F1ハンガリーGP 決勝:ハミルトン優勝、フェルスタッペンが2位表彰台
予報通り、日曜日のハンガロリンクは決勝前に雨が降った。そのため、決勝前のレコノサンスラップ(確認走行)はウエットコンディションで行われた。
レコノサンスラップではマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がタイヤをロックさせてウォールにクラッシュするというアクシデント。しかし、フォーメーションラップまで20分という時間制限のなかチームは見事な作業でマシンを修復。残り1分を切ったギリギリのタイミングでフォーメーションラップに間に合わせる。
レースもウエットタイヤスタートとなり、1列目のメルセデスと2列目のレーシング・ポイントは予選Q2をミディアムで通過していたが、そのタイヤアドバンテージはなくなった。
気温21度、路面温度27度。全車雨用タイヤで70周のレースはスタート。だが、ハースの2台はフォーメーションラップ後にピットに入ってドライタイヤへの交換を選択。彼らの予想は的中し、路面はどんどんドライとなり、すぐに全車がドライタイヤに交換してレースは展開する。
優勝はメルセデスのルイス・ハミルトン。ポールポジションから抜群のスタートで抜け出したハミルトンは終始レースをコントロール。前戦に次ぐ完璧なレース運びでファステストラップも記録してグランドスラムを達成。通算86勝目。ハンガロリンクでは8勝目となり、ミハエル・シューマッハが保持していた同一サーキットでの最多優勝記録に並んだ。チャンピンシップでもチームメイトのバルテリ・ボッタスを抜いて首位に躍り出た。
2位はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。スタートさえ危ぶまれたフェルスタッペンだったが、メカニックは完璧にマシンを直した。恵みの雨。勝利に等しい2位表彰台だ。
3位はメルセデスのバルテリ・ボッタス。スタートで7番手で順位を落としたボッタスだったが、ドライになってからは順位を上げ、最終スティントではフェルスタッペンよりも1~2秒速いペースで走ったが、最後は0.7秒届かなかった。
以下、ランス・ストロール(レーシング・ポイント)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホン、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、ダニエル・リカルド(ルノー)、ケビン・マグヌッセン(ハース)、カルロス・サインツ(マクラーレン)までがポイント獲得。
アルファタウリ・ホンダは、ダニール・クビアトが12位、ピエール・ガスリーはエンジントラブルによって17周目にリタイア。ガスリーはパワーユニットを交換して決勝に挑んでいたが、FP1、予選、決勝とホンダF1のパワーユニットに3回のトラブルが発生。ホンダF1の信頼性問題に悩まされた週末となった。
2020年 第3戦 F1ハンガリーGP 決勝 結果
順位 | No | ドライバー | チーム | GAP | INT |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | LAP | 70 |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダ | 8.702 | 8.702 |
3 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 9.452 | 0.750 |
4 | 18 | ランス・ストロール | レーシングポイント | 57.579 | 48.127 |
5 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル・ホンダ | 78.316 | 20.737 |
6 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 1L | 7.721 |
7 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシングポイント | 1L | 1.138 |
8 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 1L | 0.950 |
9 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース | 1L | 12.347 |
10 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン | 1L | 2.072 |
11 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1L | 18.494 |
12 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ・ホンダ | 1L | 4.869 |
13 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン | 1L | 0.799 |
14 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 1L | 0.876 |
15 | 8 | ロマン・グロージャン | ハース | 1L | 5.460 |
16 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | 1L | 1.181 |
17 | 99 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1L | 20.631 |
18 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ | 1L | 1.135 |
19 | 88 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ | 3L | 3L |
10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ・ホンダ |
【レース展開】
フォーメーションラップではケビン・マグヌッセン(ハース)がウエットを履いている以外、全員がインターミディエイトを装着。ダニール・クビアト(アルファタウリ)がドライへの交換を提案する。全車がグリッドに着く前にハースの2台はピットイン。ミディアムタイヤに交換してピットレーンからスタートを迎える。
スタートではポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)が抜群の蹴り出して首位をキープ。逆に2番グリッドのバルテリ・ボッタス(メルセデス)、4番グリッドのセルジオ・ペレス(レーシング・ポイント)が出遅れる。7番グリッドのマックス・フェルスタッペンが順位を大幅にアップ。
1周目を終えた段階で(1)ハミルトン(2)ストロール(3)フェルスタッペン(4)ベッテル(5)ルクレール(6)ペレス(7)ボッタスの順。
オープニングラップの終わりにダニール・クビアト(アルファタウリ)がソフトタイヤに交換。2周目にはシャルル・ルクレールがミディアム、バルテリ・ボッタスがソフトに交換する。クビアトがセクター3で最速タイムを出したことで、一斉にピットインして全車がドライタイヤに交換する。
全車のタイヤ交換が終了した時点での順位は(1)ハミルトン(2)フェルスタッペン(3)マグヌッセン(4)グロージャンとスタート前にドライに交換するという判断をしたハース勢が成果を挙げる。
ニコラス・ラティフィがピットアウト時にカルロス・サインツのフロントウイングに乗り上げてリアタイヤをパンクさせる。キミ・ライコネンにグリッドのポジションがズレていたとして5秒ペナルティが科せられる。
17周目、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)がマシンから白煙を上げてピットに入りリタイアする。
ランス・ストロールとバルテリ・ボッタスがハースの2台をそれぞれ攻略して3番手と4番手に浮上。アレクサンダー・アルボンがフェラーリの2台を抜いてハースの2台の後ろの7番手につける。
ソフトを選んだルクレールは苦戦。ミディアムを選んだチームメイトのベッテルに抜かれる。その後ろの10番手にはセルジオ・ペレスが5秒以内に迫っている。耐えきれずルクレールが21周目にハードタイヤに交換して15番手でコースに戻る。同じくソフトを選択していたダニール・クビアトもハードタイヤに交換してルクレールの後ろでコースに戻る。
30周目、アレクサンダー・アルボンがグロージャンを抜いて6番手に浮上。8番手を走行していたベッテルがハードに交換して12番手でコースに復帰する。セルジオ・ペレスもグロージャンを抜いて7番手に浮上する。
首位のハミルトンと2番手のフェルスタッペンとの差は15秒以上まで広がっている。コース上には雨がポツポツと降り始めている。
34周目、4番手を走行していたバルテリ・ボッタスがハードタイヤに交換して4番手のままコースに復帰する。翌周にはアレクサンダー・アルボンがハードに交換。ベッテルの後ろ、フェルスタッペンの前の10番手でコースに復帰。
36周目にはランス・ストロールがミディアムに交換、37周目にはマックス・フェルスタッペンがハードに交換、38周目にはルイス・ハミルトンがミディアムに交換。上位4台は2回目のピットストップを終えて(1)ハミルトン-M(2)フェルスタッペン-H(3)ボッタス-M(4)ストロール-Mの順となる。ボッタスがファステストを連発してフェルスタッペンを追っている。39周目の段階でその差は約5秒。
序盤はタイヤ交換のギャンブルで順位を上げていたハース勢は、やはりドライコンディションでは競争力に欠け、マグヌッセンが10番手、グロージャンは13番手まで後退している。
47周目、ボッタスがフェルスタッペンの1秒以内に迫る。50周目にハードに交換して3番手のままコースに復帰する。残り20周でフェルスタッペンとの差は差は22秒。ファステストを連発して1周ごと1秒以上ギャップを縮めていく。
53周目、4番手のランス・ストロールがハードタイヤに交換して順位をキープしてコースに復帰する。ストロール以下は周回遅れだ。
66周目、20秒以上の差をつけてトップを走行していたルイス・ハミルトンがピットインしてソフトに交換。ファステストラップを狙いに行く。アレクサンダー・アルボンがベッテルを抜いて5番手に浮上する。
残り3周でボッタスとフェルスタッペンとの差は2秒を切る。ボッタスはフェルスタッペンよりも1秒以上速い。
ルイス・ハミルトンがファステストラップを記録してファイナルラップを迎える。
ルイス・ハミルトンがポールポジション、ファステストラップ、優勝というグランドスラムで通算86勝目を挙げた。ハンガロリンクでは8勝目。2位にはバルテリ・ボッタスを0.750秒差に抑えてマックス・フェルスタッペンが続いた。
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