を示してほしい」

メキースは今季序盤に指揮を執って以降、マシン開発と体制の立て直しを進め、マックス・フェルスタッペンは直近4戦で3勝を挙げるまでに復調。チームはコンストラクターズ選手権でフェラーリ、メルセデスと2位争いを繰り広げている。
一方で角田裕毅は、昇格後17戦で25ポイントにとどまり、苦戦が続く。バクーで6位、アメリカGPでは7位と復調の兆しを見せたものの、依然として厳しい立場にある。
メキース「角田に“残す理由”を示してほしい」
レッドブルのローラン・メキースは、角田裕毅に今後のチャンスを与えたい考えだが、そのためにはさらなる結果が必要だと考えている。英記者ネイト・ソーンダースは「メキースはほとんど懇願するように、角田にチームに残す理由を示してほしいと思っている」と語る。
「昨年のペレスのケースと似ている。チームは『我々が彼を残す理由はこれだ』と言える結果を求めている」とソーンダースは述べた。
さらに、ヘルムート・マルコは「角田の去就はメキシコGP後に決める」と発言しており、次戦でのパフォーマンスが運命を左右する可能性が高い。ただし、状況によっては決定が先延ばしになる可能性もあると見られている。
「もし角田がメキシコで好成績を収めれば、レッドブルは『あと数戦様子を見よう』と判断するかもしれない」とソーンダースは続けた。
フェルスタッペン支援の役割も課せられる角田
チーム代表のメキースは、フェルスタッペンのタイトル争いを支えるため、角田裕毅を“サポートドライバー”として活用する方針を明かしている。COTA(アメリカGP)では、角田のマシンに異なるセットアップを試すことで、フェルスタッペンの最適解を探るテストを実施した。
オランダの記者ロナルド・フォルディングはこう報じている。
「彼らは今後も角田をテスト要員的に使うつもりだ。マックスのために異なるセットアップを試し、その結果をタイトル争いに活かす。一方でコンストラクターズ選手権のポイントも必要だから、角田の得点も重要だ」
レッドブルは現在、フェラーリ(334点)とメルセデス(341点)を僅差で追う331点の4位。わずか10ポイント差の中で争う熾烈な2位争いの中、角田の役割は極めて戦略的なものとなっている。
ハジャー昇格とローソンの存在が重圧に
2026年にはルーキーのアイザック・ハジャーがレッドブルに加入するとみられており、角田裕毅はシートを失うリスクが高い。レーシングブルズへの復帰案もあるが、オースティンでの接触以来、リアム・ローソンとの関係が悪化しており、現時点では再共演の可能性は低い。
また、チームは将来のためにF2のアービッド・リンドブラッドにも注目しており、角田裕毅にとっては三つ巴の生き残り戦となっている。

角田裕毅「来季も同じチームにいるにふさわしいことを示したい」
角田裕毅はメキシコGP開幕前の記者会見で、自身の将来について次のように語った。「はい。今まで自分がやってきたこと、そして今の状況に自信を持っています。できるだけ早く自分自身を向上させ、ポイントを重ねていくよう努力しています。最終的には、チームがどういうラインアップを望むか次第です。でも、僕は多くの点で改善を重ねてきましたし、来年も同じチームにいるのにふさわしいことを示すために、自分をさらに高めていきたいと思います。」
この発言は、メキース代表の「残す理由を示してほしい」というコメントと呼応しており、角田自身が結果で応える覚悟を示した形だ。
改善の鍵はロングランとチームの支え
角田裕毅はまた、シーズン後半の復調について次のように説明した。「いろいろな要素があります。僕はこの環境に5年間いて、この世界でのプレッシャーや、チームごとの違いがどういうものかを理解してきました。セットアップの問題だけではありません。特にシーズン序盤はロングランで苦戦していましたが、そこを大きく改善することができました。今は週末全体を通して、そのパフォーマンスをしっかりまとめることに取り組んでいます。チームからのサポートがとても大きく、ローラン(メキース代表)やエンジニアたちの支えがなければ、ここまで改善することはできませんでした。ツールがしっかり揃ってきているので、正しい方向に進めていると感じています。」
長期的な取り組みとチーム内での信頼関係を明確に語ったことで、角田裕毅が単なる結果待ちではなく、改善プロセスの中心にいることが浮き彫りになった。
決断の時を前に「自分を証明し続ける」
来季シートの発表時期について問われた角田裕毅は、冷静にこう答えている。「それは難しい質問ですね。僕はもう5年間このレッドブル・ファミリーにいますが、どういう仕組みで物事が進むのかはよくわかっています。これまで毎年、ほとんど同じような状況を経験してきました。だから、自分は自分を証明し続け、与えられたチャンスを最大限に活かすことに集中しています。最も大切なのは、この機会に感謝していることです。そして、その中で結果を出すだけです。」
メキースの発言が外部からのプレッシャーを象徴する一方、角田裕毅の言葉は内面的な覚悟を示しており、両者の関係性をよりリアルに浮かび上がらせる内容となっている。
角田裕毅に残された“唯一のカード”は結果
アメリカGPでは7位入賞を果たし、内容的にも改善が見られた。だが、予選でのワンラップペース不足という課題は依然として解決していない。チームが求めているのは「安定したQ3進出と2台完走によるポイント獲得」であり、フェルスタッペン支援と並行して自身の存在感を示す必要がある。
メキースの「理由を示してほしい」という言葉は、単なる叱咤ではない。角田裕毅がメキシコで再びポイントを獲得すれば、残留交渉にわずかな光が見える。だが、結果を出せなければ、ハジャー昇格の決定は現実味を帯びてくる。
角田裕毅に残された時間は、わずか数戦。真価を問われる戦いが、メキシコで始まる。
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