【MotoGP】 ヤマハ:第12戦 イギリスGP 決勝レポート
Movistar Yamaha MotoGPにとって多くのドラマをもたらしたMotoGPイギリスGPは、最終的にダブル表彰台で幕を閉じた。マーベリック・ビニャーレスはタイヤを消耗した終盤、厳しい状況のなかでそれを完璧にコントロール。優勝争いを展開したあと2位でチェッカーを受けた。バレンティーノ・ロッシは終始、ハイペースをキープし、ほとんどの時間帯でレースをリードしていたが、終盤で先行を許して3位となった。
マーベリック・ビニャーレスはグリッド4番手から好スタートを切り、その順位を守って第1コーナーへ。バレンティーノ・ロッシがトップに立ったのを見てすぐさまペースを上げ、C・クラッチロー(ホンダ)をパスして3番手へ浮上した。3ラップ目にはM・マルケス(ホンダ)に並んでいってこれをとらえ、すでに1秒以上のリードを築いていたバレンティーノ・ロッシを追いかけてゆく。
限界ぎりぎりまで激しく攻めるマーベリック・ビニャーレス。毎ラップ、約コンマ5秒ずつ差を詰める勢いでついにはバレンティーノ・ロッシのテールに迫り、残り10ラップ、最初のアタックを試みようとしたところでA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)が先に動いた。ここからが熾烈な2位争いの始まり。マーベリック・ビニャーレスはマルケスにも抜かれて4番手に後退し、この間にもバレンティーノ・ロッシが再びアドバンテージを広げていこうとしたが、バトルはそれでは終わらなかった。
マルケスが戦列を離れたあとマーベリック・ビニャーレスが再び集団に加わり、残り2ラップでバレンティーノ・ロッシをパスして2番手。さらにドビツィオーゾに襲い掛かるが0.114秒届かず、そのまま2位でチェッカーを受けた。
一方のバレンティーノ・ロッシは、史上初となるグランプリ・プレミアクラス300回目の出場。グリッド2番手、フロントローから飛び出してホールショットを奪い、そのまま一気にペースを上げると2ラップまでに後続に1秒もの差をつけた。
多くの時間帯でトップをキープして逃げ切り態勢に入ろうというところ。ライバルたちがそうはさせまいと懸命の追撃を開始。まずドビツィオーゾがバレンティーノ・ロッシのテールに迫るも、バレンティーノ・ロッシは巧みにこれを抑えこんでペースをコントロール。しかし激しい競り合いが残り3ラップまで続いたあと、バレンティーノ・ロッシがドビツィオーゾに先行を許しさらにマーベリック・ビニャーレスにも交わされて3番手へ後退した。
リアタイヤの消耗で苦しい戦いを強いられていたバレンティーノ・ロッシは、このあと3位キープに作戦を切り替えてゴールを目指し、着実にポイントを加算。トップとの差は0.635秒だった。
この結果、マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシはそれぞれランキング3位と4位をキープ。ランキングトップとの差は、マーベリック・ビニャーレスが13ポイント、バレンティーノ・ロッシが26ポイントという接戦が続く。コンストラクターズ・ランキングではヤマハが7ポイントをリードしてトップ。
Monster Yamaha Tech3のヨハン・ザルコが見事な戦いぶり。グリッド8番手から飛び出して、果敢にバトルに挑んでいった。レース後半はますますペースが上がり、トップグループにも負けない速さで走り切って6位。この結果、ポイント争いでも優勢となり、サテライト勢トップの6位につけている。
一方、チームメイトのジョナス・フォルガーは、午前中に行われたウォームアップ・セッションで転倒し、決勝欠場を余儀なくされた。メディカル・センターでの検査の結果、出場は困難と判断された。
MotoGPはこのあとイタリアへ移動。2週間後にミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリで第13戦が開催される。
「難しいレースでしたが、何とか最後までコントロールすることができたと思います。とくに電子制御システムについては、すべてのエリアで強さを発揮できました。今回は本来のポテンシャルを取り戻し、このところ苦労を強いられていたレース終盤が本当に良くなりました。最後の数ラップは私のマシンが最速だったので、次回からはもっと強く、もっと積極的に攻めていくつもりです。終盤まで好調を維持することができていたので、あとはただペースを守り、集中力を切らさず、最後までタイヤをもたせることだけを考えました。もちろん、序盤から飛ばすことも可能でしたが、そうすればタイヤを激しく消耗してしまいます。だから別の方法を試みたのです。つまり序盤はペースを抑えて終盤でプッシュする。その結果がこの2位という成績です。最終ラップではドビツィオーゾをとらえようとベストを尽くしました。最終ラップも最速に近いタイムで走ることができたので全力で挑みましたが、結局、今日は2位が最善だったのだと思います。何より、正しい方向を見つけて本来の強さを取り戻せたことを喜んでいます」
バレンティーノ・ロッシ (3位)
「とてもいいレースができたので満足しています。スタートも絶好でしたし、そのあとの走りも非常に順調で、限界まで攻めながらミスをおかさずにトップをキープすることができました。17ラップを心から楽しんで走り、MotoGPのプレミアクラス300回目を祝う、とても素晴らしいレースになったと思います。もちろん、終盤でリアタイヤを消耗してしまったことは残念に思っていますが、それも以前よりかなり良くなっているのです。いずれにしても、まだトップに立ったわけではないので、優勝を目指すためにはもっともっと頑張らなければなりません」
マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)
「今日の結果は、この数週間、懸命にハードワークを続けてきたふたりのライダーとそのクルーたちにとって最高の贈り物になりました。マーベリックはリアタイヤに、金曜日もウォームアップでも好感触をつかんでいたソフト・コンパウンドを選択。決勝では賢明にも、最後の最後までペースを抑えてタイヤを十分に温存しました。そして最終ラップでドビツィオーゾに迫っていきましたが、わずかに届かず2位となりました。バレンティーノについても、300回目のグランプリという記念のレースで17ラップにわたってトップをキープ。その雄姿をしっかり目に焼き付けることができました。終盤でタイヤを消耗してポジションを守り切ることができなかったことは残念ですが、走り自体は最後まで素晴らしいものでした。ふたりとも高ポイントを獲得することができたので、今日のこの結果が、あとあと非常に重要な意味を持つことになるしょう。次は、先週テストを成功させたばかりのミサノなので、またトップを目指して頑張っていきたいと思っています」
「最終結果に満足しています。ただ、レース自体はとてもうまくできたのですが、スタートで手間取ってポル・エスパルガロをパスするまでに少し時間がかかってしまいました。彼の前に出てからはずっと、安定したペースをキープ。でもトップグループは終盤で非常に速く、追いつくことができませんでした。マルケスが戦列を離れたことで、ひとつポジションアップ。そのあとロレンソと競り合い、打ち勝てると思っていたのですが、彼も力を温存していてスピードでかないませんでした。最後の2ラップはスライドが激しくなり苦しい状況になってしまいましたが、タイヤ・チョイスは間違っていなかったと思っています。スタートからフィニッシュまで同等のラップタイムを維持して走り切るためには、チームと協力して、セッティングとライディング・スタイルを改善していくことが必要です。10ポイントを獲得し、チャンピオンシップでペドロサとの差を詰めることができました。今回も多くを学び、ウイークを通じて好調をキープし、トップから大きく離されずにゴールできたのはとても良かったと思っています」
エルベ・ポンシャラル (チーム・マネジャー)
「ジョナスがグリッドに並べなかったことをチームのみんなが非常に残念に思っています。まず始めに、このことをお伝えしておきます。彼は今回、腹痛に苦しみながらも懸命に頑張ってきました。そして昨日は本当に素晴らしい走りを見せてくれていたのです。今日は昨日に増して体調が良くなっていたので大いに期待していましたし、彼の好きなこのコースで本来の強さを発揮できると確信していました。ところがウォームアップのなかで高速走行中に転倒。幸いなことに大きなけがはありませんでしたが、ドクターは賢明にも、大事をとって欠場するよう進言してくれました。非常に残念ではありましたが、これで今は体調も完全に回復しています。次のミサノに万全の状態で臨み、必ず本来の速さを見せてくれると信じています。一方、ヨハンのほうは今回もまた素晴らしい走り。ただスタートでちょっと遅れてしまい、何人かのライダーにブロックされてなかなか前へ出ることができませんでした。それでも、彼らをパスして前方がクリアになったあとは一気にペースを上げ、ときにはトップグループ以上の速さを見せていました。それだけに序盤の遅れが残念だったのですが、いずれにしても素晴らしい走りと、その結果としてつかんだ貴重なポイントを祝福します。サテライト勢トップのポジションをより確実にしていることを非常にうれしく思い、誇りに思っています。今回はヤマハ勢全体が調子を取り戻しており、3台がトップ6に入りました。チャンピオンシップも例年以上に激しくなっているので、これからもますます面白いレースが期待できるでしょう。次のミサノを楽しみにしています」
関連:【MotoGP】 第12戦 イギリスGP:ドヴィツィオーゾが今季4勝目
カテゴリー: F1 / MotoGP
マーベリック・ビニャーレスはグリッド4番手から好スタートを切り、その順位を守って第1コーナーへ。バレンティーノ・ロッシがトップに立ったのを見てすぐさまペースを上げ、C・クラッチロー(ホンダ)をパスして3番手へ浮上した。3ラップ目にはM・マルケス(ホンダ)に並んでいってこれをとらえ、すでに1秒以上のリードを築いていたバレンティーノ・ロッシを追いかけてゆく。
限界ぎりぎりまで激しく攻めるマーベリック・ビニャーレス。毎ラップ、約コンマ5秒ずつ差を詰める勢いでついにはバレンティーノ・ロッシのテールに迫り、残り10ラップ、最初のアタックを試みようとしたところでA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)が先に動いた。ここからが熾烈な2位争いの始まり。マーベリック・ビニャーレスはマルケスにも抜かれて4番手に後退し、この間にもバレンティーノ・ロッシが再びアドバンテージを広げていこうとしたが、バトルはそれでは終わらなかった。
マルケスが戦列を離れたあとマーベリック・ビニャーレスが再び集団に加わり、残り2ラップでバレンティーノ・ロッシをパスして2番手。さらにドビツィオーゾに襲い掛かるが0.114秒届かず、そのまま2位でチェッカーを受けた。
一方のバレンティーノ・ロッシは、史上初となるグランプリ・プレミアクラス300回目の出場。グリッド2番手、フロントローから飛び出してホールショットを奪い、そのまま一気にペースを上げると2ラップまでに後続に1秒もの差をつけた。
多くの時間帯でトップをキープして逃げ切り態勢に入ろうというところ。ライバルたちがそうはさせまいと懸命の追撃を開始。まずドビツィオーゾがバレンティーノ・ロッシのテールに迫るも、バレンティーノ・ロッシは巧みにこれを抑えこんでペースをコントロール。しかし激しい競り合いが残り3ラップまで続いたあと、バレンティーノ・ロッシがドビツィオーゾに先行を許しさらにマーベリック・ビニャーレスにも交わされて3番手へ後退した。
リアタイヤの消耗で苦しい戦いを強いられていたバレンティーノ・ロッシは、このあと3位キープに作戦を切り替えてゴールを目指し、着実にポイントを加算。トップとの差は0.635秒だった。
この結果、マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシはそれぞれランキング3位と4位をキープ。ランキングトップとの差は、マーベリック・ビニャーレスが13ポイント、バレンティーノ・ロッシが26ポイントという接戦が続く。コンストラクターズ・ランキングではヤマハが7ポイントをリードしてトップ。
Monster Yamaha Tech3のヨハン・ザルコが見事な戦いぶり。グリッド8番手から飛び出して、果敢にバトルに挑んでいった。レース後半はますますペースが上がり、トップグループにも負けない速さで走り切って6位。この結果、ポイント争いでも優勢となり、サテライト勢トップの6位につけている。
一方、チームメイトのジョナス・フォルガーは、午前中に行われたウォームアップ・セッションで転倒し、決勝欠場を余儀なくされた。メディカル・センターでの検査の結果、出場は困難と判断された。
MotoGPはこのあとイタリアへ移動。2週間後にミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリで第13戦が開催される。
Movistar Yamaha MotoGP
マーベリック・ビニャーレス (2位)「難しいレースでしたが、何とか最後までコントロールすることができたと思います。とくに電子制御システムについては、すべてのエリアで強さを発揮できました。今回は本来のポテンシャルを取り戻し、このところ苦労を強いられていたレース終盤が本当に良くなりました。最後の数ラップは私のマシンが最速だったので、次回からはもっと強く、もっと積極的に攻めていくつもりです。終盤まで好調を維持することができていたので、あとはただペースを守り、集中力を切らさず、最後までタイヤをもたせることだけを考えました。もちろん、序盤から飛ばすことも可能でしたが、そうすればタイヤを激しく消耗してしまいます。だから別の方法を試みたのです。つまり序盤はペースを抑えて終盤でプッシュする。その結果がこの2位という成績です。最終ラップではドビツィオーゾをとらえようとベストを尽くしました。最終ラップも最速に近いタイムで走ることができたので全力で挑みましたが、結局、今日は2位が最善だったのだと思います。何より、正しい方向を見つけて本来の強さを取り戻せたことを喜んでいます」
バレンティーノ・ロッシ (3位)
「とてもいいレースができたので満足しています。スタートも絶好でしたし、そのあとの走りも非常に順調で、限界まで攻めながらミスをおかさずにトップをキープすることができました。17ラップを心から楽しんで走り、MotoGPのプレミアクラス300回目を祝う、とても素晴らしいレースになったと思います。もちろん、終盤でリアタイヤを消耗してしまったことは残念に思っていますが、それも以前よりかなり良くなっているのです。いずれにしても、まだトップに立ったわけではないので、優勝を目指すためにはもっともっと頑張らなければなりません」
マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)
「今日の結果は、この数週間、懸命にハードワークを続けてきたふたりのライダーとそのクルーたちにとって最高の贈り物になりました。マーベリックはリアタイヤに、金曜日もウォームアップでも好感触をつかんでいたソフト・コンパウンドを選択。決勝では賢明にも、最後の最後までペースを抑えてタイヤを十分に温存しました。そして最終ラップでドビツィオーゾに迫っていきましたが、わずかに届かず2位となりました。バレンティーノについても、300回目のグランプリという記念のレースで17ラップにわたってトップをキープ。その雄姿をしっかり目に焼き付けることができました。終盤でタイヤを消耗してポジションを守り切ることができなかったことは残念ですが、走り自体は最後まで素晴らしいものでした。ふたりとも高ポイントを獲得することができたので、今日のこの結果が、あとあと非常に重要な意味を持つことになるしょう。次は、先週テストを成功させたばかりのミサノなので、またトップを目指して頑張っていきたいと思っています」
Monster Yamaha Tech3
ヨハン・ザルコ (6位)「最終結果に満足しています。ただ、レース自体はとてもうまくできたのですが、スタートで手間取ってポル・エスパルガロをパスするまでに少し時間がかかってしまいました。彼の前に出てからはずっと、安定したペースをキープ。でもトップグループは終盤で非常に速く、追いつくことができませんでした。マルケスが戦列を離れたことで、ひとつポジションアップ。そのあとロレンソと競り合い、打ち勝てると思っていたのですが、彼も力を温存していてスピードでかないませんでした。最後の2ラップはスライドが激しくなり苦しい状況になってしまいましたが、タイヤ・チョイスは間違っていなかったと思っています。スタートからフィニッシュまで同等のラップタイムを維持して走り切るためには、チームと協力して、セッティングとライディング・スタイルを改善していくことが必要です。10ポイントを獲得し、チャンピオンシップでペドロサとの差を詰めることができました。今回も多くを学び、ウイークを通じて好調をキープし、トップから大きく離されずにゴールできたのはとても良かったと思っています」
エルベ・ポンシャラル (チーム・マネジャー)
「ジョナスがグリッドに並べなかったことをチームのみんなが非常に残念に思っています。まず始めに、このことをお伝えしておきます。彼は今回、腹痛に苦しみながらも懸命に頑張ってきました。そして昨日は本当に素晴らしい走りを見せてくれていたのです。今日は昨日に増して体調が良くなっていたので大いに期待していましたし、彼の好きなこのコースで本来の強さを発揮できると確信していました。ところがウォームアップのなかで高速走行中に転倒。幸いなことに大きなけがはありませんでしたが、ドクターは賢明にも、大事をとって欠場するよう進言してくれました。非常に残念ではありましたが、これで今は体調も完全に回復しています。次のミサノに万全の状態で臨み、必ず本来の速さを見せてくれると信じています。一方、ヨハンのほうは今回もまた素晴らしい走り。ただスタートでちょっと遅れてしまい、何人かのライダーにブロックされてなかなか前へ出ることができませんでした。それでも、彼らをパスして前方がクリアになったあとは一気にペースを上げ、ときにはトップグループ以上の速さを見せていました。それだけに序盤の遅れが残念だったのですが、いずれにしても素晴らしい走りと、その結果としてつかんだ貴重なポイントを祝福します。サテライト勢トップのポジションをより確実にしていることを非常にうれしく思い、誇りに思っています。今回はヤマハ勢全体が調子を取り戻しており、3台がトップ6に入りました。チャンピオンシップも例年以上に激しくなっているので、これからもますます面白いレースが期待できるでしょう。次のミサノを楽しみにしています」
関連:【MotoGP】 第12戦 イギリスGP:ドヴィツィオーゾが今季4勝目
カテゴリー: F1 / MotoGP