スーパーフォーミュラ
野尻智紀、自身2度目の優勝を飾る
10月26日(土)~27日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)で2019年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第7戦 JAF鈴鹿グランプリが開催された。26日(土)には前日まで降った雨は止み、曇天の下でフリープラクティスが行われた。

午後0時25分からは公式予選Q1セッションが始まった。

今回も前戦に続きコース上の混雑を考慮してランキング順で交互にA組、B組の2グループに分けたうえ10分ずつ計測を行い、各グループ上位6人ずつがQ2へ進出するという特別規則のノックアウト方式が採用された。

A組では#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が、#1山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を押さえてベストタイムを記録。B組では#5福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がベストタイム、#65牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が2番手に続いて、合計8台のHonda勢がQ1を突破しQ2へ進んだ。

Q2セッションでは#5福住がベストタイムを記録、#50ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、#1山本が続き、Q2に進出した全12台のマシンの中から7台のHonda勢がQ3セッションへ進んだ。

Q3セッションでは#64パロウがただひとり1分35秒台に入る1分35秒972を記録してポールポジションを獲得した。2番手に#16野尻智紀(TEAM MUGEN)、3番手に#50アウアーが続き、現在ランキングトップで2年連続の王座を目前にしている#1山本はスターティンググリッド5番手となった。

決勝レーススタート時点のシリーズポイントは、#1山本が29点、#37ニック・キャシディ(トヨタ)が28点、#65パロウがポールポジションポイントを加えて26点、#3山下健太(トヨタ)が21点、#18小林可夢偉(トヨタ)が19点となっており、この5人にシリーズチャンピオンとなる可能性が残されていた。

決勝レースは晴れ間の見せる空の下、午後2時にスタートした。ミディアムタイヤを装着した#65パロウがポールポジションからうまく加速し先頭で周回を始めた。その後ろにはソフトタイヤの#16野尻、スタートで混乱を抜け出した#1山本が続いた。

#64パロウは8周を終えて予定どおりピットイン、ソフトタイヤに交換してレースに復帰した。#64パロウにかわって先頭に立った#16野尻はソフトタイヤのまま#37キャシディを従えて周回を重ねる。

一方、ソフトタイヤで走り出した#64パロウは原因不明のグリップ不足に陥ってペースが上がらず徐々に順位を落とすこととなってしまった。#64パロウと同じ作戦を採った#5福住は同じタイミングでタイヤ交換をすると、ペースの上がらない#64パロウをかわして順位を上げ、それ以降は自分のペースを守って徐々に順位を上げていった。

先頭の#16野尻は33周を走ってピットイン、ミディアムタイヤに交換して事実上のトップを守ったままレースに復帰し、そのまま#37キャシディの追撃を振り切って43周を走り切ってチェッカーフラッグを受けた。2014年第6戦以来2回目の優勝を果たした。3位にはスーパーフォーミュラで自身初の表彰台となる#5福住が入賞した。

#1山本はミディアムタイヤからソフトタイヤへ交換する戦略が裏目に出て、#37キャシディの先行を許し、5位でフィニッシュした。この結果、ポイントランキングで#37キャシディに逆転されランキング2位でシーズンを終えたが、所属するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGは、チームチャンピオンに輝いた。また、ポールポジションからスタートしながら予定外のタイヤ交換ピットインを強いられて順位を落とし19位に終わった#64パロウは、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

野尻智紀(優勝)
「朝のフリー走行をソフトタイヤで走った時に、一発のタイムは出せてもグリップダウンが激しかったので、少しセッティングを変えて決勝に臨んだところ非常にいい感触になって勝てました。2014年、スーパーフォーミュラデビューしたシーズンに1勝して以来、本当に長いこと勝てずにいたので、今年はチームを移籍したこともあって心機一転がんばろうと思っていたのですが、ここまでなかなかうまくいきませんでした。でも最後にこういういい形で勝ててよかったです。優勝はこんなに気持ちのいいものだったんだなと思うと同時に、やっぱりレースは勝たなくてはダメなんだと実感しました」

福住仁嶺(3位)
「毎戦同じことなのですが、今回もタイヤ選択が難しいレースでした。シリーズチャンピオンを賭けて走るチームメートの山本選手とは(ピットインのタイミングをずらすため)違うタイヤで行こうかとも思ったのですが、僕も勝ちたかったのであえて同じミディアムタイヤでのスタートをすることに決めました。そうした結果、表彰台に上がれたのでうれしい反面、山本選手がチャンピオンを獲れなかったので悔しい気持ちもあります。マシンは自分が思っていたよりずっといい仕上がりだったので、チームに感謝しています」

村岡潔 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING代表
「Hondaさんの若手育成を担当してこれまでチームを運営し、今回2度目のチームチャンピオンになれて、とてもうれしいです。これまでHondaさんから受けたサポートに感謝しています。ただ、今回のレースに限っていえば、我々は走り出しから速さが足りませんでした。チャンピオンを目指していた山本に選手に十分に速いクルマを用意できなかったので、とても申し訳ないことをしてしまいました」

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ