幻のF1マシン:トヨタ TF110 “優勝を狙えるポテンシャルがあった”
トヨタが2010年のF1世界選手権にむけて開発していた“TF110”は実際にレースで走ることなく眠ることになった。

トヨタF1チームは、2010年マシン『TF110』を完成させていたが、トヨタは2009年末にF1から撤退することを決定した。当時チーム代表を務める山科忠は「可夢偉をこのまま終わらせたくない」と涙を流しながら悔しさをにじませた。

8年間の活動で1勝も挙げることができなかったトヨタトヨタF1チームだが、シニア・ゼネラル・マネージャーを務めていたパスカル・バセロンは、TF110には優勝を狙えるポテンシャルがあったと振り返る。

「我々が開発を止めた時点で(新車の)ダウンフォースは20〜30ポイント多かった。我々は目標を上回っていた。TF109でさえ十分に表彰台を狙えた。我々のエアロダイナミクスの人間の多くが他のトップチームに移籍した。我々のダウンフォースの価値がかなり高かったことはわかっている」

トヨタ TF110は非常に高いノーズを採用している。

「我々は既存マシンで最も高いノーズをあえて提案する。このようにした場合のみディフューザーが完璧に働く」

パスカル・バセロンはTF110は他の面も“急進的”だったと述べた。

「初レースに向けて、ブロウン・ディフューザーのあるアップデートパッケージが進行中だった。なので、レッドブルと我々が最初だった」とパスカル・バセロンは語った。

レッドブルがRB6に採用したブロウン・ディフューザーは、排気ガスをディフューザーに吹き付けることで、気流の整理し、ダウンフォースを増加させる仕組み。特にコーナーでのダウンフォースを最大限に引き出すべく、スロットルをオフにした状態でもディフューザーに排気ガスを継続して吹き付けられるようにエンジンマップが調整された。

2010年のF1世界選手権で、レッドブル RB6は9勝を含む19回の表彰台を獲得し、チーム創設以来初となるドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権を制している。

赤に塗装されたトヨタ TF110は、2010年のF1参戦を目指していたステファンGPがS-01という名称で走らせる予定であり、中嶋一貴とジャック・ヴィルヌーヴがシート合わせを実施していたが、ゾラン・ソテファノビッチ代表に財政能力はなく契約は破綻。その後、ヒスパニア・レーシングがTF110の使用契約を目指したが、それも財政的な問題によって破綻した。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / F1マシン