レッドブルF1上層部 アービッド・リンドブラッドは「すべての期待に応えた」
レッドブル・ジュニアのアービッド・リンドブラッドは、2025年F1メキシコシティGPの金曜フリー走行1回目(FP1)で注目を集めた。通常は大きな話題にならないFP1だが、18歳の英国人ルーキーがマックス・フェルスタッペンのRB21を駆り、6番手という見事な結果を残したからだ。

今季、全チームはルーキードライバーに年間2回ずつ走行機会を与える義務があり、今回のメキシコGPではザウバーを除く9チームが新人を起用。リンドブラッドはその中でも最年少だった。

しかもフェルスタッペン仕様の最新アップデートが施されたマシンを任されており、タイトル争い中のエースカーを扱うという大きなプレッシャーの中での走行となった。

興味深いのは、チームメイトの角田裕毅(レッドブル・レーシング)が同仕様を使用していなかった点だ。経験豊富な角田よりも、リンドブラッドが“最新スペック”を託されたことは、チームの信頼を物語っている。

メキース「非常に落ち着いていた。何ひとつ間違わなかった」
FP1を終えたレッドブル・チーム代表ローラン・メキースは、リンドブラッドの仕事ぶりを高く評価した。

「彼は本当に素晴らしい仕事をした。FP1に飛び込むのはとても難しいことだ。タイヤも少なく、周回数も限られている。でも彼は非常に良い仕事をしてくれた」

「タイムシートを見ればわかる通り、非常に落ち着いていたし、正しいフィードバックを返してくれた。何ひとつ間違わず、車を壊すこともなかった。正直、我々は非常に感銘を受けている。次の機会を年末にも設けたいと思っている」

このコメントの通り、リンドブラッドはFP1で6番手のタイムを記録。大きなミスをすることなく走り切り、チーム首脳陣に「完璧な仕事」と評価された。

リンドブラッドのF1昇格判断は“保留中”
英『Motorsport』の報道によると、リンドブラッドは「すべての期待に応えた」とチーム上層部から評価されている。今季の彼は、開幕時にニュージーランドで行われたフォーミュラ・リージョナル・オセアニア選手権を制覇し、スーパーライセンスに必要なポイントをすでに獲得している。

8月に18歳を迎えた彼は、F1参戦資格を完全に満たした状態で、現在はF2に参戦中。序盤にはジェッダでスプリントレース優勝、カタルーニャでは初のフィーチャーレース勝利を挙げ、アレックス・ダン(レッドブル系)とタイトルを争っていたが、終盤のミスでチャンピオン争いからは脱落した。

ただし、レッドブルはF2成績だけで判断していないという。報道によれば、チームは「エンジン差が大きく純粋な速さを測れない」として、F1セッションでの走りをより重視している。現在までの評価は「満足できる内容」とされており、2026年の昇格は依然として可能性が残る。

アブダビFP1で再登場へ 角田の枠を引き継ぐ見込み
角田裕毅はまだルーキー走行義務を2回とも消化しておらず、シーズン最終戦アブダビGPのFP1でリンドブラッドが再び走行する見込みだ。もし順調に走行を終えれば、レーシングブルズ昇格がほぼ確実になるとも見られている。

ただし、レッドブル内部ではまだ最終決定には至っていない。ローラン・メキースとヘルムート・マルコの間で、角田の扱いを含めて議論が続いているとも報じられており、リンドブラッドの昇格は“ほぼ決まりつつも、まだ公式発表を待つ段階”にある。

アービッド・リンドブラッド レッドブル F1

2026年F1シート状況(現時点)
■ レッドブル・レーシング:マックス・フェルスタッペン/未定
■ レーシングブルズ:未定/未定
■ フェラーリ:シャルル・ルクレール/ルイス・ハミルトン
■ メルセデス:ジョージ・ラッセル/アンドレア・キミ・アントネッリ
■ マクラーレン:ランド・ノリス/オスカー・ピアストリ
■ アルピーヌ:ピエール・ガスリー/未定
■ ウィリアムズ:アレクサンダー・アルボン/カルロス・サインツJr.
■ ハースF1チーム:エステバン・オコン/オリバー・ベアマン
■ アストンマーティン:フェルナンド・アロンソ/ランス・ストロール
■ アウディ:ガブリエル・ボルトレト/ニコ・ヒュルケンベルグ
■ キャデラックF1チーム:バルテリ・ボッタス/セルジオ・ペレス

分析:レッドブルの世代交代が加速するか
リンドブラッドのFP1での安定した走行は、チーム内での評価を確実に高めた。18歳という年齢ながら、メキースが語るように「落ち着き」と「正確さ」を兼ね備えており、レッドブルの将来像における重要なピースになりつつある。

一方で、角田裕毅がまだルーキー義務走行を残している点は、今季末のチーム構成に関する判断を象徴している。つまり、2026年に向けた“レッドブル育成体制の再構築”が進んでいるということだ。リンドブラッドの昇格が実現すれば、リアム・ローソン、アイザック・ハジャーと並ぶ「新世代トリオ」が完成し、レッドブル体制は完全に若返る。

年末アブダビでのFP1が、レッドブルの未来を決定づける重要なセッションとなりそうだ。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / アービッド・リンドブラッド