F1 トロロッソ オーストラリアグランプリ 2018年のF1世界選手権
トロロッソ・ホンダの初陣となった2018年のF1世界選手権の開幕戦オーストラリアGPは厳しい結果となった。

マクラーレンのエンジンサプライヤーだった3年間で信頼性とパフォーマンス不足が露呈していたホンダは、今シーズンから新たにトロロッソとタッグを組んだ。冬季テストではホンダのF1パワーユニットに大きな信頼性トラブルは発生せず、あとはどれだけ速さを見せられるかという疑問を残して開幕戦を迎えた。

その疑問は初日のフリー走行から不安となって現れる。ブレンドン・ハートレーはトップから1.994秒差の16番手、ピエール・ガスリーは2.014秒の17番手タイム。ザウバーの2台とウィリアムズの新人セルゲイ・シロトキンをわずかに上回るタイム。だが、予選・決勝ではまだ速さを見せるのではないかとの期待をもたせた。

だが、予選ではブレンドン・ハートレーが16番手、ピエール・ガスリーは20番手と2台揃ってQ1で敗退。金曜日から序列が変化することはなかった。特に昨年とのラップタイム比較では大きな不安を残した。残りのチームが昨年よりもタイムを改善しているのに対し、トロロッソ・ホンダだけが昨年からタイムを下げていたのである。

予選ベストラップ 前年比
チーム2018年2017年改善幅
マクラーレン1:23.6921:25.425-1.8
ザウバー1:24.5561:26.465-1.7
レッドブル1:21.8791:23.485-1.6
ルノー1:22.5321;24.975-1.1
フォース・インディア1:24.0051:24.997-1.1
メルセデス1:21.1641.22:188-1.0
ハース1:22.1871:24.074-0.9
フェラーリ1:21.8281:22.458-0.6
ウィリアムズ1:24.2301:24.443-0.2
トロロッソ・ホンダ1:24.5321:24.443+0.04

迎えた決勝でも戦いに交わることはできず、ブレンドン・ハートレーが最下位15位。ピエール・ガスリーはリタイアという厳しいスタートとなった。

レースペースでは戦力ダウンが顕著に現れるものとなった。レースペースを改善できなかったのはハース、ウィリアムズ、トロロッソの3チーム。だが、ハースは25周目に2台がリタイアしており、各チームがファステストタイムを記録したレース後半にはコース上にいなかった。ウィリアムズも昨年フェリペ・マッサが記録したタイムを下回ったものの、ランス・ストロール個人としてはタイムを改善させている。実質、レースペースを改善できなかったのはトロロッソ・ホンダだけとなる。

決勝ファステストラップ 前年比
チーム2018年2017年改善幅
マクラーレン1:26.9581:29.440-2.4
ルノー1:27.0811:28.486-1.4
レッドブル1:25.9451:26.964-1.0
フォース・インディア1:27.6001:28.336-0.7
フェラーリ1:26.3731:26.538-0.4
ザウバー1:28.7591:29.052-0.2
メルセデス1:26.4441:26.593-0.1
ウィリアムズ1:28.5111:28.045+0.4
ハース1:28.8051:27.568+1.2
トロロッソ・ホンダ1:28.1761:26.711+1.4

特に戦力の差となって現れたのはドライバーだ。昨年、トロロッソは3年目のカルロス・サインツと4年目のダニール・クビアトでシーズンをスタート。カルロス・サインツはルノーに移籍する直前のF1シンガポールGPのレースでは4位入賞を果たしている。しかし、後任として加入したピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーは1度ずつQ2に進出したのみ。特に後半戦はルノーのF1パワーユニットに信頼性トラブルはあったものの、最高位はピエール・ガスリーの12位。ポテンシャルのあるマシンでポイントを獲得することはできていなかった。

F1オーストラリアGPでも、二人の事実上ルーキードライバーにはミスが多かった。アルバート・パークが初めてのコースであり、フリー走行3回目が雨という悪条件があったものの、予選ではピエール・ガスリーが予選でコースアウトを喫して最下位20番手、決勝ではブレンドン・ハートレーがオープニングラップの1コーナーでブレーキをミスして大きなフラットスポットを作り、早々に戦線から脱落している。

結果はシャシー、エンジン、ドライバー、チーム力で決まるもの。トロロッソが今季型シャシーで失敗をした可能性もあるが、残りの要素も大きな割合を占めることになる。

ホンダに関しては、昨年のマクラーレン・ホンダの予選ベストタイムはフェルナンド・アロンソの1分25秒872、今年はブレンドン・ハートレーが1分24秒532をマークしており、ホンダのF1パワーユニットとしては約1.4秒のタイムアップを果たしたことになる。しかし、決勝でMGU-Hの故障でリタイアという開幕戦で最もやってはいけない信頼性トラブルが発生した。

トロロッソの両ドライバーは、予選で0.2~0.3秒を稼げればQ2に進出できており、マシンにはポテンシャルがあると語っている。だが、自らが招いたミスによりそれを実現できなかったわけであり、他のドライバーも完璧な仕事ができていたわけではない。経験不足というハンデは、今後のレースの様々な場面でさらに大きな違いを生り、“ドライバーのミス”が注目ワードとなるかもしれない。

ターゲットに挙げたフォース・インディアは、開幕戦に“ほぼ新車”を持ち込んでおり、フリー走行3回目でセットアップを見送って、第2戦バーレーンGPに照準を合わせている。また、ホンダの元相方のマクラーレンは予選ペースで1.8秒、レースペースでは2.4秒という改善を果たしている。マクラーレンもまた冬季テストの信頼性トラブルにとって開幕戦仕様のマシンは妥協を強いられており、第2戦ではさらなるタイムアップを見込んでいる。

2018年のF1世界選手権のメルセデス、フェラーリ、レッドブルの上位グループ、ハース、マクラーレン、ルノー、フォース・インディアの中位グループ、そして、トロロッソ・ホンダ、ウィリアムズ、ザウバーの下位グループという勢力図がより明確になったと感じられた開幕戦。

序盤戦で、中団グループの中でマクラーレンやフォース・インディアのテールを追いかける位置につけるにはまだまだ多くの課題が残っている。

昨年、マクラーレン・ホンダは初ポイント獲得まで8戦を要した。トロロッソ・ホンダは何戦を要することになるだろう?

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カテゴリー: F1 / トロロッソ / ホンダF1