MotoGP:ホンダ 2021年 第4戦 スペインGP プレビュー
2021年のMotoGP 第4戦スペインGPが、4月30日(金)から5月2日(日)までの3日間、イベリア半島の南西部に位置するヘレス・サーキットで開催される。同サーキットは一周4.423km。バラエティーに富んだ大小13のコーナーがあり、そのすべてがパッシングポイントと言っても過言ではなく、毎年、厳しい戦いが繰り広げられる。

ヘレスでは、1987年に初めてグランプリが開催された。以来、スペインGPの舞台として定着。同地で開催されるのは今年で35回目となる(88年はハラマで開催)。コロナ禍の中で、昨年は当初予定されていたこの時期の大会が延期となり、7月に第2戦スペインGPと第3戦アンダルシアGPが開催された。グランプリ史上初の同一サーキットでの2連戦として開催され、シーズンを通じて5サーキットで2連戦が実施されるという過去に例のないシーズンとなった。今年もコロナ禍の中で厳しいシーズンとなっているが、今年は4月下旬から5月にかけて開催されることになった。

ヘレスのあるアンダルシア地方は、一年を通じて温暖な気候で、平常時はウインターテストの舞台となるが、今年は3クラスともにプライベートテストが行われただけだった。しかし、選手、チームともに経験値の高いサーキットであり、初日からレベルの高い走りが予想される。

Hondaは、これまでヘレスで通算22勝を達成している。2012年はケーシー・ストーナー、13年はダニ・ペドロサ、14年はマルク・マルケスとRepsol Honda Teamが3年連続で優勝した。さらに、15年、16年は、マルケスが3位、2位と表彰台に登壇。17年はペドロサがポール・トゥ・ウインを達成し、マルケスが2位。18年はマルケスが14年大会以来、2度目の優勝、19年は3度目の優勝を達成し、Repsol Honda Teamは、06年から14年連続でスペインGPの表彰台に立ち続け、連続表彰台記録をさらに更新したが、昨年は2大会ともに表彰台を獲得することはできなかった。今年は2年ぶりの大会制覇、表彰台を目指す。

昨年のスペインGPで右腕上腕を骨折して欠場が続いていたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、前戦ポルトガルGPで復帰を果たした。ケガから3度の手術を受け、9か月という長い期間にわたる治療とリハビリ。9か月ぶりに復帰したポルトガルGPでは、まだ完全ではない右腕との苦しい戦いを続けながら7位でフィニッシュ。チェッカーを受けたマルケスは涙を浮かべ復帰の喜びを噛みしめることになるが、そのシーンは、世界中のレースファンの感動を呼んだ。

あれから約10日間、再びリハビリとトレーニングを続けたマルク・マルケスは、昨年ケガをしたヘレスサーキットで復帰第2戦を迎える。昨年の大会はトップ快走中に痛恨のコースアウトを喫して16番手へダウン。そこから猛烈に追い上げて3位まで浮上。その後、転倒しているが、今年は昨年の雪辱に挑む。

マルケスは、スペインGPで、MotoGPクラスにデビューした13年から19年まで表彰台に立ち続けました。13年は2位、14年に優勝、15年2位、16年3位、17年2位、そして18年は大会2度目の優勝を達成し、19年はヘレスで3度目の優勝を達成している。12年のMoto2クラス時代の2位を含めて8年連続で表彰台に立ち、地元スペインのファンの期待に応えてきました。今年は復帰後、初の表彰台獲得を目標に挑む。

チームメートのポル・エスパルガロも、今季ベストリザルト、そしてRepsol Honda Teamに移籍して初の表彰台と初優勝を目標に挑む。カタールで行われた2連戦は、大接戦の戦いの中でミスもあり、8位/13位という悔しいレースだった。その雪辱に挑んだポルトガルGPでは、スタート直後にマシントラブルに遭遇してリタイアと、3戦を終えて表彰台獲得には至っていない。しかし、ヘレスでは、10年に125cc、12年にはチームメートのマルク・マルケスを抑えてMoto2クラスで優勝。MotoGPクラスでは15年の5位が最高位だが、得意のヘレスで、Repsol Honda Team移籍後初の表彰台獲得に挑む。

カタールの2連戦で転倒リタイアという厳しいシーズンのスタートを切ったアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が、前戦ポルトガルGPで8位でフィニッシュ。今季初ポイントを獲得し、ニューシーズンのスタートを切った。ヘレスでは、Moto2時代の17年にMoto2クラス初優勝を達成し、19年のMoto2クラスのタイトル獲得につながった。

昨年、グランプリ史上初の同一サーキットでの2連戦となった初戦のスペインGPでは12位だったが、続く第3戦アンダルシアGPでは8位へと一気にポジションを上げている。今年はさらに上位を狙う意気込みで、周囲の期待も大きくなっている。

チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)も、カタールの2連戦では転倒/17位と低迷したが、前戦ポルトガルGPでは10位でフィニッシュした。この大会、中上はフリー走行で転倒を喫し、右肩を負傷した。その影響で予選を欠場し、最後尾21番手から決勝に挑んだが、すばらしい追い上げを見せた。2連戦となった昨年の大会ではスペインGPで10位だったが、アンダルシアGPでは表彰台へあと一歩に迫る4位と好走した。今年は得意のヘレスで初表彰台獲得に挑む。

今大会は、テストライダーのステファン・ブラドル(Team HRC)がワイルドカードで出場する。昨年、今年とマルク・マルケスの代役として出場し、マシン開発に大きな貢献を果たした。また、Hondaにとっても貴重なポイントを何度も獲得している。ウインターテストでヘレスを走ってきたブラドルの最大の目標は、マシンの開発を確認すること。今大会の活躍にも注目される。

マルク・マルケス(Repsol Honda Team)
「有意義なブレークを終え、これからレースのリズムに戻ります。自分のコンディションがよくなっていることを確かめるために、引き続きリカバリープログラムに取り組んできました。そしてポルトガルGP以降、バイクには乗らずに医師のアドバイスに従ってきました。もちろんマシンに乗れることがとても楽しみです。ヘレスでは、ポルティマオのときと同様に仕事にアプローチします。一歩一歩前進し、ベストを尽くします。確実に回復しており、重要なことは、着実に改善していくことです。(無観客レースのため)サーキットに来られないファンのためにすばらしい週末にしたいと思います」

ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)
「ヘレスはみんながよく知っているサーキットですが、僕がHondaのマシンでここを走るのは初めてになります。ステファンはテストチームとここでたくさん走行してきたので、レースウイークに入って仕事を始める前にすでにデータがあります。一番の課題は土曜日のパフォーマンスを改善することです。これを改善できたら、日曜日には本当のポテンシャルを見せられると思います。ポルトガルでは運がありませんでした。気持ちを切り替え、新しいレースウイークではポテンシャルを発揮したいと思います。ヘレスは雰囲気が最高です。いつも特別な大会になりますが、今年もファンが観戦できないのは残念です」

中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)
「体の調子は日に日によくなっていますが、まだ100%の状態ではないので、今週末は、自分の体調をチェックしながら大会に挑みたいと思います。大丈夫だと思います。そして、ヘレスは大好きなサーキットの一つなので、とても楽しみです。このサーキットでは、過去のMotoGPとMoto2ですばらしい思い出があります。今回も最高のパフォーマンスをして、チームと一生懸命取り組み、目標を達成したいです」

アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)
「ポルトガルではいい結果を残すことができ、モチベーションも高く、100%の状態でホームGPのヘレスへ向かいます。改善しなければならない部分はたくさんあることは事実ですが、前回のレースで一歩前進することができました。そしてポルティマオで得たデータがあります。このおかげで今週末はすべてがもっとよく分かるようになります。目標はこれまでと同じで、予選で前進することです。そうすればもっといいレースができるになります。みんなも知っている通り、今は土曜日のフリー走行、予選が、まるでレースのような厳しさです。同じ方向性で引き続き取り組んでいきます。ヘレスは大好きなサーキットなので、チームと仕事に取り組み、楽しい週末にしたいです。とても楽しみです。このサーキットはMotoGPではとても特別な場所です。最初から戦闘的になれるようにがんばります」

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カテゴリー: F1 / MotoGP