2026年F1バルセロナテスト初日で分かった9つポイント
バルセロナで行われた非公開形式の2026年F1テストは、近年でもっとも異例なテスト初日となった。

徹底した情報統制、意図せず一時的に利用可能となったライブタイミングの発覚(そして遮断)、そして何よりも複数台のマシンが実際に走行したことが、この日を奇妙でありながら非常に興味深いものにした。

いわば「シェイクダウン・ウィーク」として始まった初日から、我々が得た学びを整理する。

1.初日のラップタイムが示すもの
2026年のF1世界選手権
テストのラップタイムを深読みすべきではないが、アイザック・ハジャーとレッドブルの自社製パワーユニットが好調なスタートを切ったのは事実だ。

もちろん、これは半分冗談のような話ではある。しかし、正午過ぎにハジャーが一気にタイムを縮めた際のベストタイムは、その日の終わりまで2026年最初の基準タイムとして残った。

初日のタイム結果は以下のとおりだ。

■2026年F1テスト初日 タイム結果
1位:アイザック・ハジャー(レッドブル) 1分18秒159
2位:ジョージ・ラッセル(メルセデス) +0.537秒
3位:フランコ・コラピント(アルピーヌ) +2.030秒
4位:アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) +2.541秒
5位:エステバン・オコン(ハースF1チーム) +3.142秒
6位:リアム・ローソン(レーシングブルズ) +3.354秒
7位:バルテリ・ボッタス(キャデラック) +6.492秒
8位:ガブリエル・ボルトレト(アウディ) +7.137秒
9位:セルジオ・ペレス(キャデラック) +7.815秒

これらのタイムが意味するものは極めて限定的だ。燃料を抜き、バッテリーを使い切ってなお、5秒遅れだったという情報でもなければ、ほとんど価値はない。

それでも、まったく無意味というわけではない。どのチームが性能走行を一切行っていないのか、どのチームがある程度クルマをプッシュできていたのかを判断するための、有用な基準にはなる。

この点で言えば、レッドブルとメルセデスは順調な立ち上がりを見せた。一方、新規参戦のキャデラック、そしてある程度アウディは、走行距離を最優先していることもあり、大きく遅れている。これは驚くことではなく、学ぶべきことが最も多い立場にあるためだ。

そのほかのチームは、6秒以内の幅の中に散らばる形となった。

そして、テスト終了後にF1公式カメラの前に立ったハジャーは、率直に前向きな感触を語っていた。

「とても生産的だった。正直言って、予想以上に多くの周回をこなすことができた。すべてがかなりスムーズで、大きな問題はほとんどなかった。自分たちのエンジンでの初日としては、かなり印象的だ。間違いなくスムーズだった」と述べた。

2.最も多く走行したのはどこか
2026年のF1世界選手権 フォーミュラ1カー
初日から走行に入ったのは、メルセデス、アウディ、アルピーヌ、キャデラック、レーシングブルズ、ハースF1チーム、そしてレッドブルの7チームだった。

フェラーリとマクラーレンは火曜日から参加予定だが、マクラーレンは水曜日まで走行を遅らせる可能性もある。

アストンマーティンはさらに遅れて参加し、木曜と金曜のみ走行する予定で、認められている3日間をフルに使わない見込みだ。ウィリアムズは新車FW48の製作遅れにより、今回のテストを欠席する唯一のチームとなっている。

初日の各チームの走行周回数は以下のとおりだ。

■2026年F1テスト初日 各チーム走行周回数
ハースF1チーム:154周
メルセデス:151周
レッドブル:107周
レーシングブルズ:88周
アルピーヌ:60周
キャデラック:44周
アウディ:27周

新エンジンの公式テスト初日としては、2014年とは比較にならないほど順調だった。当時、ヘレスで行われた初テストでは、全チーム合計でわずか93周しか走れなかった。

それに対し、今回はピットレーンが開くと同時に複数チームが走行を重ね、全体として非常に多くの周回数が記録された。

初日の午前中だけでも、アルピーヌ、アウディ、レーシングブルズで3回の赤旗が出た。アウディは序盤のトラブル後にコースへ戻ることができず、最終的な周回数は27周にとどまった。

それでも、ハースF1チームが154周を記録したことを含め、全体的な走行量は、現在のチームがどれほど高度なシミュレーション設備やダイノ施設を活用して準備しているかを物語っている。

ジョージ・ラッセルも、自身のメルセデスが151周を走ったことに触れつつ、他チームの走行量に感心していた。

「レッドブル系のチームは新しいパワーユニットで、エンジン面ではまったく新しい体制なのに、とてもスムーズな一日を過ごしていた。アウディも良い周回を重ねていたし、ハースF1チームはフェラーリのエンジンで最多周回を記録した。2014年のように、グリッドの半分が止まってしまうような雰囲気ではない。F1全体のレベルが本当に高くなっていることを感じた」と語った。

3.異様なまでの警備体制
自動車競技
非公開テストである以上、メディアの立ち入りが制限されるのは理解できる。しかし、新世代マシンを少しでも目にしたいという思いは強かった。

バルセロナ・サーキット周辺は起伏が多く、外部からコースを見渡せる場所が存在する。その代表的な場所が最終セクター上方にある通称「ザ・ヒル」だ。

だが、開始から20分ほどで警備員が現れ、たとえ公有地であってもコースが見える場所には立てないと通告された。

その後は、警備車両と人々による追いかけっこのような状況が続いた。木の上から覗く者、砂利の駐車場から観察する者、遠方のバンクに立つカメラマンなど、あらゆる場所で攻防が繰り広げられた。

警察も介入し、距離制限は200メートル、400メートルと次々に厳しくなり、罰金の可能性まで示唆された。

F1自身が映像を公開している状況で、ここまで強硬な対応が取られたことは、異様であり、この日のテストをより奇妙なものにした。

4.実際に目で見えたもの
モータースポーツ
至近距離で観察するのは困難だったが、それでも視認できた要素はあった。

特に印象的だったのが、新世代マシンでリアのデレーティング警告灯が非常に頻繁に点灯していたことだ。このライトはエネルギー回生中、あるいはフルパワーで走行していない際に点灯し、後続車に速度差を警告する役割を持つ。

これまでであれば、特定の区間や状況でしか見られなかったが、今回はほぼ1周を通して点灯しているように見えた。点灯していない時間の方が少ないほどだった。

高速のターン3、ターン5から7への区間、ターン9へ向かう上り坂でも確認できた。2026年マシンがエネルギー不足に悩まされると予想されていたことを考えれば、驚きではない。

5.耳で感じた変化
バルセロナテスト
音についても注目点があった。

コーナーでターボを回し続けるために高回転・低ギアを多用するという話から、極端に奇妙なサウンドになるのではという懸念もあった。

しかし、初日の印象ではそこまで極端ではなく、2025年のパワーユニットと大きく異なる印象はなかった。

外部からの聴取であるため限界はあるが、少なくとも「F1らしい音」であることは確かだ。高速ラップ時には、ジョナサン・ウィートリーが言及した「よりアグレッシブ」な音の片鱗も感じられたが、世代が一変したというほどの違いではない。

6.不必要に生まれた論争
プレシーズンテスト
新レギュレーション最初のテストは、ファンにとって最大の関心事だ。本来であれば、2026年マシンの魅力を伝え、シーズン開幕までの物語を描く絶好の機会だった。

しかし現実には、非公開という形式、警備による排除、ライブタイミングの遮断といった出来事が、否定的な印象を強めてしまった。

多くのファンは当日になって初めて、非公開テストがどれほど情報を制限するものかを実感した。マシン自体は順調に走行していたにもかかわらず、その成果よりも混乱が注目されてしまったのは残念だ。

7.2026年マシンはどれほど遅いのか
F1プレシーズンテスト
2026年マシンの速さについては、以前から議論があった。初日だけで結論を出すのは時期尚早だが、初期データは前向きに捉えられる。

ハジャーのベストタイムは、2022年の新車初テスト初日より1秒速かった。ただし当時は最終シケイン付きのレイアウトだった。

現在のレイアウトで見ると、2025年のポールタイムは1分11秒546で、差は約7秒ある。ただし、過去の大規模レギュレーション変更を見れば、テスト期間中に2〜3秒縮まるのは珍しくない。

さらに、冬の寒さから夏のレース週末にかけて、少なくとも1秒は自然に縮まる。開発分を考慮すれば、最終的に数秒差に収まる可能性は十分にある。

8.新チームが直面する現実
オートスポーツ
ゼロから現代F1チームを築くことが、いかに困難かをキャデラックは示している。初日は6.5秒遅れで、午後にはセルジオ・ペレス交代後に断続的なトラブルも発生した。

ただし、タイムは重要ではなく、44周を走り切ったこと自体が大きな前進だ。今季は信頼性を確保し、安定して予選に出られる体制を築くことが最優先となる。

ペレスも「多くの問題があった」と認めつつ、「今出てくれる方がいい。次の数日はもっとスムーズになるはずだ」と前向きに捉えていた。

9.情報の空白は少しずつ埋まる
2026年のF1世界選手権 自動車競技
非公開テストを巡っては、誰がどこまで情報を制限したのかという議論も起きている。しかし、F1側はチームの要望を受けつつ、妥協点を探ってきた。

初日は情報が豊富とは言えなかったが、画像提供や簡単なコメント、各チームのデイリーレポートなどにより、一定の状況把握は可能だった。

F1公式のハイライト映像も、トラブルを隠すことなく、アウディやアルピーヌの停止シーンを含めていた。

結果として、このテストは10年前の非テレビ公開テストを、さらに厳格にしたような形で始まった。週末までには、より全体像が見えてくるはずだ。

Source: The Race

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カテゴリー: F1 / F1レース結果