エクソンモービルとレッドブルF1が挑む2026年サステナブル燃料の最前線
100年以上にわたりモータースポーツに関わってきたエクソンモービル(ExxonMobil)にとって、2026年F1レギュレーションは前例のない技術的挑戦となった。

内燃機関と電動の出力比がほぼ50対50となり、さらに燃料は完全サステナブル化。F1創設期から関わる同社でさえ、これまで使ったことのない素材から最高性能の燃料を作り出す必要に迫られている。

「F1は本当に、私たちにとって驚くほど大きなエンジニアリング上の課題を与えてきました」と語ったのは、エクソンモービルのマーケティングサービスおよびスポンサーシップ担当マネージャーであるケイティ・ハウエルだ。

「私たちは110年間モータースポーツに携わってきました。1950年のシルバーストンで行われた最初のF1レースにも立ち会っていますし、75年にわたってチャンピオンを勝たせるための燃料や潤滑油を開発してきました。その私たちが、今年はこれまで使ったことのない素材から、同じレベルの性能を持つ燃料を作る機会を得たのです」

「家畜の糞や食品廃棄物、スイッチグラスのような非食用作物も含まれています。そうした作物から、どうやって高性能なF1燃料を作り出すのか、という点が大きな問いでした」

「幸いなことに、75人の科学者とエンジニアが3年以上この課題に取り組みました。彼らはほぼ100種類の配合を開発し、その中から実際にレースで使う仕様にたどり着いています。燃料はすでにブレンドされ、ドラム缶に詰められ、準備は整っています」

レッドブル・パワートレインズとの“毎日の電話”
この燃料開発は、エクソンモービル単独では進められていない。2017年からパートナーシップを結ぶレッドブル・レーシング、そして英国に拠点を置くレッドブル・パワートレインズと極めて密接に連携している。

「私たちは本当にチームの一員として活動しています」とハウエルは説明する。

「モータースポーツ技術ディレクターのマッティ・アレマイエフは、レッドブル・パワートレインズのベン・ホジキンソンと、1日に1回か2回は電話でやり取りをしています。仕様の変更について話し合い、次に何をすべきかを一緒に考えています」

「エンジンに変更が入るたびに、燃料はそのエンジン専用に調合し直されますし、モーターオイルも燃料と連携して機能しなければなりません。そのため、私たちはパワートレインズの施設内にラボを構えています」

「さらに、2名の技術者がチームとともにレースを転戦し、サーキットにもラボを設置しています。週末ごとに燃料と潤滑油のサンプルを約90点採取し、FIAの要件を満たすためだけでなく、レース週末の重要な戦略判断に役立つ知見をチームに提供しています」

「また、エクソンモービルは燃料と潤滑油だけの会社ではありません。グラファイトやリチウム、ゴムといった分野も手がけています。チーム全体で支援が必要になれば、適切な専門家をすぐにつなぐようにしています。その結果、レッドブルとの提携以来、78回のグランプリ勝利を挙げることができました」

レッドブル・レーシング

ローラン・メキースが語る“俊敏さ”
レッドブル・レーシングのチーム代表であるローラン・メキースも、この協業体制を高く評価している。

「彼女が言ったように、彼らは100種類以上の燃料とオイルを開発してきた。それらを我々はダイノでテストし、1キロワット、あるいは0.5キロワットの改善や特性の違いを見つける」とメキースは述べた。

「すると我々はすぐに電話をして、『前の仕様は忘れて、最新バージョンを作ってほしい』と依頼する」

「巨大な企業でありながら、これほどモータースポーツ的な柔軟性を持ち、極限の性能追求に応えてくれる。夜遅くになっても『ここで小さな性能向上を見つけた。対応できるか』と電話すれば、彼らは本当に反応してくれる。それ以上を望むことはできない」

サーキットから市販車へ
2026年F1レギュレーションは、市販車との関連性を強く打ち出すことで既存メーカーを引き留め、新規参入も呼び込んだ。その“ロードレリバンス”は、エクソンモービルにとっても重要な要素だ。

「トラックからロードへの技術移転は、私たちにとって非常に重要です」とハウエルは語る。

「モータースポーツで生まれたイノベーションは、最終的に必ず消費者向け製品に反映されます。モーターオイルについて学んでいることは、近い将来、市販用の製品に影響を与えますし、サステナブル燃料で得られた知見も将来に活かされていきます」

「科学者たちがこのプロジェクトに強い関心を示すのは、それだけ難易度が高く、かつ最も過酷な環境で仕事ができるからです。F1だけでなく、世界ラリー選手権や世界耐久選手権など、さまざまなカテゴリーで得られる学びが、最終的に最高の製品開発につながっています」

「私たちは常に革新を続け、チャンピオンを勝たせ、その成果を消費者の皆さまに届けたいと考えています。それこそが、私たちがモータースポーツに関わり続ける理由です」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング