角田裕毅とリアム・ローソン レッドブルF1交代劇後のそれぞれの現在地
角田裕毅とリアム・ローソンの交代劇は、2025年シーズン序盤におけるF1最大の話題となった。交代から3レース週末が経過し、それぞれのドライバーがどのようにパフォーマンスを発揮しているか、そして今後何をすべきかが明らかになってきた。

レッドブルのRB21にはパフォーマンスを引き出すための狭い作動ウインドウが存在する。この特性は、ローソンが苦戦していた領域であり、角田裕毅はプレシーズンテストなしでもその性能を比較的うまく引き出している。

レーシングブルズに降格したローソンは、多少なりとも自信を取り戻しつつあるが、VCARB 02への適応を進める中で、アイザック・ハジャーに対して後れを取る場面が多く見られる。ペナルティによってパフォーマンスが制限されることが多く、レースペースの面でもハジャーに劣っている。

全体的に見て、ルーキーであるハジャーの方がより強力なパフォーマンスを見せている。サウジアラビアGPでは、ハジャーが早々にフェルナンド・アロンソをオーバーテイクし、ハードタイヤでのロングスティントを成功させた一方、ローソンはミディアムタイヤを履きながらもアロンソの後ろに10周留まった後、ようやく抜くことができた。

ゴール時に両者の差が1.4秒しかなかったのは、カルロス・サインツに抑えられたハジャーがペースを落としたためであり、ローソンがハードタイヤで劇的なパフォーマンスを見せたからではなかった。スティント序盤におけるハジャーのラップタイムは、ローソンよりも明らかに優れており、その後ルイス・ハミルトンに追い抜かれている。

しかし、ローソンも確実に改善を見せている。移籍当初に比べハジャーに近づいており、ハジャー自身もラウンドを重ねるごとにプレッシャーを感じ始めているという。ローソンがレース中のペナルティを減らすことができれば、今シーズン中のポイント獲得も十分に期待できる。

2023年のアルファタウリ時代に見せた実力を再び発揮できるかが鍵となる。現在のパフォーマンスはその才能を完全には示していないが、シーズン前半戦を安定した成績で乗り切れば、大きなアピール材料となるだろう。

角田裕毅 レッドブル F1

また、ローソン自身が語るように「自信を失っていない」とする一方で、実際にはレッドブル降格によるダメージを受けた可能性が高い。どのF1ドライバーも、似たような試練を経験している。キャリアは、打ちのめされたことではなく、いかに早く立ち直ったかによって評価される。

レーシング・ブルズのVCARB 02は、トップ4チームと戦うだけの純粋なパフォーマンスは持たないが、選手権5位を争うウィリアムズとは互角の戦いを繰り広げている。ローソンは、9位や10位を狙うべきであり、アストンマーティンやザウバーとの後方争いに留まるべきではない。

一方、角田裕毅はレッドブルのセカンドシートにふさわしい存在であることを示している。RB21は、正しく操ることができればポールポジションやグランプリ勝利も可能な性能を秘めているが、それを最大限に引き出すためには、さらなる時間と経験が必要だ。忍耐が重要となる。

現在、角田裕毅はQ3進出のためのラップタイムをコンスタントに引き出せる段階に到達しているが、さらに上のレベルのパフォーマンスも期待できる。すでにマシンへの理解を深めているが、その学びのプロセスはまだ続いている。

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング / リアム・ローソン / ビザ・キャッシュアップRB