メルセデスF1 可変フロントウイング疑惑を否定「FIAからも異議なし」

車載映像でフロントウイングがしなって見えたことから、空力面での違反を指摘する声が一部で上がったが、チーム側は「FIAも問題視していない」と強調している。
今年に入りFIAはフロントウイングの柔軟性テストを厳格化しており、シンガポールGPではジョージ・ラッセルのマシンが高速域でウイング前端をしならせる様子が確認された。
スカイ・イタリアの解説者マッテオ・ボッビ氏は「ダウンフォース発生点を変えたように見える。しなり方が空力的優位を生んでいる」と指摘した。
メルセデス「問題は誇張されている」
これに対し、メルセデスのエンジニアはドイツの『Auto Motor und Sport』に対して「フロントウイングの件は誇張されすぎている。ルールは明確であり、FIAからの異議も一切ない」と説明。
チームは合法的な範囲内で空力パッケージを最適化していると主張した。
ポール・トゥ・ウィンを果たしたラッセル自身も「このレースで勝てるなんて予想していなかった。今年の中で一番勝てないと思っていた」と笑顔を見せた。
チーム代表トト・ヴォルフは、直近の好調について「2025年マシンの開発を早めに止めたことが、むしろプラスに働いているのかもしれない。頻繁に変えなくなった分、安定してきた」と語っている。
FIA技術規定との整合性と今後の焦点
FIAは2024年からフロントウイングのたわみ量をより厳しく測定しており、特定ポイントでの変形角度を明示するなど「意図的な柔軟設計」を封じている。
それでもなお、映像での“見た目の変形”が誤解を生みやすいのが現状だ。実際には、許容範囲内での素材変位やダウンフォース移動は発生し得るため、「違法」と断定するには実測データが必要となる。
メルセデスの躍進は、こうした技術的議論と並行してチーム全体の方向転換が奏功した結果と見るべきだろう。
2026年の新規則時代を見据え、安定性と開発効率を優先した哲学が功を奏し始めている。
Source: GMM
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