セルジオ・ペレス レッドブルF1離脱の真実とキャデラックでの再出発を語る

2023年にはドライバーズランキング2位を獲得し、チームのコンストラクターズタイトル連覇に貢献。翌2024年の序盤にはレッドブルとの契約延長まで結んだ。
しかしシーズン後半に成績が急落し、最後の8戦でわずか9ポイント。契約を2年残したまま、チームと合意してシーズン終了での離脱に至った。
ペレスは「自分の望む形ではない離れ方」だったと振り返る。
レッドブル離脱後に見えた「休みが必要だった」という事実
キャデラックのシルバーストーン拠点でのシート合わせの際、ペレスは当時の心境をこう語った。
「そのときは(休みが必要だとは)感じていなかった。でもF1にいると、次の年、次のレース、次の契約のことで頭がいっぱいで、まるで自動運転みたいなんだ」
「でも僕みたいに外に出ることを強制されると、いろいろ分かるんだ。スポーツが違って見えてくる」
レッドブルでの最後の半年間は特に厳しかったという。
「最後の6カ月は、あらゆる面で本当に厳しかった。スポーツに対するモチベーションを失いかけていた。でも、それは許されない。F1は僕にすべてを与えてくれたんだから」
「F1を去るときには、大きな笑顔と敬意を持って去りたい。スポーツには本当に全てをもらったからね」

「F1が恋しかった」休養が復帰の引き金に
F1を離れた当初、ペレスは自分が何をしたいのか分からなかったという。
「最初の2カ月くらいはよかった。でも気づけばレースのために早起きしていた。F1を見続け、パドックにいる友人にも話を聞いていた」
「そのとき、『僕は思っていたよりF1を恋しがっている』と分かったんだ」
その頃、キャデラックとの会話が本格化する。
「キャデラックとの話が始まって、彼らのレーシングへの情熱が見えた。そこではっきりした。『まだ自分には何か残っている』って」
“夢のようなシナリオ” 休養後に得たリフレッシュと新たな挑戦
キャデラックは2026年参戦に向け、GMの大規模投資を背景に経験豊富なスタッフを集めている。ペレスはその中心的役割を担い、すでにシミュレーター作業や会議を重ねている。
「今振り返ると、まるで夢のシナリオだ。1年休んでリフレッシュして、そして15年のF1生活を経てもう一度エネルギーを取り戻して戻ってこられたんだから」
「新しいチームで、ほとんどゼロからのスタートだ。チームと一緒に働き、あらゆる分野でチームを前に進めていくつもりだ。シミュレーターでもね」
F1で忘れていた「楽しさ」を思い出させてくれた休養
長いF1キャリアのなかで、ペレスは「楽しむこと」を忘れていたと語る。
「F1はバブルなんだ。ドライバーは多くのことで頭がいっぱいになる。ちょっとしたタイムを削れたかも、あれができたかも…そんなことばかり気にしてしまう」
「でも一番大事なのは楽しむこと。僕たちは、自分の好きなことを仕事にできているんだから」
「それが一番大きな教訓だ。僕たちは競争心が強すぎて、楽しむことを忘れてしまうんだ」
経験豊富なスタッフと共にゼロから作るチーム「影響を与えられる喜び」
キャデラックは2026年に向けて、多くの経験者を集めている。
「メルボルンに向けて準備するだけじゃなく、競争力を持って準備しなければならない。経験豊富な人たちが周りにいるのは大きな助けになる」
「みんなパドック歴が長く、何かを証明したいという情熱を持っている」
契約以降、ペレスは会議にも積極的に参加し、方向性を示している。
「チームと行ったり来たりして、特定の分野でプッシュしたり、方向を与えたりしてきた。自分が影響を与えられるチームというのは素晴らしいよ。僕が求めれば、ちゃんと応えてくれる」
「重要なのは成長速度」初年度から“驚きを与える存在”へ
ペレスは初年度の順位よりも、チームがどれだけ早く進歩できるかを重視している。
「どこからスタートするかは関係ない。重要なのはどれだけ早く前進できるかだ。僕たちは多くの人を驚かせられると思う。それが僕たちの目標なんだ。初日からF1に強いインパクトを与えたい」
そして、この挑戦が“最後のプロジェクト”だと強調する。
「これは僕の大きな、最後のプロジェクトだ。成功した復帰にしたい」
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