WEC:トヨタ8号車(ブエミ/ハートレー/平川)がドライバーズタイトル2連覇
FIA世界耐久選手権(WECの)2023年シーズン最終戦となるバーレーン8時間の決勝が11月4日(土)にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRID 8号車が今季2勝目を挙げて2年連続でのドライバーズチャンピオンを獲得。7号車は2位で続き、TGRは今季4度目の1-2フィニッシュでハイパーカーによる激戦となったシーズンを締めくくった。
セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車はポールポジションからレースをスタートし、一度もそのポジションを譲ることなく今季2勝目。2年連続でのWECドライバーズチャンピオンを獲得した。ブエミとハートレーはWEC史上新記録となる4度目のチャンピオン。平川はハイパーカークラス参戦開始から2年連続でタイトル獲得ということになった。
このレースで8号車と首位を争った小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、スタート直後の1コーナーで追突され大きく順位を落としながらも、見事な追い上げを見せ、2位でチェッカーを受けた。逆転タイトルへ向け優勝を目指した7号車だったが、この結果によりドライバーズランキングも2位となった。
今季はキャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、ヴァンウォール、そして、グリッケンハウスという強力なライバルとのエキサイティングなハイパーカー同士の争いとなる中で、TGRは5年連続でのマニュファクチャラーズ/ドライバーズのダブルチャンピオンを獲得するという完璧なシーズンフィニッシュを飾った。
6マニュファクチャラーによるハイパーカー間の激戦最終ラウンドは、暑く晴れ渡ったバーレーンで現地時間午後2時に幕を開けた。ポールポジションからスタートしたブエミの8号車が順当に首位をキープする一方で、逆転タイトルを目指す7号車のコンウェイは2番手スタートからすぐ後で追う形としたが、1コーナー進入で後方のキャデラック2号車に追突されコースオフ。大きく順位を落とすこととなってしまった。
しかし、7号車のコンウェイはすぐに追い上げを開始。スタートから35分ほどでプジョー、ポルシェ勢を次々と交わしていきトップ5へ浮上。一方、その間に首位を行くブエミの8号車は安定した速さを見せ、追うフェラーリの2台に対し大きなマージンを築いた。
スタートから1時間を前に、各車最初のピットストップへ。コンウェイはそれまでにさらにフェラーリ50号車とポルシェ38号車をかわして3位へとポジションを取り戻した。
最初のピットを終え2スティント目に入ったブエミがさらに後方との差を広げていく中、コンウェイは2位のフェラーリ51号車との差を詰めていったが、タイヤの摩耗が激しくなり、逆転には至らず。しかし、ほぼ2時間の走行を終えたところでコンウェイから7号車のステアリングを受けとった小林が、すぐにファステストラップを更新する速さを見せてフェラーリ51号車をパス、2位へと浮上した。
8号車はハートレーへドライバーチェンジ。コースは日没を迎えて闇に包まれる中、2位の7号車小林に対し30秒ほどの差をつけて首位を堅守。周回遅れの車両を慌てることなく正確なドライビングでかわしながら走行を続けた。レースが折り返しを過ぎる頃には8号車は平川、7号車はロペスへと交代。2台のGR010 HYBRIDは後半のナイトランでも安定したペースでレースをリードした。
レースが残り2時間となったところで、8号車はブエミ、7号車はコンウェイが再びステアリングを握り、最後の1時間は8号車ハートレー、7号車小林がドライブ。2位に40秒ほどの差をつけたハートレーの駆る8号車は、リスクを犯さず安定したペースで走行。3位との差も大きく開いていた2位小林の7号車は終盤ファステストラップを更新する速さを見せた。
セーフティカーの出ない安定した展開となった8時間のレースで、249周を走り切ったハートレーの8号車は2位の7号車に対し47.516秒差で現地のファンの皆様に見守られながら、トップチェッカー。8時間レースでトップ4台が同一周回という激戦を制した。レース後には、表彰台に向かうTGRメンバーにフェラーリチームから拍手が送られるなど、ハイパーカーで戦い合ったライバル同士、チームの垣根を越えて称え合った。
全7戦で争われた2023年シーズン、決勝の総走行時間は64時間、TGRは7戦中6勝を挙げ、4回の1-2フィニッシュ。そしてチームは、2012年に現行WECに参戦して以来45勝目を挙げることとなった。
豊田章男(TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー)
TOYOTA GAZOO Racingの2台が最後まで繰り広げた“アスリートとしての戦い”最高でした。6人のドライバーたち、それを支えた両車のメカやエンジニアのみんな、素敵なレースをありがとう。セブ、ブレンドン、亮、2年連続のドライバーズタイトルおめでとう!ワンツーでそれを決めてくれた7号車のホセ、マイク、可夢偉もありがとう!
今日は、2台ともトラブルを抱えながら走ることになってしまいました。気持ちよく最終戦を走ってもらうことができず、ドライバーたちには申し訳なく思います。7号車はスタートでのアクシデントもありましたが、すぐに差を詰め、8号車とどちらが勝ってもおかしくないような優勝争いをしてくれました。レースに向かう全員でクルマを走らせて、戦ってくれたと感じられるレースでした。
モータースポーツの主人公はクルマを走らせる人々です。だからこそ“スポーツ”であり、そこに集う人は、みんながアスリートでありファイターであると思っています。今年のWECはライバルも増え、ファンが待ち望んでいた“戦いの場”になりました。そんな選手権の場で、今日はアスリートたちが全力を尽くして結果を勝ち取りにいく姿を見せてくれました。いちファンとして、私もその姿にとても興奮しました。アスリートが戦える場を整えてくれた主催者の皆さまにも感謝いたします。
この最終戦にむけて可夢偉は、チーム代表として“どうすべきか?”、ドライバーとして“どうしたいか?”かなり悩んでいたと思います。
チーム代表の可夢偉は、チームを鼓舞したり、リラックスさせるために戯けたり、改善点を探すためにメカやエンジニアたちと話したり、そんな代表としての役割を、これ以上ないほどにやってくれていました。本当に感謝しています。今日のレースを見ていても、チーム全員が勝利に向けて戦うアスリートになり、だけどお互いを信頼し尊重し合っている…ずっと目指してきた「家族的でありプロフェッショナルなチーム」になってきたと感じます。可夢偉代表、今年もお疲れさまでした。ありがとう。
一方で、ドライバーの可夢偉に私が望んでいることは“たったひとつ”「誰より速く走ってほしい。全力で戦ってほしい。」ということだけです。これは以前から変わりません。他のドライバーに対しても同じ気持ちです。
予選でポールを取れずに悔しがる姿、決勝に向けてエンジニアと相談し続ける姿、そして最終スティントでファステストラップを叩き出す走り、今週の可夢偉は、私が見たいドライバーの姿そのものでした。チャンピオンを取れず悔しい結果だとは思いますが、ドライバー可夢偉としても、これ以上ない仕事をしてくれたと思います。
そんな一人二役の姿を見せることでTOYOTA GAZOO Racingは“ドライバーファーストなチーム”にも変わってきました。これからも2つの顔の狭間で悩むことはあるかもしれませんが、来シーズンも引き続き、“可夢偉だからこそできるドライバーファースト”を続けて、チームを強くしていってもらえればと思います。
追伸
このメッセージを書き終えたところでチームから映像が届きました。見てみると「ドライバーたちがレース後のクルマを磨いているシーン」でした。みんなクルマを大切にしてくれてありがとう。(特にホセは一生懸命、楽しそうに磨いてくれていましたね!ありがとう。)みんなにもっと気持ちよく走ってもらえるクルマをつくっていきたいと改めて思いました!
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
シーズン最終戦で1-2フィニッシュを達成し、最高のパフォーマンスを見せて締めくくることができました。7号車のタイトル獲得は叶いませんでしたが、素晴らしい仕事を成し遂げた8号車の全員を祝福します。今季もずっとチームメイト同士の僅差の戦いが続きました。今日のこの素晴らしい結果は、ミスすることなく戦い続けたチームとドライバーの努力の賜物です。パートナーと日本の関係者の皆様の多大なサポートに感謝いたします。そして、もちろんここまで我々が強くなるように支えてくれたモリゾウこと豊田会長、佐藤社長のお二方にも感謝しています。今年は多くのマニュファクチャラーとの激戦となる中で、我々のチームとクルマの強さを証明することができました。このような形でシーズンを締めくくることができたことは、間違いなく我々全員にとって誇りとなります。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
複雑な感情の湧くシーズンエンドとなりました。今レースはチームメイトの後方からのスタートで、少しでもポイントを挽回するつもりでしたが、スタート直後のアクシデントでポジションを落としてしまいました。多くの車両をパスしながらの困難な追い上げを強いられ、タイヤにも負担をかけてしまいました。ベストを尽くしましたが、今日は2位が精一杯でした。タイトルを勝ち取った8号車に祝福を贈ります。彼らの戦いぶりはタイトルにふさわしいものでした。今年もハードワークで支えてくれた7号車のメンバー全員に心から感謝しています。そして、常に素晴らしい仕事をしてくれたチームメイトの可夢偉、ホセにも感謝します。良いシーズンでしたし、4勝できたのは素晴らしいことだと思います。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
チームに取って最高の1年でしたし、全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。2台のGR010 HYBRIDが全てのレースで競い合いながらも、常にチームとして協力しあってきました。それが最も重要なことです。今日のレースに勝ち、そしてチャンピオンも勝ち取ったセブ、ブレンドン、亮、おめでとう。我々の7号車も今年は何度も勝利を挙げ、その一員として戦えることができた、本当に素晴らしい1年でした。今日も勝利を目指し、逆転タイトルのチャンスをつかむために全力で挑みましたが、1コーナーでその望みはかなり難しいものになってしまいました。とは言え、そこからよく挽回しましたし、最終的な結果には満足しています。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
また世界チャンピオンを獲得でき、信じられない気分です。本当にチームに感謝します。全てが順調にいき、最後までレースとタイトル争いをリードすることができ、最高の夜になりました。本当に価値のあるタイトルだと思います。もちろん、ル・マンで勝てなかったことは残念でしたが、このタフなシーズンの戦いの中でチャンピオンを勝ち取れたことで、我々の強さは証明できました。何度でもチャンピオンは格別なものですが、今年は安定した走りで勝ち取ったタイトルでした。常に最速というわけではありませんでしたが、困難なレースでも着実にポイントを獲得してきました。最終戦で優勝し、チャンピオンを獲得するというのはシーズンの締めくくりにおいて最高の形です。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
最高の1年でした。8号車、そして、TGRのチームの一員であることを誇りに思います。この最高のシーズンを支えてくれた全員に感謝します。シーズンを通して7号車、またライバルたちとの激しいバトルを繰り広げてきましたが、今日も同じでした。ラップタイムとしては、我々8号車が最速ではないこともあったので、とにかくプッシュし続けました。セバスチャンは今日のレースで最もプレッシャーのかかる、スタート直後の1コーナーをトップで抜けるという大役をこなし、亮と共に素晴らしい仕事をしてくれました。4度目の世界チャンピオン獲得を実感するまでにはまだ時間がかかりそうですが、本当に嬉しいです。
平川亮(8号車 ドライバー)
今日のレースに勝利し、チャンピオンを獲得できて最高です。我々はチャンピオン獲得のために努力を続けてきたので、本当に嬉しいです。今年は厳しいレースもありましたが、常にプッシュを続け、タイトル連覇を達成することができました。シーズンを通して強力なライバルと、難しいコンディションでの戦いを続けてきましたが、今日のレースはいつも以上に厳しいものでした。我々は後続とのギャップを広げてそれを維持する走りを強いられましたが、タイヤの摩耗が激しく、容易ではありませんでした。2年連続で世界チャンピオンを獲得できるなんて、チームに入った2年前には想像もできませんでした。このチャンスを与えてくれたトヨタとハードワークで支えてくれたチーム全員に感謝します。このチャンピオン獲得という結果を、チャンスを与えてくれた皆様への感謝の気持ちとして捧げたいと思います。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)
セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車はポールポジションからレースをスタートし、一度もそのポジションを譲ることなく今季2勝目。2年連続でのWECドライバーズチャンピオンを獲得した。ブエミとハートレーはWEC史上新記録となる4度目のチャンピオン。平川はハイパーカークラス参戦開始から2年連続でタイトル獲得ということになった。
このレースで8号車と首位を争った小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、スタート直後の1コーナーで追突され大きく順位を落としながらも、見事な追い上げを見せ、2位でチェッカーを受けた。逆転タイトルへ向け優勝を目指した7号車だったが、この結果によりドライバーズランキングも2位となった。
今季はキャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、ヴァンウォール、そして、グリッケンハウスという強力なライバルとのエキサイティングなハイパーカー同士の争いとなる中で、TGRは5年連続でのマニュファクチャラーズ/ドライバーズのダブルチャンピオンを獲得するという完璧なシーズンフィニッシュを飾った。
6マニュファクチャラーによるハイパーカー間の激戦最終ラウンドは、暑く晴れ渡ったバーレーンで現地時間午後2時に幕を開けた。ポールポジションからスタートしたブエミの8号車が順当に首位をキープする一方で、逆転タイトルを目指す7号車のコンウェイは2番手スタートからすぐ後で追う形としたが、1コーナー進入で後方のキャデラック2号車に追突されコースオフ。大きく順位を落とすこととなってしまった。
しかし、7号車のコンウェイはすぐに追い上げを開始。スタートから35分ほどでプジョー、ポルシェ勢を次々と交わしていきトップ5へ浮上。一方、その間に首位を行くブエミの8号車は安定した速さを見せ、追うフェラーリの2台に対し大きなマージンを築いた。
スタートから1時間を前に、各車最初のピットストップへ。コンウェイはそれまでにさらにフェラーリ50号車とポルシェ38号車をかわして3位へとポジションを取り戻した。
最初のピットを終え2スティント目に入ったブエミがさらに後方との差を広げていく中、コンウェイは2位のフェラーリ51号車との差を詰めていったが、タイヤの摩耗が激しくなり、逆転には至らず。しかし、ほぼ2時間の走行を終えたところでコンウェイから7号車のステアリングを受けとった小林が、すぐにファステストラップを更新する速さを見せてフェラーリ51号車をパス、2位へと浮上した。
8号車はハートレーへドライバーチェンジ。コースは日没を迎えて闇に包まれる中、2位の7号車小林に対し30秒ほどの差をつけて首位を堅守。周回遅れの車両を慌てることなく正確なドライビングでかわしながら走行を続けた。レースが折り返しを過ぎる頃には8号車は平川、7号車はロペスへと交代。2台のGR010 HYBRIDは後半のナイトランでも安定したペースでレースをリードした。
レースが残り2時間となったところで、8号車はブエミ、7号車はコンウェイが再びステアリングを握り、最後の1時間は8号車ハートレー、7号車小林がドライブ。2位に40秒ほどの差をつけたハートレーの駆る8号車は、リスクを犯さず安定したペースで走行。3位との差も大きく開いていた2位小林の7号車は終盤ファステストラップを更新する速さを見せた。
セーフティカーの出ない安定した展開となった8時間のレースで、249周を走り切ったハートレーの8号車は2位の7号車に対し47.516秒差で現地のファンの皆様に見守られながら、トップチェッカー。8時間レースでトップ4台が同一周回という激戦を制した。レース後には、表彰台に向かうTGRメンバーにフェラーリチームから拍手が送られるなど、ハイパーカーで戦い合ったライバル同士、チームの垣根を越えて称え合った。
全7戦で争われた2023年シーズン、決勝の総走行時間は64時間、TGRは7戦中6勝を挙げ、4回の1-2フィニッシュ。そしてチームは、2012年に現行WECに参戦して以来45勝目を挙げることとなった。
豊田章男(TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー)
TOYOTA GAZOO Racingの2台が最後まで繰り広げた“アスリートとしての戦い”最高でした。6人のドライバーたち、それを支えた両車のメカやエンジニアのみんな、素敵なレースをありがとう。セブ、ブレンドン、亮、2年連続のドライバーズタイトルおめでとう!ワンツーでそれを決めてくれた7号車のホセ、マイク、可夢偉もありがとう!
今日は、2台ともトラブルを抱えながら走ることになってしまいました。気持ちよく最終戦を走ってもらうことができず、ドライバーたちには申し訳なく思います。7号車はスタートでのアクシデントもありましたが、すぐに差を詰め、8号車とどちらが勝ってもおかしくないような優勝争いをしてくれました。レースに向かう全員でクルマを走らせて、戦ってくれたと感じられるレースでした。
モータースポーツの主人公はクルマを走らせる人々です。だからこそ“スポーツ”であり、そこに集う人は、みんながアスリートでありファイターであると思っています。今年のWECはライバルも増え、ファンが待ち望んでいた“戦いの場”になりました。そんな選手権の場で、今日はアスリートたちが全力を尽くして結果を勝ち取りにいく姿を見せてくれました。いちファンとして、私もその姿にとても興奮しました。アスリートが戦える場を整えてくれた主催者の皆さまにも感謝いたします。
この最終戦にむけて可夢偉は、チーム代表として“どうすべきか?”、ドライバーとして“どうしたいか?”かなり悩んでいたと思います。
チーム代表の可夢偉は、チームを鼓舞したり、リラックスさせるために戯けたり、改善点を探すためにメカやエンジニアたちと話したり、そんな代表としての役割を、これ以上ないほどにやってくれていました。本当に感謝しています。今日のレースを見ていても、チーム全員が勝利に向けて戦うアスリートになり、だけどお互いを信頼し尊重し合っている…ずっと目指してきた「家族的でありプロフェッショナルなチーム」になってきたと感じます。可夢偉代表、今年もお疲れさまでした。ありがとう。
一方で、ドライバーの可夢偉に私が望んでいることは“たったひとつ”「誰より速く走ってほしい。全力で戦ってほしい。」ということだけです。これは以前から変わりません。他のドライバーに対しても同じ気持ちです。
予選でポールを取れずに悔しがる姿、決勝に向けてエンジニアと相談し続ける姿、そして最終スティントでファステストラップを叩き出す走り、今週の可夢偉は、私が見たいドライバーの姿そのものでした。チャンピオンを取れず悔しい結果だとは思いますが、ドライバー可夢偉としても、これ以上ない仕事をしてくれたと思います。
そんな一人二役の姿を見せることでTOYOTA GAZOO Racingは“ドライバーファーストなチーム”にも変わってきました。これからも2つの顔の狭間で悩むことはあるかもしれませんが、来シーズンも引き続き、“可夢偉だからこそできるドライバーファースト”を続けて、チームを強くしていってもらえればと思います。
追伸
このメッセージを書き終えたところでチームから映像が届きました。見てみると「ドライバーたちがレース後のクルマを磨いているシーン」でした。みんなクルマを大切にしてくれてありがとう。(特にホセは一生懸命、楽しそうに磨いてくれていましたね!ありがとう。)みんなにもっと気持ちよく走ってもらえるクルマをつくっていきたいと改めて思いました!
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
シーズン最終戦で1-2フィニッシュを達成し、最高のパフォーマンスを見せて締めくくることができました。7号車のタイトル獲得は叶いませんでしたが、素晴らしい仕事を成し遂げた8号車の全員を祝福します。今季もずっとチームメイト同士の僅差の戦いが続きました。今日のこの素晴らしい結果は、ミスすることなく戦い続けたチームとドライバーの努力の賜物です。パートナーと日本の関係者の皆様の多大なサポートに感謝いたします。そして、もちろんここまで我々が強くなるように支えてくれたモリゾウこと豊田会長、佐藤社長のお二方にも感謝しています。今年は多くのマニュファクチャラーとの激戦となる中で、我々のチームとクルマの強さを証明することができました。このような形でシーズンを締めくくることができたことは、間違いなく我々全員にとって誇りとなります。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
複雑な感情の湧くシーズンエンドとなりました。今レースはチームメイトの後方からのスタートで、少しでもポイントを挽回するつもりでしたが、スタート直後のアクシデントでポジションを落としてしまいました。多くの車両をパスしながらの困難な追い上げを強いられ、タイヤにも負担をかけてしまいました。ベストを尽くしましたが、今日は2位が精一杯でした。タイトルを勝ち取った8号車に祝福を贈ります。彼らの戦いぶりはタイトルにふさわしいものでした。今年もハードワークで支えてくれた7号車のメンバー全員に心から感謝しています。そして、常に素晴らしい仕事をしてくれたチームメイトの可夢偉、ホセにも感謝します。良いシーズンでしたし、4勝できたのは素晴らしいことだと思います。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
チームに取って最高の1年でしたし、全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。2台のGR010 HYBRIDが全てのレースで競い合いながらも、常にチームとして協力しあってきました。それが最も重要なことです。今日のレースに勝ち、そしてチャンピオンも勝ち取ったセブ、ブレンドン、亮、おめでとう。我々の7号車も今年は何度も勝利を挙げ、その一員として戦えることができた、本当に素晴らしい1年でした。今日も勝利を目指し、逆転タイトルのチャンスをつかむために全力で挑みましたが、1コーナーでその望みはかなり難しいものになってしまいました。とは言え、そこからよく挽回しましたし、最終的な結果には満足しています。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
また世界チャンピオンを獲得でき、信じられない気分です。本当にチームに感謝します。全てが順調にいき、最後までレースとタイトル争いをリードすることができ、最高の夜になりました。本当に価値のあるタイトルだと思います。もちろん、ル・マンで勝てなかったことは残念でしたが、このタフなシーズンの戦いの中でチャンピオンを勝ち取れたことで、我々の強さは証明できました。何度でもチャンピオンは格別なものですが、今年は安定した走りで勝ち取ったタイトルでした。常に最速というわけではありませんでしたが、困難なレースでも着実にポイントを獲得してきました。最終戦で優勝し、チャンピオンを獲得するというのはシーズンの締めくくりにおいて最高の形です。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
最高の1年でした。8号車、そして、TGRのチームの一員であることを誇りに思います。この最高のシーズンを支えてくれた全員に感謝します。シーズンを通して7号車、またライバルたちとの激しいバトルを繰り広げてきましたが、今日も同じでした。ラップタイムとしては、我々8号車が最速ではないこともあったので、とにかくプッシュし続けました。セバスチャンは今日のレースで最もプレッシャーのかかる、スタート直後の1コーナーをトップで抜けるという大役をこなし、亮と共に素晴らしい仕事をしてくれました。4度目の世界チャンピオン獲得を実感するまでにはまだ時間がかかりそうですが、本当に嬉しいです。
平川亮(8号車 ドライバー)
今日のレースに勝利し、チャンピオンを獲得できて最高です。我々はチャンピオン獲得のために努力を続けてきたので、本当に嬉しいです。今年は厳しいレースもありましたが、常にプッシュを続け、タイトル連覇を達成することができました。シーズンを通して強力なライバルと、難しいコンディションでの戦いを続けてきましたが、今日のレースはいつも以上に厳しいものでした。我々は後続とのギャップを広げてそれを維持する走りを強いられましたが、タイヤの摩耗が激しく、容易ではありませんでした。2年連続で世界チャンピオンを獲得できるなんて、チームに入った2年前には想像もできませんでした。このチャンスを与えてくれたトヨタとハードワークで支えてくれたチーム全員に感謝します。このチャンピオン獲得という結果を、チャンスを与えてくれた皆様への感謝の気持ちとして捧げたいと思います。
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 249 | |
2 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ホセ・マリア・ロペス | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 249 | 47.516 |
3 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 249 | 1:36.286 |
4 | 38 | アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ ウィル・スティーブンス イェ・イーフェイ | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 249 | 1:37.248 |
5 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ポルシェ 963 | 248 | 1 Lap |
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)