角田裕毅 レッドブルF1で苦戦にアルボン体験談「極端なマシン特性が壁に」

角田裕毅は今季第3戦からリザーブドライバーのリアム・ローソンに代わってレッドブル本隊に昇格したが、以来Q1敗退や入賞圏外での走行が続いており、同僚マックス・フェルスタッペンとの差は依然として大きい。
このような状況は今回が初めてではない。ダニエル・リカルドが2018年末でチームを去って以降、同じセカンドシートに座った複数のドライバーが次々と苦しみ、短期間で交代を強いられてきた。例外はセルジオ・ペレスのみで、彼は4シーズンにわたりポジションを維持している。
こうした現象について、かつて2019年にトロ・ロッソ(現在のレーシングブルズ)から昇格し、2シーズンでレッドブル本隊を去ることとなったアレックス・アルボンは、カナダGPの場で次のように分析した。
「僕の経験から言うと、レッドブルのマシンは“刃の上”にあるようなクルマだ。マックスはそれを乗りこなせるけど、僕には正直難しかった」
「RB(レーシングブルズ)のマシンはバランスが取れていて安定している。ドライバーに自信を与えてくれるマシンだと思う」
「おそらくチームが常に若いドライバーを乗せているから、自然とそういう設計になったんだと思う。でもレッドブル本隊のマシンはその正反対。もっとトリッキーで、極端な特性を持っている」

また、近年のF1では新人がテスト機会に恵まれず、しかも現行のグラウンドエフェクトカーは地面に近くバネも硬いため、走行中のバランス変化も急激で扱いづらい。こうした特性が一層ドライバーの適応を難しくしている。
しかし角田裕毅は新人ではない。今週末のF1カナダGPで自身100戦目を迎える。スペインGP後に2日間のバルセロナ走行が行われたとも報じられたが、実際にはそれは2026年用タイヤの開発テストであり、角田裕毅の適応支援を目的としたものではなかった。
現状、角田裕毅に与えられている実走行機会は限定的で、TPC(旧型車テスト)を除けば、RB21の感覚をつかむには限られたグランプリ週末の中で対応するしかない。シミュレーターも活用しているが、本人曰く「リアルのマシンはシミュレーターよりも限界領域で予測しにくい」という。
それでも、前進するには実走経験を積み、RB21の特性を身体で覚えるしかないのかもしれない。だが、問題は「レッドブルがそこまでの猶予を与えるかどうか」にかかっている。
アレックス・アルボンは最後にこう付け加えた。
「今の僕ならもう少しうまく対処できると思うけど、それでも自然に乗れるマシンではないんだ」
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