WRC:トヨタ 第3戦 クロアチア・ラリー プレビュー
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、4月22日(金)から24日(日)にかけて、クロアチアのザグレブを中心に開催される、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦「クロアチア・ラリー」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(4号車)の、3台のGR YARIS Rally1で参戦。昨年1-2フィニッシュを達成したターマック(舗装路)ラリーで、今年も優勝を目標に戦う。

GR YARIS Rally1のデビュー2戦目となったラリー・スウェーデンで優勝したロバンペラは、ドライバー選手権で首位に、チームはマニュファクチャラー選手権で首位に立った。そして迎える第3戦クロアチア・ラリーは、今シーズン最初のピュア・ターマックラリーとなる。開幕戦ラリー・モンテカルロも基本的にはターマックラリーだったが、一部区間は雪で覆われており、雪道用のタイヤを装着して走行した選手も少なくなかった。クロアチアは、昨年初めてWRCとして開催され、ターマックながらグリップレベルの変化が大きい舗装路面が、多くのドラマを演出した。ラリーをリードしたエバンスは、チームメイトであるセバスチャン・オジエとの激しい戦いの末、優勝こそ逃したが総合2位を獲得。チームは1-2フィニッシュを果たした。今年のクロアチアに関しては、ラリー・スウェーデンで総合3位に入ったラッピがGR YARIS Rally1のステアリングを握る。また、昨年はSS1でのコースオフによりラリーを終えたロバンペラは、ドライバー選手権首位の座を守るべく、2回目のクロアチア・ラリーに挑む。なお、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationから出場する勝田貴元は、昨年このラリーの2本のSSでベストタイムを取っており、今回もGR YARIS Rally1で参戦する。
ラリーのサービスパークは、ザグレブ中心部の見本市会場「ザグレブ・フェア」に置かれ、ステージは隣国のスロベニアに近いエリアに設定される。舗装コンディションは一定ではなく、それに伴いグリップレベルも変化。また、コーナーのインカット走行により泥や砂利が路面に掻き出され、ステージを再走する際は非常に滑りやすいコンディションとなる。コースは中高速コーナーが続き、ジャンプをするようなアップダウンの激しい区間もあれば、低速で曲がりくねったテクニカルな区間もあり、選手には幅の広い対応力が求められる。

ラリーは21日(木)にシェイクダウンとセレモニアルスタートが行われ、22日(金)から競技がスタート。初日は昨年大会でも使われた4本のステージを、午前と午後で2回走行。ステージの合計距離は120.38kmと、3日間で最長の一日となる。競技2日目の23日(土)もまた、4本のステージを各2回走行。うち3本のステージは前日と同じくザグレブの南西エリアが舞台となるが、SS11/15は西に大きく移動し、アドリア海に面したリエカの町の近郊で行われる。最終日の24日(日)は、ザグレブの北側で2本のステージを各2回走行。SS17/19は今回初めて使われる新ステージとなり、SS18/20のうちSS20はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で20本、合計291.84km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1642.18kmが予定されている。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
新しいレギュレーション下での開幕2戦は非常に激しいものでしたが、しばらく間が空いたことで、ここまで学んできたことを評価してGR YARIS Rally1の開発を進めることができました。サルディニア島ではグラベルテストを、先週はクロアチアで事前テストを行ないました。これまでは信頼性とハイブリッドシステムの機能面にフォーカスして開発をしてきましたが、これからはクルマのセットアップを最適化し、さらに戦闘力を高めていくことが可能になります。クロアチア・ラリーでの大きな課題は、ステージの路面状態が変わりやすく、グリップレベルが大きく変化することです。昨年は多くのドライバーがその変化に驚きましたが、今年で2回目の参戦となるドライバーは、どうなるのか予想することができるでしょう。カッレは昨年あまり長い距離を走っていませんが、ポイントを獲得し続けることの重要さを理解しています。エルフィンは2021年に勝つ寸前まで行ったので、今年もいい結果を狙っているはずです。一方、エサペッカにとっては完全に新しいラリーとなります。各選手はそれぞれ異なるアプローチでラリーに臨むことになりますが、それが最終的にチームにとって良い結果に繋がることを期待しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
前回のラリーが終わってからかなり長いブレイクがあったので、クルマに戻ってテストを行ない、クロアチアに向けて準備をすることが嬉しく感じられます。今年の序盤は自分が望んでいたようなスタートにならなかったので、前を向いて、これからのラリーでパフォーマンスを発揮することに集中する必要があります。クロアチアは決して簡単なラリーではありませんが、昨年はいい戦いができたので、今年も力強い走りができると思っています。昨年の出場で学んだことがいくつかあるので、今年は様々なコンディションに対応できるようなクルマに仕上げています。テストでは、実際のラリーと同じような滑りやすい路面を走行しましたが、オプションをいくつか試す上では良い走行条件でした。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
クロアチアに向けて、再び走り始める瞬間を待ち望んでいましたし、そのように思うことができるのはいい兆候です。開幕してからまだ2戦しか終了していませんが、シーズン序盤にポイントを多く獲得できたのは嬉しいことです。去年もチャンピオンシップをリードしてクロアチアに臨みましたが、今回はもっといい結果を残したいと思っています。去年は大部分のステージを経験することができなかったので、大きなチャレンジになるとは思いますが、ライバルよりも経験が少ない状況での戦いはこれまでに経験してきているので、ベストを尽くして戦いたいと思います。テストでの感触はポジティブでしたし、クルマは大きく進化したので、ラリー本番でも上手くいくことを願っています。

エサペッカ・ラッピ (GR YARIS Rally1 4号車)
クルマをシェアする、セブと交代する形で出場したスウェーデンは、素晴らしいシーズンのスタートになりました。これで自信を持つことができたと思いたいですが、良く知っている雪道でのラリーでしたし、スウェーデンに関しては比較的楽に戦うことができたと思います。一方、クロアチアは自分にとって完全に新しいラリーとなりますが、どのような戦いができるのか楽しみです。テストでは、クルマはとてもいいフィーリングでした。ターマックを走るのは本当に久しぶりでしたが、グリップは信じられないくらい高く、非常に印象的でした。また、ハイブリッドブーストによるパワーがいかに凄いかもよくわかりました。クロアチアの道は、フィンランドのように多くの丘やジャンプがあるなど独特なターマックで、とても楽しめるものでした。また、路面には多くのグラベルが掻き出されますが、そのような路面に対しても上手く対応したいと思っています。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)