レッドブルF1首脳 「メルセデスは我々のピットストップの鋭さを盗んだ」
レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、メルセデスF1が今シーズンのピットレーンでレッドブル・ホンダF1が獲得したタイムを“盗もうとしている”と批判した。

レッドブル・レーシングは、ソーシャルメディアチャンネルのプロフィールで“世界最速のピットクルー”を擁していることを誇らしげに宣言している。今シーズン、これまでの7レースのうち5レースで最速のピットストップを達成している。

レッドブル・レーシングの今年の最速ストップは1.93秒だが、2019年のF1ブラジルGPでマックス・フェルスタッペンのマシンで1.82秒でタイヤ交換を完了させて世界記録を保持している。

しかし、FIA(国際自動車連盟)から新しい技術指令が導入され、2秒未満のピットストップから生じる安全上の懸念からピットクルーのスピードを落とすルールが導入された。

F1チームは、ホイールナットが取り付けられてから、マシンが降ろされるまで最低0.15秒の反応時間を遵守する必要がある。その後、ジャッキが取り外されてマシンがピットボックスを離れるまでの必須の0.2秒の期間が続く。

これらのタイム制限はピットストップにほんの一瞬を追加する可能性があるが、レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、新しいルールの推進にはメルセデスF1の策略が伴っていると主張した。

「メルセデスはピットストップでの我々のアドバンテージを盗もうとて、それをプッシュした」とヘルムート・マルコは Auto Motor und Sport に語った。

「我々は最大で0.4秒を失う。7年間の仕事とトレーニングがピットストップの一貫性とスピードに費やされてきた」

メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、チームが何週間も新しいルールを推進してきたことを認めたが、それがライバルのスピードを落とそうとするよりも安全上の理由に基づいていると述べた。

「我々は、使用しているシステムに関連する安全メカニズムと、それを最適化できるかどうかについて、FIAに問い合わせいた」とトト・ヴォルフは記者団に語った。

「それは、3~4週間前に起こったと思うが、テクノロジーの問題だった」

「それが他に何かを引き起こしたか? そうかもしれない。私には分からないがね。これが我々が尋ねた質問だ」

「その技術指令が出てきたことには理由があるに違いないので見るのは興味深い、100%確信はないだね。ホイールガンの操作とマシンのリリースは非常に複雑な問題だ」

FIAは、新しいストップ手順にチームが準備できるように7月末のF1ハンガリーGPまで3レースの猶予期間を設定した。

トト・ヴォルフは、速いピットストップがまだゲームの目的であるが、安全性の改善のためのF1の絶え間ない探求は、ピットで数秒を節約することより優先されると語った。

「確かに、チームの全員が競争の激しい分野であるため、競争に挑んでいるが、安全性の議論もある」とトト・ヴォルフは続けた。

「常にすべてをピットストップに注ぐことになるので、損傷が甚大であるためにホイールが外れたりするのを避けることができる」

「我々は過去にそれが起こらないようにするために対策をとってきた。それは決して起こらない方法でシステムにいくつかのサーキットブレーカーを設置することも意味していた。そして、それはピットストップという点でそれを遅くすることになる。だが、それは我々自身の決定であり、他の人とは何の関係はなかった」

「速いピットストップが出来れば素晴らしいし、見た目もかっこいいが、平均して0.1~0.2秒のピットストップについて話しているわけで、パフォーマンスの差別化要因としてそれがどれほど大きいかどうかは100%分からない。最も遅いピットストップや最も速いピットストップについて話しているわけではない。それが何から来ているのか、そして、その根拠が何であったのかを見るのは興味深いだろう」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1 / メルセデスF1