マックス・フェルスタッペンの去就に変化 レッドブルF1マルコ「懸念縮小」
レッドブルF1のアドバイザー、ヘルムート・マルコは、マックス・フェルスタッペンが2025年末でチームを離脱する可能性について、「かつてほどの懸念は抱いていない」との見解を示した。

現在もフェルスタッペンの去就を巡る噂は続いており、レッドブル・レーシングの内部混乱やパフォーマンスの乱れ、さらにはピット作業のミスも重なって、2026年の新レギュレーション開始を機に移籍するのではないかと報じられている。

とりわけ昨年、メルセデスが獲得に関心を示していたほか、アストンマーティンが年俸1億ドルの大型オファーを提示しているという話もある。

この点についてマルコは、ドイツ紙『Bild』の取材に対し「私もその話は読んだが、マックスにとっては大きな意味はないと思う」とコメント。「彼は我々からも十分な報酬を得ているし、それ以上に“勝ちたい”んだ。そのためには我々が最速のマシンを用意しなければならない。今はその準備を進めており、近くアップグレードを投入する予定だ」と語った。

ただし元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、イモラで導入される予定のアップグレードについて「マクラーレンとの差を埋めるには不十分」と否定的な見方を示し、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーも「大きな飛躍にはならない」と発言している。

レッドブル・レーシングアップグレード投入に期待を寄せるヘルムート・マルコ

一方でマルコは、以前からこのアップグレードに期待を寄せており、「仮に失敗すればフェルスタッペンが移籍に傾く可能性もある」と示唆していた。しかし今回は、より自信を持った姿勢を見せている。

「その可能性は考えていない。なぜなら、アップグレードは計画通りに機能すると確信しているからだ」と82歳のマルコは断言。「我々は問題点を明確にし、すでにその解決に取り組んでいる」

さらに「レッドブルが危機にある」との見方については、「それは言い過ぎだ」と一蹴した。

「今季、マクラーレン以外でグランプリに勝ったのは我々だけだし、パフォーマンスもやや持ち直している。ただし、それでも満足はしていない。我々の目標はレースとタイトルを“勝ち取る”ことだ。現時点で最速のマシンを持っているわけではないが、まだすべてを失ったわけではない。ドライバーズとコンストラクターズの両方でタイトルを狙える位置にはいる。状況が思い通りに進んでいないからといって、諦める理由にはならない」

とはいえ、マルコはかつて「停滞が続けば、フェルスタッペンが離脱を選ぶのではないか」と強い懸念を示していたことも事実だ。

今回その発言について問われると、「それは確かに言ったが、いまではその懸念もかなり小さくなっている」と回答。

「マックスは非常に忠誠心のある人物だし、最近も公の場でレッドブルへのコミットメントを示している。それは私が彼を見ていても感じられる。いまの彼は完全にチームの仕事に集中している」

「だから、移籍を真剣に考えているとは思っていない。むしろ逆で、私はマックスが2026年もレッドブルで戦い続けると確信している」

マルコはまた、フェルスタッペンと2025年シーズンの目標について何度も話し合っていると明かし、「当然ながらタイトル防衛が目標であると全員が認識している。ただし、それが当然達成できるとは考えていない。我々は全力を尽くすが、すべてのレースで勝てる保証はない」と慎重な姿勢も見せた。

一方のフェルスタッペン自身は、娘リリィの誕生で父親となったばかりだが、「感情面での変化はない」とメディア報道を否定している。

「もちろん、赤ちゃんのことは別だよ」とフェルスタッペンはViaplayに語った。「あんなに安静時の心拍が上がったのは初めてだった。でも、レースに関してはずっとやってきたことだし、何が起きても動じない」

「ずっと前から言っているけど、勝利やタイトルという夢を叶えると、気持ちがずっと落ち着く。悪い日があっても、それ自体は問題じゃない。重要なのはどう立て直すか。前を見て、ただ進み続けるだけ」

「今はとても冷静に、次の課題に集中している」とフェルスタッペンは強調した。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング