ポルシェ
ポルシェは、2014年FIA世界耐久選手権のサンパウロ最終戦においてロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組のポルシェ919ハイブリッドが初優勝を達成した。

ティモ・ベルンハルトおよびブレンドン・ハートレーと共にもう一台のポルシェ919ハイブリッドをドライブするマーク・ウェバーは、6時間のレースの終了まで30分を切った頃、6位を走行していたが、高速の最終コーナーでタイヤバリアに非常に激しく激突した。

チームがサーキットのメディカルセンターから最初に受け取った情報では、彼の負傷はそれほど深刻ではない、ということだった。しかし、彼は精密検査のためにサンパウロの病院に搬送された。レースは、ニール・ジャニがステアリングを握るカーナンバー14の919ハイブリッドがセーフティカーの先導でフィニッシュして幕を閉じた。

カーナンバー14のレース展開:
マルク・リーブは2番グリッドからスタートを切ったが、1周目でトヨタに抜かれ1つポジションを落とした。順位を取り戻すための息を呑むような追撃を見せた後、彼は37周で3位のままポルシェ919ハイブリッドをニール・ジャニに渡した。スイス人のジャニはトヨタを攻め続け、順位を入れ替えたものの、76周で車両をデュマに引き継いだ時点では、また3位になっていた。ロマン・デュマは、88周でトヨタが他車に接触した際に再び抜き返す。105周目、デュマは右側リアタイヤのパンクのため、予定より早くピットに戻らなければならなかった。再びマーク・リーブがステアリングを握った後、119周でもう一台のポルシェ919ハイブリッドがトラブルに見舞われたことにより、カーナンバー14が首位に立った。リーブは144周でピットに入り、再度デュマにクルマを預けた。183周目に、ジャニが2位でマシンを受け取った。222周目のピットストップでは、彼はコックピットに留まり、タイムを稼ぐためにタイヤを交換しないという賭けに出た。この賭けが功を奏し、919ハイブリッドは初優勝を果たした。

カーナンバー20のレース展開:
ティモ・ベルンハルトはポールポジションからスタートし、38周でウェバーに交代する時点で、12秒のリードを確保してした。マーク・ウェバーは多少のトラフィックの問題はあったもののリードを保ち、79周でブレンドン・ハートレーにマシンを渡した。ニュージーランド人のハートレーとカーナンバー20は、原因不明のトラブルでエンジン出力が低下したため優勝の夢は間もなく途絶えた。119周でハートレーからベルンハルトに交代し、彼は3位でレースを続けた。153周を過ぎたところでフルコースコーションが出されイエローフラッグが振られる中、ハートレーが再びステアリングを握った。193周で再びウェバーに交代したが、すでに6位に後退していた。彼は227周で最後のピットストップを終え、レース終了まで30分を切った239周目、高速の最終コーナーで激しいクラッシュを喫した。

レース後のコメント:
フリッツ・エンツィンガー (LMP1プロジェクトのトップ)
「現時点における最も重要な情報は、マーク・ウェバーの容態が良好であるという医師からの第一報です。私はWECのデビューシーズンで初優勝を達成できたことが信じられません。また、マークのアクシデントもあり、勝利を素直に喜ぶことができません。今週末すべてのセッションで私達が最速で、両車共にフロントローに並びました。決勝は最終ラップまでスリルの連続でした。研究開発期間も含めた3年におよぶ厳しい年月の末、すばらしいチームによってデビューシーズンで優勝を飾ることができました。チームにはおめでとうの言葉を送ります。私は彼らを誇りに思います」

アンドレア・ザイドル (チーム監督)
「私達が得ている情報では、あの重大なアクシデントにもかかわらず、マークは大丈夫であるとのことです。この週末、ドライバー、メカニックおよびエンジニアの全員が、今年の課題の最終ステップを完了しました。それは、自力で優勝するということでした。私達は、デビューシーズンで学んだことを証明することができました。それは、タイヤマネージメントであり、ピットストップであり、その他のオペレーションです。私達は、あらゆる面でトップに辿りつきました。現場であるサーキット、そして本居地ヴァイザッハで貢献してくれた全員に大きな感謝の意を表します。2014年のミッションは完了した今、次のシーズンを愉しみにしています」

ポルシェ919ハイブリッド(No. 14)のドライバーのコメント
ロマン・デュマ(36歳、フランス)
「私達がポルシェのためにレースに勝てたことはすばらしいことです。しかし、それにも増して大切なのは、マークが大丈夫だということです。今日の私の最初のスティントは、右側リアタイヤのパンクのため、予定より早く終わりました。原因はわかりませんが、何かの破片を踏んだのでしょう。次のスティントでは、リアタイヤの空気圧を変更し路面のグリップレベルが改善できたため、ずっとよい時間を過ごすことができました。クルマは、本当に好調でした」

ニール・ジャニ(30歳、スイス)
「厳しいレースでした。すべての周回が予選モードで、カーナンバー8のトヨタとはよいバトルができました。最後の作戦が上手く行ったのは、ほとんど信じられないようなことでした。ロマンとマルクと一緒に、919ハイブリッドの最初のポールポジションを獲得し、今回は初優勝を達成しました。私にとって、今年は夢のシーズンでした。次の夢は、世界選手権タイトルとル・マンでの優勝です。私達は、ドライバーズタイトルでも3位になりました。このような結果を誰が信じていたでしょうか?」

マルク・リーブ(34歳、ドイツ)
「チームにとってすばらしい日になりました!1周目でトヨタに抜かれて順位を1つ落としました。驚いたことにトヨタはコーナーでブーストを使って私を驚かせました。その後、919ハイブリッドは最速のクルマだったにもかかわらず、トップに立つことはできませんでした。私はあらゆることを試しましたが、トヨタは隙を見せませんでした。私の2回目のスティントでの最大の問題は、トラフィックでレーシングラインを外さなければならない場面でのタイヤのグリップでした。まるで、氷の上をドライビングしているようでした」

ポルシェ919ハイブリッド(No. 20)のドライバーのコメント
ティモ・ベルンハルト(33歳、ドイツ)
「私の最初のスティントは、スタートから最初のピットストップまで、レースをリードするという単純明快なものでした。私は、12秒のリードでマーク・ウェバーにクルマを渡しました。トラフィックへの対処が非常に難しく、特に私のスティントの最後にかけて、遅い車両に大いに悩まされました。高い気温も非常に厳しかったです。その後の2回目のスティントは、1回目ほど満足の行くものではありませんでした。それは、私達のクルマが持ち前のパワーを完全に発揮できない状態に陥っていたからです。ただし、それはもう重要ではなく今はマークが無事であることが何よりです」

ブレンドン・ハートレー(25歳、ニュージーランド)
「今回は感情が激しく揺さぶられるレースでしたが、何より重要なのはマークが大丈夫だということです。私の最初のスティントの序盤は、レースをリードして気持ちのよいものでした。ティモとマークがすばらしい仕事をして、クルマを首位につけてくれ、それは感動的でした。その後、私が10周ほどした時点で、残念ながらエンジンの出力が低下し後退しました。それでもこのサーキットを走行するのは素晴らしい経験でした。しかし、それよりマークのことが心配です」

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カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)