ポルシェ
ポルシェのポルシェ 919ハイブリッドは、10月11日に富士スピードウェイにて行われた世界耐久選手権第6戦において優勝し、4連勝を果たした。この勝利によりポルシェはWECのマニュファクチュアラーチャンピオンシップだけでなくドライバーズチャンピオンシップにおいても首位に立った。

荒れた天候の富士スピードウェイにおけるレースで優勝したのはティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組だった。

ロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組は2位となり、ル・マン24時間を含め今シーズン3度目のワン・ツーフィニッシュを飾り、マニュファクチュアラーポイントでは大幅にリードを増やした。

第6戦終了時のポイントはポルシェが264点、アウディが211点、トヨタは119点となっている。ドライバーズチャンピオンシップではベルンハルト/ハートレー/ウェバー組が1ポイント差でトップに立っている。

カーナンバー17のレース展開
降雨のためレース開始から40分間に渡りセーフティーカーが隊列を率いて周回を重ねていった。ポールポジションからスタートしたマーク・ウェバーはフルウェットタイヤを装着していたが、コカ・コーラコーナーでコースアウトし4位までポジションを落とす。ハイブリッドシステムに発生したトラブルによりブーストが掛からない状態が続いたカーNo.17は23周目にチームメイトであるカーNo.18に先行を許し5位となった。31周目に始まりカーNo.1のトヨタがピットに入る42周目まで続いた2台の激しいバトルは富士スピードウェイに集まった観客を大いに魅了した。43周目に給油のためピットインしたウェバーはカーNo.7のアウディとチームメイトの919ハイブリッドの後ろとなる3位で走行を続ける。ウェバーが担当したダブルスティントの後半、ウェット路面のなか追撃が始まります。72周目にチームメイトがトップに立ってから、ウェバーはカーNo.7のアウディと激しいバトルを展開。幾度かポジションを入れ替えたのち、両車はピットに向かった。ウェバーは81周目にブレンドン・ハートレーにステアリングを託すと同時に、このレースで始めてのタイヤ交換によりインターミディエイトスリックを装着してコースに復帰する。ハートレーは86周目にアウディ(カーNo.7)にパスされ2位に落ちたが、108周目には首位に返り咲く。その後、2位に落とすが、121周目に給油を行いセカンドスティントに突入。160周目まで走行した後、ティモ・ベルンハルトへ交代。スリックタイヤでコースインしたベルンハルトは193周目のピットストップで給油とともにニュータイヤを装着しチェッカーを目指した。209周目、ついにベルンハルトはトップに立った。

カーナンバー18のレース展開
長いセーフティーカーランが続きレースが始まった時、ロマン・デュマはフルウェットタイヤを履き2位を走行していた。しかしピットスピードリミッターが不意に作動したため、大きく順位を落とす。カーNo.17がハイブリッドシステムにトラブルが発生したタイミングでデュマは4位まで順位を戻し、25周目にはカーNo.1のトヨタをオーバーテイクし3位となった。36周目にはアウディ(カーNo.8)を抜いて2位になったのち、LMP1クラスでもっとも遅いタイミングとなった44周目にピットに戻り給油のみを行う。デュマは71周目にカーNo.7のアウディからトップを奪取。82周目にマルク・リーブがコースインするとフルコースのイエローコーションが出されるが、インターミディエイトスリックを履いたリープは首位をキープしたまま122周目に給油のためピットインし、159周目にニール・ジャニへ代わる。スリックを履いたジャニはトップのまま走り続け、192周目にガソリンとフレッシュなスリックタイヤを得てコース復帰。209周目にベルンハルトと順位を入れ替え、そのまま2位でゴールした。

フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)
「コンディションがめまぐるしく変わる難しいレースでしたが、目標を達成することができました。またワン・ツーフィニッシュを成し遂げてマニュファクチュアラーチャンピオンシップのリードを広げ、ティモとブレンドンとマークはドライバーズチャンピオンシップでも首位に立ちました。この素晴らしいチームとともに働けることは何より幸せなことです」

アンドレア・ザイドル (チーム監督)
「状況は激しく変化しましたが、すべての戦略が的中しました。6名のドライバー全員はミスもなく完璧で、これぞチームワークという見事な働きを見せてくれました。我々はまだ若いチームですが、難しいレースでも勝てることを証明したと思います。アウディはスタート直後からプレッシャーを与えてきました。本拠地ヴァイザッハで準備をしてきたスタッフも含めたチームすべてのメンバーに感謝いたします」

ティモ・ベルンハルト(No. 17)
「マニュファクチュアラータイトルのため、目標としてきたワン・ツーフィニッシュという結果を得たことが私にとってはもっとも重要です。今日はチームメイトの919ハイブリッドが勝利に値するパフォーマンスを披露していました。難しいレースにもかかわらず最大限のポイントを獲得できました。しかしタイトルを得るためにはあと2つの6時間レースという長い道のりが待ち受けています」

ブレンドン・ハートレー(No. 17)
「私が担当したダブルスティントの折り返し地点では、ピットアウトと同時に出たフルコースイエローによりチームメイトに大きな遅れを取りました。インターミディエイトスリックで走るにはトリッキーなコンディションで実際にウェットタイヤの方が速かったはずですが、最後の最後でスリックタイヤが生きました。カーNo.7のアウディにはコックピットのスイッチを操作している間にパスされましたが、フェアでクリーンなバトルを楽しみました」

マーク・ウェバー(No. 17)
「序盤はグリッブが少なくコカ・コーラコーナーではクラッシュ寸前になりました。ハイブリッドシステムにトラブルが発生した際は無線でピットと幾度も交信しました。ダブルスティントの後半には満足しています。カーNo.7のアウディと戦い、我々は予選の順位を取り戻すことができました」

ロマン・デュマ(No. 18)
「簡単な状況でなかったのは間違いありません。スタート直後にマークはスピンし、私の919ハイブリッドではピットスピードリミッターが誤作動しました。間違ってスイッチを押してしまった可能性もありますが、ポジションを落としたことは確かです。トヨタに激しく追い立てられたせいか、20周に渡りブレーキにも違和感を感じました。スティント後半は前を走るライバルたち全員をオーバーテイクし、楽しむことができました」

ニール・ジャニ(No. 18)
「開幕戦のシルバーストン以来、トラブルのないレースでした。車も素晴らしく戦略も的中し、私たちはトップを走りました。フルコースイエローのタイミングにも恵まれました。後続に1分の差をつけてレースをリードするタイミングもあったと思います。シリーズ序盤の数レースにおけるトラブルでドライバーズタイトルの可能性は失ったことで、17号車に勝利を譲りました。悔しいのはもちろんですが、今は我慢して次のチャンスを待つつもりです」

マルク・リーブ(No. 18)
「レース中盤のダブルスティントを走りました。走り始めの路面はインターミディエイトにはスリッパリー過ぎたため、苦しみました。雨が止んでからのペースは良く、本来の速さを見せることができたと思います。1分もの大差でリードしていたので、ブレーキの温度管理をしながらタイヤもセーブしました。レースで最速だったのは良いことです」

世界耐久選手権(WEC)第7戦は、11月1日、中国の上海インターナショナル・サーキットで開催される。

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カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)