エイドリアン・ニューウェイ Q&A
エイドリアン・ニューウェイ : レッドブル・レーシング チーフ・テクニカル・オフィサー Q&A

ダブルディフューザー騒動がある前からRB5はブラウンを相手に善戦していましたが、ダブルディフューザーの開発作業は開発プログラムのスケジュールにどのぐらい影響を与えましたか?
ダブルディフューザーを考慮せずに設計されたクルマだったため、大変な作業だった。特に、プルロッド式リヤサスペンションとの統合が難しかった。ダブルディフューザーのコンセプトに合ったギヤボックスとリヤサスペンションを設計し直すにはリソースが足りなかったので、既存のメカニカルパッケージを保持し、出来る限り適合させることにした。その第1弾がモナコのパッケージだが、わずかしか前進できず、期待通りの性能は得られなかった。第2弾を導入したのはイギリスGPだ。

それはクルマの総合的な開発プログラムに影響を与えましたか?
時間がかかってしまったため、作業が集中した2ヵ月間は、わたしはいつもと同じようには他の作業に関われなかったが、平行して通常の開発作業も行うことができた。

レッドブル・レーシングを含む他チームはテスト抜きで新しい開発部品を投入しました。これまで行われていたテストにはあまり意味がなかったということですか?それとも、以前と同じようにテストが行われたら、今年のクルマはもっと速くなっていたのでしょうか?
それは何とも言えない。テストせずに何かを投入する場合、リサーチツールによって得た情報に頼るしかない。これは主に風洞実験のデータのことだが、CFDやシミュレーションのデータも利用する。しかし、レースの週末に新しい要素を取り入れた場合、以前のような規模のテストを直後に行うことができないため、わずかな方向性の狂いがあっても気付かない場合がある。もちろん、グランプリの金曜日にはテストやその週末の準備作業を行うがね。

今年はタイヤが原因の不測の事態が起こっていますが、タイヤ関連のテストが足りないと感じますか?
今年のタイヤに関する問題はサーキットや気温に関わるものだ。レースを行うサーキットや気温でテストが行えなければ、タイヤ関連のトラブルは浮上しないかも知れない。

次の数戦、ブラウン以外で脅威となるチームはありますか?
どのチームにも可能性はあると思う。ニュルブルクリンクではマクラーレンとルノーが大きく前進していたし、我々自身もシルバーストンで一歩前進した。各チームが新しいパッケージを導入しているので、どのチームにも大きく前進する可能性がある。これが今シーズンのこれまでの特徴だが、今後も続いていくだろう。

両方のタイトルを狙うならばシーズンの最後まで今年のクルマの開発を続けなければならないのではないかと思いますが、2010年のクルマへの影響はありますか?
それは、毎年、直面している問題だ。昨年度はRB4のリサーチをシーズンの最後まで続けたが、レギュレーションの変更があったため、2009年度のクルマには全く活かされていない。しかし今年はRB5のための開発パーツがRB6にも使われるし、RB6のためのリサーチを開始したらその逆もあり得る。

現在のチャンピオンシップの順位には驚いていますか?このような順調なシーズンは予測していましたか?
ここ数年で我々はかなりの進歩を遂げており、レッドブル・テクノロジーとしてはそれが昨年のモンツァ優勝に繋がっている。その後の大規模なレギュレーション変更は、我々にとってはそれまでとは異なる新しいことを試し、大規模なライバルチームを出し抜くチャンスでもあった。他のチームは2008年度のクルマの開発を我々よりも少し早く止めていたが、我々はRB4とTR3の開発をかなりアグレッシブなペースで夏の終わりまで続けた。その夏はリソース的にもかなりの負担になってしまったが、開発チームを分けたりして、かなりうまく対応することができた。我々は一番遅れて2009年のクルマに着手したチームのひとつだったと思う。しかし、クルマの競争力向上を助けるいくつかの要素を見つけることができ、その後はその開発に取り組んだ。

個人的な意見ですが、イギリスGPの1−2フィニッシュの後のシルバーストンの表彰台に立つあなたはとても感激しているように見えました。どんな気持ちでしたか?
正直に言って、シルバーストンまでの3ヵ月は、ダブルディフューザーを取り入れるためのクルマの開発作業に追われてとても大変だった。だから、それがひとつのパッケージにまとまり、シルバーストンで結果が出せたのは最高の気分だった。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング