2025年F1 スペインGP:注目すべき5つのストーリー
2025年シーズン2度目の三連戦は今週末のF1スペインGPで幕を閉じる。ヨーロッパラウンドの流れの中で重要な位置を占めるこの一戦は、勢力図の変化、規則変更、各チームのアップグレードなど、多くの注目要素が詰まった週末となる。

舞台となるバルセロナは、マシンの総合力が問われる伝統的なサーキットであり、特に高速コーナーを通じた空力性能の違いが明確に表れる。

さらに今大会からFIAによるフロントウイングの柔軟性テストが強化されることで、コンストラクター間の相対的な強さに変化が生まれる可能性もある。

1.ノリスは連勝なるか?
2025年シーズンの開幕戦オーストラリアGPでポール・トゥ・ウィンを飾ったランド・ノリスだったが、その後は同様の勢いを維持するのに苦労していた。

スペインGP F12025年モナコGPでポール・トゥ・ウィンを決めたランド・ノリス

マクラーレンのノリスは予選一発の速さをなかなか引き出せず、再びポールポジションと勝利を手にしたのは、前戦モナコGPにおいてだった。ここまでオスカー・ピアストリが4勝、マックス・フェルスタッペンが2勝を挙げ、ポールポジションもこの2人で分け合ってきたなかで、ノリスはわずかに出遅れていた。

だが、モナコでは年間で最もプレッシャーのかかる予選でポールを獲得し、それを勝利に結びつけた。これにより、選手権首位ピアストリとの差はわずか3ポイントに縮まっている。

本人は「シーズン前半の課題を乗り越えた」と断言するには時期尚早だとしつつも、予選での自信が高まりつつあることを認めている。モナコとはまったく異なる特性を持つバルセロナで、その進歩を証明できるかが注目される。

2.レッドブルは復調なるか
サーキット特性の違いにより、チームのパフォーマンスは大きく変動する可能性があり、今週末のスペインでは特にレッドブルにその傾向が顕著に現れるかもしれない。

スペイングランプリ F1モナコGPで4位に終わったマックス・フェルスタッペン 今週末のバルセロナでは巻き返しを狙う

フェルスタッペンはエミリア・ロマーニャGPで、予選フロントロウからスタートし、首位に立ってそのまま快勝した。日本GPやジェッダでも強さを見せており、これらはすべて高速コーナーを備えたサーキットだ。

モナコGP前には、フェルスタッペンは控えめな姿勢を見せており、実際に予選・決勝ともに4位に終わった。モナコは近年のレッドブルにとって不得意なトラックのひとつであり、それは想定内だった。

一方で、イモラでの勝利直後、フェルスタッペンはバルセロナがレッドブルにとってより適したサーキットであると強調していた。バルセロナは高速コーナーが多く、マシンの空力性能を試すには格好の舞台であり、フェルスタッペンが再びマクラーレン勢に挑む可能性は十分にある。

3.メルセデスは立て直せるか
レッドブルが復調を期待される一方で、メルセデスにとっては「これ以上悪くなることはない」とも言えるほどの再起が求められる週末となる。

モナコでは予選Q2で2台とも敗退し、決勝でも戦略的に苦しんだ。レーシングブルズやウィリアムズの動きに阻まれた結果、ジョージ・ラッセルはシケインをカットしてアレックス・アルボンを追い抜き、ペナルティを受けて11位でゴール。ポイント圏に届かなかった。

チーム選手権では依然として2位につけているが、レッドブルとの差は4ポイント、フェラーリとの差も5ポイントと接戦となっており、今回の失速は痛手となった。

昨年のメルセデスは高速かつスムーズなサーキットで強さを発揮していたが、高温コンディションは苦手であり、今週末のスペインGPは高温が予想されている。表彰台争いに返り咲くには簡単な週末にはならないだろう。

4.フロントウイング柔軟性への新規制
ただし、これらすべてに影響を及ぼす可能性があるのが、スペインGPで導入されるフロントウイングの柔軟性に関する新たな技術規則だ。

2025年F1 スペンGPフロントウイング規制強化が導入されるスペインGP 各チームの対応が注目される

FIAはフロントウイングのたわみ試験において、これまでよりも高い荷重を加える厳格な検査を導入する。1月末に発表されたこの変更は、各チームが現行のウイング設計を大幅に見直さずに済むようスペインGPまで延期されていた。

新規制では、静荷重における最大たわみ許容値が15mmから10mmに縮小される。ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズは、この変更が「一部のチームにとって極めて大きな影響を与える」と見ており、フェラーリのフレデリック・バスールも「勢力図を塗り替える可能性がある」と語っている。

一方で、影響は限定的と見ているチームもあり、いずれにせよ多くのチームが新たなウイングを投入する見込みである。どちらの見解が正しかったのかは、今週末の走行で明らかになるだろう。

5.さらなるアップグレードは?
スペインGPに向けて各チームが新型フロントウイングをFIAに提出することは既定路線だが、他にもアップグレードが投入される可能性は高い。

かつてはバルセロナが欧州ラウンドの幕開けであり、プレシーズンテストの舞台でもあったことから、チームが大規模アップグレードを持ち込む定番の舞台だった。

現在のカレンダーでは状況がやや変化しているものの、すでにイモラやモナコといった欧州ラウンドで一定のアップグレードが導入されてきた。それでも、空力性能と効率が問われるバルセロナは、マシンの真の実力を測る重要なサーキットだ。

シーズン全体の3分の1を終えた段階で、今回のアップデートが選手権争いに大きな影響を与えることは十分にあり得る。

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カテゴリー: F1 / F1スペインGP