MotoGP ホンダ フランスGP
MotoGP 第5戦フランスGPの決勝日は、終日、厚い雲が空を覆い、最高気温15℃という天候となった。そのため、タイヤの選択に悩むレースとなった。前日、ウエットコンディションで、今季3度目のポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、朝のウォームアップで試したソフトコンパウンドのフロントタイヤで決勝レースを戦うことを決めた。

朝のウォームアップから、午後2時の決勝のスタート時間まで、ほとんど気温と路面温度が上がらなかったことから、これまでほとんど決勝で使ったことがないソフトのフロントタイヤで27ラップを戦えると判断。しかし、タイヤに負担をかけないために、2位以下に2秒のリードを築いてからは、後続との差をしっかりキープする作戦とし、最後まで安定したペースで大会2連覇と今季3勝目を挙げた。この優勝は、Hondaの最高峰クラス300勝目となり、マルケスは、記念のTシャツを着て表彰台に立った。

Hondaの最高峰クラス初優勝は、1966年の開幕戦西ドイツGPでRC181に乗るジム・レッドマンが達成した。そのレッドマンの活躍もあり、この年、Hondaはデビューシーズンにして5勝を挙げ、見事、コンストラクターズタイトルを獲得した。その後、グランプリ参戦を中断した時期もあったが、30年後の1996年のカタルニアGPでカルロス・チェカがNSR500で通算100勝を達成、さらに10年後の2006年のオランダGPでニッキー・ヘイデンがRC211Vで200勝を達成、そして、今大会、RC213Vでマルケスが300勝を達成した。

Hondaは1961年にロードレース世界選手権(WGP)に参戦、以来、これで全クラス通算で775勝とした。マルケスは、2015年のインディアナポリスGPで700勝を達成し、その名を歴史に刻んだが、今度は最高峰クラス300勝にその名を刻んだ。この優勝でマルケスは、最高峰クラス47勝、通算勝利数を73(歴代5位)とした。

15番グリッドから決勝に挑んだカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、オープニングラップに11番手に浮上、その後、着実にポジションを上げて8番手に浮上したが、ラスト2周でファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)に抜かれ9位でチェッカーを受けた。今大会は不安定な天候に翻弄される大会となり、初めて予選でQ2進出を逃し、15番手という厳しいグリッドからのレースになった。しかし、9位でフィニッシュしたことで、次につながるレースとなった。

Repsol Honda Teamで5戦目を迎えたホルヘ・ロレンソが、ベストグリッドの8番手からベストリザルトの11位でフィニッシュした。初日のフリー走行では4番手と好調なスタートを切ったが、土曜日のフリー走行と予選がウエットコンディションになったことで、セットアップを完全なものにすることができなかった。ル・マンでは、過去5回優勝経験のあるロレンソ。今大会の11位というのは満足のいく結果ではないが、着実にRC213Vのパフォーマンスを引き出しており、次戦イタリアGPの走りが期待される。

開幕から5戦連続でのトップ10を狙った中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、ベストグリッドとなる7番手から決勝に挑んだが、セットアップが完全ではなく、12番手までポジションを落とす苦しい戦いとなった。その後、19周目の11コーナーでフロントが切れ込んで転倒し、今季初のリタイアとなった。残念な結果に終わった中上だが、予選ではレースをこなすごとにベストグリッドを更新しており、次戦イタリアGPでは、昨年のバレンシアGPの6位を超えるベストリザルトに挑む。

マルク・マルケス(MotoGP 優勝)
「ル・マンは気温や天候が不安定なので、いつも難しいレースになります。今日は特に難しい一日でした。フロントタイヤにソフトを使ったのは初めてだと思いますが、それが一番安全な選択でした。後続とのギャップが2秒に広がるまではプッシュしました。それからは、1分32秒後半のタイムで安定して走行することに集中しました。今日の結果はうれしいです。そして、この優勝がHondaの最高峰クラス300勝目となりました。とにかく、最高の気分です」

カル・クラッチロー(MotoGP 9位)
「今日は残念な結果に終わりました。しかし、有意義なデータを集めることができたのはポジティブだったと思います。今大会は、セッティングとフィーリング、そしてタイヤがあまり快適ではありませんでした。こうした問題を解消し、前進しなければなりません。予選15番手と後方からスタートとなり、難しいレースになりました。しかし、決勝レースではいいスタートを切り、2周目で9番手に浮上し、9位でフィニッシュしました。もう少しトップとのギャップを縮めたいと思ったのですが、今日は無理でした。ムジェロでまたトライします。最高峰クラスで300勝を達成したHondaにおめでとうと言いたいです。Hondaの一員として誇りに思います」

ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 11位)
「11位は思っていたような結果ではありませんが、進歩できたことは間違いなく、うれしい結果でした。今後のレースに向けて力が湧いてきます。今週末は、フリー走行で初めてトップ5に入り、予選ではトップ8に入ることができました。開幕戦のカタールに比べたら、今回はトップとのギャップが一番縮まりました。レースごとにいろいろ学んでいます。あとは時間の問題です。一生懸命がんばってくれているRepsol Honda Teamに感謝したいです。今日はマルクの優勝で、(Hondaの)最高峰クラス300勝目となりました。おめでとうと言いたいです」

中上貴晶(リタイア)
「チェッカーまであと9周という19周目の11コーナーで、突然フロントが切れ込み、転んでしまいました。なんの徴候もなく、あっという間のことでした。今日は自分だけがフロントにミディアムを選びました。ほかの選手は全員ソフトを選択しましたが、27周のレースなので、ソフトでは終盤厳しくなると思ったからです。実際、タイヤの温度はしっかり上がり、フィーリングもとてもいいものでした。目標は1分32秒台で周回することでしたが、33秒台を越えることができず、苦しいレースになりました。今日はブレーキングはよかったのですが、そこからのターンインでものすごく取り回しが重くて、気持ちよく乗れませんでした。予選はウエットコンディションでベストグリッドの7番手を獲得しましたが、ドライコンディションでは厳しい戦いになると思っていました。10番手前後の走りになるのではないかと思っていましたが、その通りの内容になってしまいました。今日は限界ギリギリでした。次はムジェロで行われるイタリアGPですが、ムジェロのレイアウトは好きなので、今回完走できなかった分もしっかり走って、結果で返したいと思います」

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カテゴリー: F1 / MotoGP