佐藤琢磨
佐藤琢磨が、インディカー第11戦ポコノのレース週末を振り返った。

1989年以来、久しぶりにポコノで開催されたインディカレースにおいて、佐藤琢磨は、6台で構成されるトップグループの4番手を走行中、この日のファステストラップとなる218.320mph(約349.3km/h)をマークした直後に、それまでトップ争いを演じていたライアン・ハンター-レイとピットレーンで接触した。

それまで、すべては順調だった。これ以前に行われた2度のテストには参加しなかったものの、佐藤琢磨とAJフォイト・レーシングは木曜日に実施されたセッションで侮りがたいスピードを発揮すると、土曜日のプラクティスでも力強い走りを示していた。

「ポコノは素晴らしいコースで、魅力的な会場です」と佐藤琢磨はコメント。

「コースの形状はトライオーバルと呼ばれるもので、コーナーの性格はすべて大きく異なっています。ハイバンクのターン1は大きく回り込んでおり、230mph(約368km/h)に達するストレートエンドから進入するととてもトリッキーなうえ、コース幅も狭くなっています。軽いキンクのあるターン2はほとんどストレートと見なせますが、それでも誰かに続いて進入するとものすごくトリッキーです。資料によれば、ターン3のバンク角は6度だそうですが、実際に走るととてもフラットで、コーナーのアウト側に滑り落ちそうになります」

「このコース全体がドライバーとエンジニアにとっては大変なチャレンジとなることはいうまでもありません。通常のオーバルコースでは、どのコーナーも速度域やバンク角がとてもよく似ているため、完璧なセットアップを追求することになります。けれども、このコースではいくつかの部分に分けて考える必要があります。たとえば、ターン1とターン3ではまったく特性が逆で、ターン1では強いアンダーステア傾向ですが、ターン3ではニュートラルからオーバーステア傾向となります」

「レース前の木曜日にテストができたことはとてもよかったと思います。いくつかのチームは4月に、そしてまたいくつかのチームは火曜日にテストを行なっていました。まったくテストをしなかったのは、僕たちを含め、ごく一部です。走り始めて最初に気づいたのは、僕たちのベーシックなセットアップがこのコースでは有効であるということ。そこで僕たちはこれを基本にセットアップ作業を進めることができ、とても効率的でした」

土曜日に1回のみ行われたプラクティスでは予選シミュレーションを1度だけ試し、続く公式予選では8番手のタイムをマークした。

「このときはものすごく満足できました。やるべきことはなにひとつ残っていないように感じられたほどです」

日曜日の午前中には“予選後プラクティス”という名の、実質的なウォームアップ・セッションが実施されたが、ここで佐藤琢磨は2番手のタイムを記録した。

「このときはレースシミュレーションに近いことを行いました。僕たちは集団になって走行したので、このタイムを鵜呑みにするわけにはいかないでしょう。僕は強力なトウ(スリップストリーム)に助けられていたからですが、それでもタイムシートの上位に名を連ねるのは悪い気分ではありません。レースコンディションでは、スタビリティを確保するためにもっとウィングを立てる必要があると予想されましたが、基本的なセットアップは良好で、僕は満足していました」

「それにしても1ラップを走るのにとても忙しいコースです!コーナーの性格が異なることから、僕は1周の間にアンチロールバーやウェイトジャッカーをこれほど激しく使うことは今まで経験したことがありません。たとえば、ターン1ではフロントのアンチロールバーを軟らかく、リアを硬くして、ターン3ではその反対に調整する必要がありました。日曜日の決勝レースでは同じ操作を毎周やらなくてはいけなくなりそうな感じです」

レースが始まると、ジェイムズ・ヒンチクリフがクラッシュしたために佐藤琢磨は6番手に浮上。続くリスタートではエリオ・カストロネヴェスをパスし、あっという間に5番手に立った。やがて6台で構成されるトップグループは徐々に後続を引き離していく。そして最初のピットストップがグリーンのまま始まったときも、琢磨は引き続き5番手につけていた。

ウィル・パワーがピットストップを行ったときには、フォイト・チームの絶妙な働きぶりにより、パワーが本来のスピードに到達する前に佐藤琢磨はこれをオーバーテイク。その1周後にはトニー・カナーンを攻略して3番手につける。この結果、前を走るのはマルコ・アンドレッティとハンター-レイのふたりだけとなった。

「エリオとは何度か抜かしたり抜かされたりになりました」

「スタートとその直後のリスタートはうまくいき、そこから徐々にポジションをあげていくことができました」

「しばらくすると、順位を上げるのが少し難しくなりましたが、僕は速いクルマを追い続けました。トップグルーブに混じって走るのは気持ちよく、僕は次のスティントで何が必要になるかを考え、その準備をしていました。最初は十分なグリップ力があると考えていましたが、やがてトップスピードを伸ばす必要を感じてきたので、最初のピットストップでは少しウィングを寝かせることとしました」

残念なことに、一旦は周回遅れの影響でトニー・カナーンに抜かれて4番手となったが、心配には及ばない。

「ちょっと行き場を失ってしまったけれど、問題ありません。レースはまだ長く、スピードを取り戻せることもわかっていました。トップを走るマルコの姿はまだ見えていたし、ライアンが彼を追っていて、さらにTK、僕と続いていました。また、次のピットストップではもう少しセットアップを変更する計画も立てていました」

2回目のピットストップもグリーン中に行われたが、ここからすべてが悪い方向に流れていってしまう。

「とにかく、攻め続けるしかありませんでした。最初のピットストップでは、ピットレーン進入時に少し減速しすぎたと感じていたので、2度目のピットストップでは進入速度をもう少し速くし、ギリギリの線を狙うつもりでした。また、次のピットストップが間近に迫っていることもわかっていました」

「しかし、僕は判断を誤ってしまった。僕が気づいたときには、ライアンにものすごいスピードで近づいていました。そこでさらにスピードを落とそうとしたところホイールがロックし、マシンがスライドして彼と接触してしまいました。これは本当に残念でした。ライアンとアンドレッティ・モータースポーツには申し訳ないことをしたと思っていますし、今週末もトップ争いを演じられるマシンを用意してくれたメカニックたちにも謝らなければいけません」

「一刻も早くコクピットに戻りたいですね。これまでエキサイティングなオーバルレースをいくつか経験して、チャンピオンシップのことを考えるとシーズンはとても重要な時期に差し掛かっていると思います。僕たちの強さについては自信があります。僕たちはトロントのレースを懸命に戦い、最高の結果を手に入れたいと思います」

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カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨