ポルシェ、スパで初めての3台体制で参戦 / WEC世界耐久選手権
ポルシェは、5月2日にスパ・フランコルシャン(ベルギー)で開催されるFIA世界耐久選手権(WEC)第2戦に3台の919ハイブリッドで挑む。

3台目の919ハイブリッドをドライブするのは、F1ドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグ、アール・バンバーおよびニック・タンディ。カーナンバー19をドライブするトリオは、この6時間のレースで6月のル・マン24時間レースへ備える。

ポルシェのレギュラーWECドライバーのラインナップは、他の2台のLMP1ハイブリッド・プロトタイプのコックピットに乗り込む。ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバー組がカーナンバー17を、ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブがカーナンバー18のポルシェ919ハイブリッドをそれぞれドライブする。

3台のそれぞれのカーナンバーは、ポルシェにとって特別な意味を持ちます。カーナンバー17は、今日までポルシェがル・マンで挙げている合計16勝の最初の1勝を1970年に飾ったポルシェ917 KH(ショートテールを意味する"Kurzheck”)へのトリビュート。カーナンバー18は、919ハイブリッド・レーシングカーと、同じくハイブリッドシステムを搭載したスーパースポーツカー、918スパイダーのテクノロジーにおける密接な繋がりを象徴している。そして、カーナンバー19は、ポルシェの昨シーズンからのプロトタイプレースへの復帰を果たした919ハイブリッドを示す。

スパでは、3台すべてのポルシェ919ハイブリッドが、いつものホワイトのボディカラーでレースに臨む。今年のチームプレゼンテーションで披露された色違いのカラーリングは、ル・マン限定で登場する。

3台目のハイブリッド・プロトタイプの投入は、ヴァイザッハを拠点とする若きチームにとって、重大なオペレーション上の挑戦となる。これは、ポルシェの未来へのコミットメントと、WECでのハイレベルな闘いを強調するもの。2014年シーズンから導入された新しいWECのレギュレーションでは、パワフルで革新的なハイブリッドシステムが要求される。これこそが、ポルシェが復帰を決定した要因だった。第2世代へと進化したポルシェ919ハイブリッドは、さらに効率的に、さらに強く生まれ変わった。3つの部分で構成されるパワートレーンの最適化によってポルシェは参戦メーカー中、唯一となる最高レベルの8メガジュール・エネルギー回生クラスを選択した。これは、ポルシェ919ハイブリッドが、F1および他のメーカーのル・マン・プロトタイプを含む、他のどのレーシングカーよりも大きなエネルギーを回生することを意味する。極限のエネルギー回生を可能としたハイブリッドシステムを生み出したエンジニアリングは、ポルシェのプラグインハイブリッドモデルなどの電気を利用したロードカーと切っても切り離すことができない関係にある。

フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)
「シルバーストンでのシーズン開幕戦で見せた第2世代919ハイブリッドの速さには、説得力がありました。これは、予選だけに言えることではなく、長時間にわたる走行でも進歩が目に見え、私達は1時間半にわたって1-2でリードを維持することができました。スパでの3台目の919ハイブリッドは、アール、ニックおよびニコのために完全に新たに作り上げたものです。これほど複雑な車3台と9名のドライバーをマネージメントすることは、チーム監督のアンドレア・ザイドルとそのクルーにとって大きなチャレンジとなるでしょう。3台すべての919ハイブリッドは、シルバーストンの決勝と同じエアロセッティングとなっています。8メガジュールクラスのハイブリッドマネジメントで何が必要となるかについては、常に学び続けています。一般的に言って、スパのサーキットのレイアウトは、私達の車に合っているはずです」

WECシーズン全戦を戦うカーナンバー17および18のクルーのスパでの目標は、チャンピオンシップでのポイントの獲得。しかし、カーナンバー19のクルーには別の課題がある。総合的なテストの後、彼らはすべてのレース進行手順に慣れ、刺激的なLMP1でのレース経験を積み、シーズンのハイライトであるル・マンに備える必要がある。

ポルシェ919ハイブリッド(No. 17)


ティモ・ベルンハルト
「2つの理由で、スパは私にとって特別なレースです。まず、スパは私の地元のブルッフミュールバッハ=ミーザウから遠くないため、多くのドイツ人ファンが来てくれるでしょう。次に、30年前にスパで亡くなったステファン・ベロフを追悼するため、私は特別なヘルメットを被って参戦します。私は彼をとても尊敬していて、彼のレーシングドライバーとしての才能を人々に思い出してもらいたいのです。レースについて言えば、スパのサーキットは、いつでも花形です。このサーキットのレイアウトは、地形に自然に溶け込んでおり、あまり手が加えられていません。安全性は大幅に向上しましたが、その伝統に変わりはありません。スパはテクニカルなサーキットで、正確なセッティングが要求されます。優れたチームワークで大きな差が出る場所です」。

ブレンドン・ハートレー
「私は、渡欧して初めてスパのサーキットを見てどれほど驚いたか、決して忘れることはありません。このサーキットは、あらゆるドライバーを興奮させると思います。オー・ルージュのようなコーナーは、独特ですばらしいです。919ハイブリッドは、シルバーストンよりスパに適しています。ここでレースするのを待ち切れない気持ちです」

マーク・ウェバー
「スパは好きなサーキットのひとつです。スパでのレースは、カレンダーに載っているきわめて個性的なクラシックレースの一戦であり、非常に高速のサーキットなので、919ハイブリッドを本当に速く走らせることができます。いつでも天気が重要な要素で、1周の距離が長いため、サーキットの一部では雨が降っていても別の場所はドライコンディションだったりします。オー・ルージュは、世界でも最も有名なコーナーのひとつで、TVで見るよりずっと急です。シルバーストンでは期待通りにはなりませんでしたが、私達に大きなポテンシャルがあり、スパではよい結果を出したいと思っています」

ポルシェ919ハイブリッド(No. 18)


ロマン・デュマ
「昨年のスパでも私たちは非常に速かったのですが、ニュー919ハイブリッドはさらに速いでしょう。ダウンフォースが増しているので、今年のオー・ルージュとラディオンは全速で行けると思います。スパの耐久レースにはすばらしい伝統があり、毎回観客も集まります。私のスパにまつわる最高の想い出のひとつは、2003年にマルク・リーブとともに24時間レースで優勝したことです」

ニール・ジャニ
「シルバーストンの順調なシーズン開幕戦の後、スパでレースするのを待ち切れません。イギリスで愉しんだのと同様、さらにスリリングなトップ争いができることを期待しています。そして、このベルギーのサーキットは私達に合っているはずです。昨年は919の初ポールをスパで獲得し、序盤ではかなりの時間、レースをリードしていました。もちろん今回の目標は、レースの最後にリードしていることです」

マルク・リーブ
「スパは大好きなサーキットのひとつです。高速コーナーが多いこの自然の地形を生かしたサーキットには、独自の流れがあります。ロマン・デュマと優勝したスパ24時間レースは、私の耐久レースのキャリアで経験した初のハイライトでした。3台の919ハイブリッドで参戦するのは初めてで、これはチーム全体にとって大きなチャレンジです。十分な準備をしたと思うので、チャレンジを愉しみにしています」

ポルシェ919ハイブリッド(No. 19)


アール・バンバー
「昨年、私にはとても大切なスパの想い出ができました。ポルシェ・モービル1・スーパーカップで、ポール・トゥ・ウインを決めたのは、最高に愉しかったです。私はこの壮観なサーキットが大好きです。919でオー・ルージュを走るのを非常に楽しみにしていますが、何よりあのクルマでレースするのが待ち切れません。シルバーストン戦では、画面に釘付けになりました。私が見た中でも最高のレースのひとつでした。6時間のスーパーカップレースのようでした。ニコとニックとのテストは愉しく、初めて彼らとともにレースするのを待ち遠しく思っています」

ニコ・ヒュルケンベルグ
「この数週間、スパでのウイークエンドで何が起こるかと考えると、すごく興奮しています。もちろん、あのグランプリ・サーキットをよく知っていますし、何度もレースをしました。しかし耐久レースはまったく新しい世界で、すべてがどのように展開するか、とてもワクワクしています。私は、このチャレンジに心を開いて立ち向かうつもりです。経験を積みたいですし、もちろんポルシェと自分自身のために、しっかりと働きたいと思っています。長いストレートがある高速サーキットのスパは、919ハイブリッドに合っているはずです。ドライコンディションだとよいのですが、アルデンヌ地方ではどうなるかはまったく予想できませんし、あらゆる事態に対する準備が必要です」

ニック・タンディ
「これまで何度もスパでレースをしました。シングルシーター、ポルシェ スーパーカップ、そして、2012年のGTオープンではポルシェで優勝しました。スパは、最高のサーキットのひとつで、919での初レースにとても興奮しています。私は、できる限りの準備ができていると感じています。しかし過大な期待はしていません。私達の仕事は、チェック項目を確認してル・マンに備えることです」

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カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)