クリスチャン・ホーナー (レッドブル・レーシング代表)
イギリスGPとドイツGPで連続2回の1−2フィニッシュを決め、好調にシーズンの中間地点にたどり着いたレッドブル・レーシング。チーム代表クリスチャン・ホーナーが、これまでと今後の2009年シーズンについて語った。

シーズン後半がスタートしますが、感じるプレッシャーは昨年度、もしくは今シーズンのスタートとは異なりますか?
コースでの喜びは異なるが、プレッシャーは同じ。できるだけ早く最大限のパフォーマンスを発揮できることを目指し、これまでと同じように努力を続けている。今年の大規模なレギュレーション変更に合わせるためには厳しいペースで開発を進めなければならないが、現在、ファクトリーのメンバーは足取りも軽い様子だ。ファクトリーでは大勢の陰のヒーローたちが、超人的な仕事ぶりで長時間労働に耐え、クルマの開発作業に取り組んでいる。

ミルトンキーンズのオペレーションの方法を変えたから、今シーズンのパフォーマンスが生まれたのでしょうか?
昨年度からすでに変化の兆候はあった。RB4がレースに導入され、シーズン前半はまずまずのパフォーマンスだった。レッドブル・テクノロジーとしては、シーズン後半も基本的には同じクルマであるトロロッソが良いリザルトを達成した。デザイングループが本格的にまとまり、仕事の結束力も高まった。研究開発から生産サイドまでのグループ全体の結束力も高まり、非常に順調に仕事が行われている。比較的若いチームとしては高い安定性と継続性をもって仕事ができているおかげだろう。

サーキットのレースチームにも大勢の新しいメンバーが加わり順調なようですが、パフォーマンスにもその影響は出ていますか?
レースチームに新しく加わったメンバーは、全員が昨年度からテストチームにいたメンバーなので、社員としては新人というわけではない。これは以前のテストチームの強さを物語るものだ。冬のオフシーズン中には他のチーム同様、余剰人員を解雇するという難しい仕事を行わなければならず、綿密に考えられた公平なシステムを通して空きのあるポジションに最も適した人材を選んだ。ガレージのメンバーは素晴らしい。2台のクルマを担当するそれぞれのグループの間には仲間意識があり、お互いに協力しながら仕事をしてくれている。今年はチームスピリットが非常に高まっている。

チームの弱点は?
チームは常に上を目指している。現在のパフォーマンスや1−2フィニッシュで圧倒的勝利を収めたこの2戦のことは考えずに、慢心せずに改善の努力を続ける決意が非常に重要だ。能力的には明らかな弱点はないが、ひとつのグループとして常に全ての部分で努力を続けていかなければならない。

過去のレースに話を戻しますが、中国で優勝して初めてF1の表彰台に立った時のことは覚えていますか?
チームの設立当初からのメンバーだったぼくにとって、チームの初優勝の際にレッドブルを代表して表彰台に立つのは非常に名誉なことだった。眼下には表彰台を見上げるメンバーの顔があって、ぼくの隣には素晴らしいレースを戦ったふたりのドライバーがいた。あの瞬間は一生忘れない。特に、過酷なコンディションの中で行われた2時間にも及ぶ長丁場のレースの末のことだったので、最高の気分だった。

自転車事故もあったからだと思いますが、シーズン開幕時のマーク・ウェバーは新人のベッテルに対して勝ち目がないような立場だったと思います。これに関してはどう思いますか?
ふたりはキャリアの異なる段階にいるトップドライバーで、お互いに激しくプッシュしあっている。現在のF1では最高のドライバー・ラインナップだと思う。ぼくは1月上旬にマークに会っているのだが、彼は肩も骨折していることを言い忘れたんだ!右脚に全く体重がかけられない状態にも関わらず、マークは新車の発表会では運転する決意だったので、『こいつはおもしろくなるぞ!』と思ったのを記憶している。初めてRB5を運転した時の彼の目には安堵感が漂っていた。自分の右脚の感覚が以前と変わっていないか、路面の凹凸に対応できるかなど、いろいろと心配なこともあったんだと思う。その後は、マークの回復がメルボルンに間に合わなかったらどうしようと思ったことは一度もない。実にオージーらしいことだと思うが、彼は一度も痛みや不快感を訴えなかった。彼の理学療法士やトレーナーも素晴らしい仕事をしてくれた。今ようやく負傷する前のレベルに体が戻った所だが、ここ最近のリザルトを見れば彼が絶好調なのは明らかだと思う。セバスチャンがスターになるのは疑いない。経験が浅いドライバーであるにも関わらず、彼は非常に高い完成度を見せている。彼の才能は並外れており、今後もさらに成長していくだろう。彼はまだこれからだ。チーム内でのふたりの扱いは対等だし、クルマに関しても差はない。

どの時点でふたりのチーム内での順位付けを考えなければならないのですか?
今後もチームはふたりを同じようにサポートしていく。ふたりの差はわずか1.5ポイントなので、もちろんドライバーズ・チャンピオンシップの戦いも続いている。ジェンソン・バトンにはまだまだ追いつけない。ふたりのポイント差が大きく広がったり、いずれかがチャンピオン争いから脱落することになれば、チームのメンバーとして、ひとりがサポートする側に回らなければならないこともある。しかし、我々としては、1日も早く2人揃ってブラウンに追いつき、チャンピオンシップをリードして欲しいと思っている。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング