F1 トロロッソ・ホンダ
トロロッソ・ホンダのチームスタッフがピエール・ガスリーにとってのホームグランプリにチーム一丸となって挑んだものの、期待していた結果を獲得することができなかった第8戦F1フランスGPの週末を振り返った。

フランスGP直前の火曜日、ホンダは2019年からレッドブルへのパワーユニット供給に合意したことを発表。直後のフランスGPは、メディアを始めとした関係者から多くの関心を集めていた。

そんな独特の緊張感の中で始まったフランスGPは、これもまた独特の雰囲気に包まれたグランプリとなった。フランスGPとしては10年振りの開催、そしてポール・リカール・サーキットでは実に28年ぶりというエポックメイキングな大会だった。屈指の歴史と伝統を誇り、ヨーロッパのモータースポーツの象徴とも言うべきフランスでのグランプリ復活に、サーキットは初日から沸いていた。決勝日には6万5000人、週末を通して15万人という多くのファンや観客が押し寄せ、会場内でのイベントやレース前のセレモニーも華やかさと伝統を意識した、独特の雰囲気を醸し出していた。

トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーにとっては母国グランプリであり、前戦から投入されたアップデートを施したパワーユニットの手応えも相まって、大会前のガスリーは強い意気込みを見せていた。トロロッソ、そしてホンダもそれに応えるべく準備を進め、チーム全体にとってもフランスGPは特別なグランプリとなっていた。「ピエールにいい結果を」チームのだれもがそう思っていたに違いない。

前戦では、パワーユニットのトラブルやレース中のクラッシュなど、少し歯車の狂いが感じられたトロロッソ・ホンダだが、今回もその流れを変えることはできなかった。初日の金曜日、ピットガレージの電源が落ちるというアクシデントが発生。想定外の出来事で、チームは混乱した。またP2ではパワーユニットのトラブルに見舞われ、ハートレーはパワーユニット交換を余儀なくされた。これは運では済まされないことだが、悪い流れの中でのトラブルは、負の流れを加速させてしまったようだ。

「P2の最終盤でハートレー選手のパワーユニットにトラブルが発生してしまったことは非常に残念でした。これから問題の原因と、パワーユニットが負ったダメージの大きさについて分析を行い、その結果に従って明日以降のパワーユニットオペレーションを決めていきます」とホンダ F1 テクニカルディレクターの田辺豊治は苦しい表情を見せた。トラブルを起こしたパワーユニットはすぐさま日本のHRD Sakuraへ送られ、原因究明と対策が進められている。

土曜日、2台はともにパワーユニットを交換し、P3と予選に臨む。ガスリーは前日は比較的好調だったが、これはマイレージを考慮してカナダGPの予選で使用したパワーユニットでの走行だった。2日目からは、カナダGPのレースで使用した最新仕様のパワーユニットで挑んでいた。P3は想定外の激しい降雨により、ほとんど走行できないセッションとなったが、前日のデータを基にパワーユニットのセットアップを実施。ただ、周囲のライバルが予選終盤に向けてタイムアップを果たす中でガスリーのタイムは伸び悩み、予選は14番手。ガスリーも、チームも落胆せざるを得ない結果だった。

決勝では、ガスリーは1周目にアクシデントでリタイア。強い意気込みで臨んだ母国グランプリでの最悪の結果に、ガスリーは落胆を隠せなかった。一方、パワーユニット交換のペナルティーで最後尾からのスタートとなったハートレーは、降雨を予測した戦略でジャンプアップを狙う。が、降水確率60%、空には雨雲も顔を覗かせながらレース中の降雨はなく、ハートレーにチャンスは訪れなかった。

「全体として難しい週末になりました。初の母国グランプリとなったガスリー選手がスタート直後にクラッシュに巻き込まれリタイアとなったことは、我々だけでなくフランスのファンにとっても、残念な結果です。来週にはまたすぐにオーストリアGPがやってきますので、気持ちを切り替えて準備を進めます」と田辺豊治。サマーブレイク(夏休み)前の、6週間で5戦という過密スケジュールの初戦は、こうして終わった。流れを好転させるべく、チームスタッフは懸命の努力を続けながら連戦に挑む。

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カテゴリー: F1 / トロロッソ / ホンダF1 / F1フランスGP