FIA 世界耐久選手権 WEC
FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦が、テキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、6時間レースとして行われ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRIDは#8号車が3位、#7号車が4位に入賞した。

予選ではタイヤ選択の失敗などでライバル勢に離されたが、決勝レースではペースを取り戻し、力強い走りを見せた。

#8号車は、優勝したライバル#2号車から21秒680差の3位表彰台。6時間の総走行距離は1,058kmに及んだ。#7号車は4位に入り、共に貴重な選手権ポイントを獲得した。

決勝レースのスタートが切られたのは気温30℃の炎天下の正午。午後6時までの6時間に及ぶ長い戦いが始まった。#8号車はセバスチャン・ブエミがスタートを担当、最初から果敢な走行を続け、1周目の終わりにはポルシェ#2号車をかわして2位に上がった。そして、その直後にはマイク・コンウェイがドライブする#7号車もライバルを抜き去り、2位、3位のフォーメーションで序盤が展開された。

しかし、午後の気温はさらに34℃まで上昇、TOYOTA GAZOO Racingは1スティント毎のドライバー交代を行い、#8号車はブエミから中嶋一貴に、#7号車はコンウェイからホセ・マリア・ロペスに交代した。2台のTS050 HYBRIDはこのピットストップではタイヤ交換を行わず、ドライバー交代と同時にタイヤも交換も行ったポルシェをかわして#8号車が首位でレースをリードした。しかし、ハードコンパウンドのタイヤを選択していた#8号車と異なり、ソフトコンパウンドでレースをスタートしていた#7号車はタイヤ摩耗が激しくなり、ライバル#1号車と競り合いを繰り返した後に4位に後退した。

2回目のピットストップで、#8号車はステファン・サラザン、#7号車は小林可夢偉に交代、両車は同時にタイヤ交換を行った。#7号車も#8号車と同じ磨耗の少ないハードコンパウンドタイヤを装着、小林はリズムに乗った走りでサラザンの#8号車をかわし、前を行くライバル#2号車とのギャップを縮めていった。

レースが半分の3時間を過ぎた頃、壊れたガードレール修復のためにセーフティカーが入り、4台のLMP1-H車が上位で一団になる光景が見られた。しかし、セーフティカーが退場してレースが再スタートを切ると、タイヤを温存して走る2台のTS050 HYBRIDに対して新品タイヤのライバル#2号車が迫り、コンウェイの#7号車は4位に後退、#8号車のブエミも次のピットストップの際に3位に後退した。

レース終盤に入ると2台のライバル勢が逃げ、2台のTS050 HYBRIDがそれを猛追するパターンが繰り返されたが、最終的にライバルの牙城を破ることが出来ず、チェッカーフラッグが振り下ろされた午後6時、中嶋の操る#8号車は優勝したライバル#2号車から遅れること21秒956で3位、小林の#7号車はさらに13秒070遅れて4位でレースを終えた。レース後、#7号車はLMP2カーとの接触に対して10秒のペナルティタイムが加算されたが、順位に変動はなかった。

次戦第7戦は、TOYOTA GAZOO Racingの地元である富士スピードウェイで行われる6時間レースとなる。ここ3戦勝利から見放されているTS050 HYBRIDだが、母国のファンの皆様に今季3勝目をプレゼントすべく、万全の体制で臨む。第7戦富士6時間の決勝レースは10月15日(日)、午前11時にスタートを切る。

TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザン)
決勝: 3位、 192周、ピットストップ 6回、スターティンググリッド:3番手、最速ラップ(1分47秒556)

TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)
決勝: 4位、 192周、ピットストップ 6回、スターティンググリッド:4番手、最速ラップ(1分47秒391)

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表

期待通りにいかなかった昨日の予選結果を挽回すべく、決勝レースではチームの懸命な努力によりライバル勢に肉薄し、僅差の接戦をファンの皆様にお届け出来たことは嬉しく思っています。皆様に我々のファイティング・スピリットをご覧い頂けたと思います。ピット時間を可能な限り短くするという戦略も上手く行きましたし、非常に暑く、厳しいコンディションの中で戦ってくれたドライバーや頑張ってくれたチームのスタッフには感謝をしたいと思います。優勝したポルシェ・チームに祝福を送ります。我々自身は、勝てなかったことは、残念ですが、今日のレースで発揮出来たパフォーマンスは、ホームレースとなる次戦富士へ向けて大きな自信に繋がりました。今度こそは表彰台の真ん中に立つべく、富士スピードウェイへと向かいます。

小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車)

ライバル勢とのバトルに全力を尽くしました。今日の#7号車の戦闘力は高かったので、もう少しポイントを取りたかったのですが、残念ながら、それにはわずかに速さが足りませんでした。しかし、前戦メキシコから速さを取り戻せたことは良い兆候ですし、更にレベルを上げて富士へ向かいます。

マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車)

私が担当した第1スティントの後はとても調子がよく、行けると感じていたのですが、次のスティントではタイヤのグリップが厳しくなり、タイムを失いました。セーフティカー導入も我々には味方せず、ライバル#2号車の接近を許してしまいました。全体的に見れば、やや残念な結果ではありましたが、昨日の予選を考えれば力強さを見せられた決勝だったと思います。

ホセ・マリア・ロペス (TS050 HYBRID #7号車)

今日は少し複雑な気分です。ライバル#1号車とのバトルを楽しみ、良いレースが出来たのでその点では嬉しいですが、一方で4位は、勝つためにここに来た我々にとっては、レースの内容に見合ったものとは言い難い結果です。しかし、我々は諦めることなく、予選の後にはしっかり速さを取り戻せたことは良かった面でした。次戦は更なる速さを見せられることを願っています。

中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車)

私の最初のスティントでは首位でレースをリードすることになり、期待以上で良い気分で走れました。我々の走行ペースは良く、後続との差をコントロールすることも出来たのですが、レース終盤、ややスピードを失ってしまいました。3位という結果だけ見れば前戦メキシコと同じですが、今回のレースでは大きな進歩を遂げました。上位争いが出来たので、次戦の富士、そして残りのシーズンへ向けては更に良いレースが出来ると思います。

セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車)

正直なところ、昨日の予選を終えた時点では、我々はライバル勢に離されてしまい、バトルは出来ないのではないかと心配していました。しかし、中盤、摩耗したタイヤでも良いペースで走ることが出来ました。上位を争うために、混雑したコース上で他のクラスの車両をパスして行くのは大変でしたが、可能な限りハードに攻めました。しかし、最後はややペースが落ち、勝利を争うまでには至りませんでした。

ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #8号車)

再び皆と共に表彰台に上がることが出来て嬉しいです。セバスチャンと一貴、そしてチーム全員が素晴らしい仕事をしてくれました。予選の後、少し気落ちしていたのですが、決勝は力強いレースで、接近戦を繰り広げることが出来ました。富士へ向けてTS050 HYBRIDを改良すべく更なる努力が必要ですが、富士では毎年速さを見せていますし、期待しています。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)