レッドブルF1技術責任者が語る2026年マシンの進捗「PUは非常に有望」

技術責任者のピエール・ワシェは、初の自社製パワーユニットを搭載する次期マシンについて「非常に有望」と語り、開発の進捗に自信をのぞかせた。空力規定の大幅な変更という未知の挑戦に直面しながらも、レッドブルは新時代のスタートを確実に捉えようとしている。
ピエール・ワシェ「パワーユニットは非常に有望」
レッドブルは2026年から施行される新レギュレーションの初年度を強い形で迎えることを目指している。
空力規定の大幅な変更に加え、パワーユニット(PU)も刷新されるこの新時代に向けて、同チームは初めて自社製のエンジンを搭載することになる。
ピエール・ワシェ技術責任者は、RacingNews365のインタビューで次期マシンとPU開発の進捗状況を明かした。
「パワーユニットに関してはまだ断言できないが、非常に、非常に有望な状況だ」とワシェは語る。
「ただしマシンの方は空力の新レギュレーションがあるため、まだ不確実な部分が多い。各チームがどう解釈してくるか分からないからね。通常は他チームのマシンを見て多くを学ぶものだが、我々が良い方向性を見つけられることを願っている」
現在レッドブルは3か月後に予定される初走行に向けて準備を進めており、PUについては順調に開発が進む一方で、シャシー面では未知の部分も多いようだ。

2025年後半の巻き返しと、その経験がもたらす意味
2025年シーズン、レッドブルは序盤に苦戦したものの、イタリアGPとアゼルバイジャンGPで勝利を挙げ、シンガポールGPでもマックス・フェルスタッペンが2位を獲得。
タイトル争いでは首位と66ポイント差ながら、戦闘力を取り戻しつつある。
ワシェはこの巻き返しが翌シーズンにも重要な意味を持つと強調する。
「今年理解できたことは、来年にも非常に重要だ。たとえレギュレーションが変わっても、クルマの特性やドライバーが求めるもの、そして(角田)裕毅が必要とする要素は変わらない。同じ課題を別の方法で解決するだけだ」
2026年マシンと現行車の関連性は限定的
ただしワシェは、2025年型マシンの開発成果が2026年車に直接つながるわけではないと釘を刺す。
「関連している可能性もあるが、基本的には別物だ。次の開発段階から削ぎ落とした要素が、今のマシンに多少影響する程度だ」と説明する。
「現在のマシンと少し先に投入されるものは、かなり前から開発されている。昨日今日作ったものではない」
分析:レッドブルが直面する“二重の挑戦”
今回の発言から見えてくるのは、レッドブルがPU開発と空力再構築という2つの大きな挑戦を同時に進めている現実だ。
特に2026年仕様PUは初の完全自社製であり、成功すればホンダ時代以来の技術的独立を意味する。
一方で、空力面では“他チームの発想を見て学ぶ”というワシェの言葉からも、現段階でまだ模索段階にあることがうかがえる。
フェルスタッペンの速さと角田裕毅の順応力を軸に、レッドブルがこの移行期をどう乗り切るか。
2026年開幕までの3か月は、チームにとってこれまで以上に重要な時間となるだろう。
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