メルセデスF1代表ヴォルフ 2026年新時代へ「最大のライバルはフェラーリ」

軽量化されたマシンと「50対50」のハイブリッドパワーユニットがグリッドを一新するなか、ヴォルフはフェラーリとの壮大なライバル関係が世界中のファンを魅了するだろうと見ている。イタリアの名門チームへの自信と、メルセデス自身のエンジンプログラムに対する楽観論が、新時代におけるスリリングな戦いを予感させている。
「フェラーリは非常に競争力を発揮すると予想している。ホンダも非常に強力で、アストンマーティンとともに大いに期待している」とヴォルフは伊紙『La Gazzetta dello Sport』に語った。
ライバルの筆頭について問われると、ヴォルフは即答した。「答えは簡単だ。フェラーリだ」
「フェラーリ対メルセデスは素晴らしいものになるだろう。クラシックだ。そしてルイスとシャルルがキミとジョージと対決する。信じられないような戦いだ」
「イタリア人ドライバーがイタリア車に乗る──想像できるか?この対決は必ず起こると疑っていない。来年か将来かは分からないが、我々はそれを体験することになる。それは素晴らしいものになるだろう」
マクラーレンへの言及欠如
注目すべきは、ヴォルフの予想において、2025年シーズンの支配者であるマクラーレンへの言及が一切なかった点だ。
メルセデスのワークスチームをも凌駕するカスタマーエンジンで結果を残しているにもかかわらず、ヴォルフの関心はフェラーリとホンダ搭載のアストンマーティンに集中していた。
この omission(欠落)は、グラウンドエフェクト時代で復活を遂げたマクラーレンの現状を考えれば異例だ。メルセデスのエンジン優位性に対する戦略的楽観主義か、それとも強力なライバルを意図的に避けたのかは不明だが、ヴォルフの2026年展望にさらなる謎を加えている。

グラウンドエフェクト時代の終焉
2026年の新レギュレーションは、内燃機関と電気の比率を50対50に分ける大変革をもたらす。ヴォルフはその難しさを認めた。
「新レギュレーションは挑戦的だ。ラップ中のどこでエネルギーを使うか決断を迫られる。すべての新ルールと同じように議論や批判はあるだろうが、時間が経てば受け入れられるはずだ」とヴォルフは語った。
2014年から2021年のターボハイブリッド時代に圧倒的な強さを誇ったメルセデスは、エンジン開発で優位に立っているとの噂もある。ヴォルフはこれを武器に再び頂点に立つことを望んでいる。
しかし、2024年コンストラクターズ選手権4位という2012年以来の不振は、ヴォルフの忍耐力を試す結果となった。それでも彼はこの低迷を復活への燃料と捉えている。
「メルセデスの立場から言えば、このグラウンドエフェクトカーの時代が終わることを非常に嬉しく思っている」と、苦しい時期を過去のものとする安堵を示した。

プレッシャーに生きる指揮官
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表の電撃退任を受け、チーム代表の去就にも注目が集まるなかで、ヴォルフは自らの立場についても言及した。
「私は鏡を見て自問する──チームの成功に貢献できているか?もしそうでなければ、私自身が真っ先に後任を探すだろう」
「CEOや会長になって、ソファに座ってパフォーマンスに関する報告を受けることもできる。それは楽だが、私は挑戦が好きだ。私は困難な幼少期と青春時代を過ごしたから、プレッシャーこそが私の居場所だ」
「プレッシャーがなければ退屈する。私を動かすのは挑戦と勝利だ。それ以外のものは後からついてくる」
2026年の到来を前に、フェラーリとメルセデスの頂上決戦を描くヴォルフのビジョンは、彼のチームに対する揺るぎない信念と技術力への確信に裏打ちされている。マクラーレンを意図的に外したのか、それとも戦略的視点の一部なのかは定かではないが、F1は劇的な新時代の幕開けに向けて舞台が整いつつある。
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