マックス・フェルスタッペン残留へ レッドブルF1が進める全方位改革

現状の競争力低下や組織変化は一見すると不利に映るが、レッドブル内部では再建に向けた動きが加速している。人的補強、マシン開発、そして将来投資という複数の軸から、フェルスタッペンに「残る価値」を提示しようとしている。
組織再編の中でも強調される“成長力”
過去数年でレッドブルは大きな変化を経験してきた。クリスチャン・ホーナー、エイドリアン・ニューウェイ、ヘルムート・マルコ、ジョナサン・ウィートリーといった中核人物に加え、ガレージ内で直接関わっていたエンジニアやメカニックも離脱している。
さらに決定的だったのが、長年レースエンジニアを務めたジャンピエロ・ランビアーゼの2028年マクラーレン移籍決定だ。
こうした流れは「人材流出」とも捉えられるが、ローレン・メキースはその見方を否定する。
「まったくそうは思わない。それが私の率直な答えだ」
「我々は毎日マックスと話しているし、彼はこのチームのすべてを理解している」
むしろチームは採用強化を進めており、直近9カ月で400人以上を採用。ファクトリーには100人規模の新規スタッフが加わっており、組織としての拡張が続いている。
「我々には約2000人のスタッフがいる。このチームは常に才能を生み出し続ける環境だ」
人材の入れ替わりではなく、「循環による強化」というメッセージがフェルスタッペンに対して強調されている。
RB22の課題と“完全ではない改善”
2026年型マシンRB22の問題は、単純なパワーユニット性能だけではない。
ダウンフォース不足に加え、ハンドリングの不安定さが深刻で、セッションごと、さらにはラップごとに挙動が変化する。セットアップ変更も効果が出にくく、ドライバーが信頼を築けない状態が続いている。
フェルスタッペンは日本GPでこう語っている。
「基本的に反応しない」
チームはこの問題に対して、日本GP以降の期間で徹底的な解析を実施。マイアミGPに向けたアップデートでは、フェラーリ型の“上下反転リアウイング”に類似したコンセプトも投入された。
ただしメキースは過度な期待を戒める。
「すべてを解決したわけではないが、ドライバーにより一貫したマシンを提供するという点では前進した」
「すべてを解決したとは言えないが、大きな部分では改善している」
重要なのは順位そのものではなく、「問題を理解し、改善の道筋があること」を示す点にある。
未来投資としての新風洞プロジェクト
フェルスタッペンの判断において、短期的な競争力だけでなく長期的なビジョンも大きな要素となる。
その中核となるのが、ミルトンキーンズで建設中の新風洞施設だ。
これまでレッドブルはベッドフォードの旧式風洞を使用してきたが、外気温の影響を受けやすく、空気密度の変化によってデータの一貫性に課題を抱えていた。
新施設はこうした問題を解消し、安定した相関性能を実現することを目的としている。稼働は来年半ばが予定されている。
「この施設は今後10年にわたって、我々の相関能力をまったく別のレベルに引き上げる」
「プロジェクト全体として見れば、我々を非常に強いポジションに置くことになる」
フェルスタッペン残留の鍵は“総合力”
レッドブルが示しているのは、単なるパフォーマンス改善ではない。
■ 人材補強による組織の再構築
■ マシン改善による競争力回復
■ 風洞投資による長期的優位性
この三位一体の戦略によって、現状の課題を上回る「将来価値」を提示しようとしている。
2026年レギュレーションそのものはチーム単独では変えられない。しかし、それ以外のすべてを改善することで、フェルスタッペンにとって残る理由を作り出す。
その説得力がどこまで届くかが、今後のF1勢力図を大きく左右することになる。
Source: The Race
カテゴリー: F1 / マックス・フェルスタッペン / レッドブル・レーシング
