メルセデスF1のPU責任者が失言 「ソフトウェア側でパフォーマンスを前進」
メルセデスF1のパワートレインプログラム統括ディレクターのハイウェル・トーマスは、2023年F1マシン『W14』の発表会で、F1パワーユニットの変更を行った目的がパフォーマンス上の理由であり、信頼性や安全性ではなかったことを不注意にも明らかにしてしまった。

発表会では、メルセデスF1のテクニカルディレクターであるマイク・エリオットとハイウェル・トーマスが、2023年F1マシンであるW14の変更点と改善点について語る技術的なコーナーが設けられた。

Skyのナタリー・ピンカム記者は、2022年の挑戦とパフォーマンスの低いW13が「2023年に向けたチームの考え方」にどのような影響を与えたかを質問した。

ハイウェイ・トーマスは「私が見てきたマインドセット、そして、私たちが話し合ったマインドセットは、絶え間ない開発というものだった」と語った。

「PU(パワーユニット)の面では、レギュレーションの変更に伴い、より多くの制約を受けることになった」

「昨年の初めにハードウェア側を凍結させた。今年の初めにソフトウェア側のパフォーマンスを凍結される」

「そのため、その制約の中でパフォーマンスを見つけることは非常に難しく、真のイノベーションと絶え間ない努力によってのみ、パフォーマンスを前進させることができる」

F1パワーユニットは、昨年でパフォーマンス開発が凍結されており、それ以降は信頼性の改善を目的として変更のみが許される。

F1の技術者たちは人前に出ることに慣れていないため、チームボスやドライバーたちが見せるようなメディアへのプレゼン能力は期待できないのは明らかだ。

メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフもレッドブルF1チーム代表クリスチャン・ホーナーも、現在のF1パワーユニット凍結レギュレーションのもとで、パフォーマンス向上を目指していたとは認めないだろう。

また、テクニカルレギュレーション第4条にあるように、チームの考え方が「パフォーマンスを前進させる」ことであるとも認めないだろう。
「製造者はホモロゲーション期間中、信頼性、安全性、コスト削減、あるいは5.4条で認められている最小限の付帯的変更のためだけに、ホモロゲートされたパワーユニット・エレメントの改造をFIAに申請することができる」

アルピーヌF1チームはFIAに取り締まりの強化を求める
アルピーヌF1チームのパワートレイン責任者であるブルーノ・ファミンは最近、ルノーが他のメーカーからパワーユニットの凍結アーキテクチャー内のコンポーネントを変更するよう最大70件の依頼を受けていたことを認めた。
ブルーノ・ファミンは、競合他社のアップグレードの中には、信頼性の低さを理由にFIAの調査を受けるべきものもあるのではないかと疑問を呈した。

「信頼性の問題の裏側には、もちろん潜在的なパフォーマンス向上がある。その境界は、必ずしも明確ではない」

「22年のようにウォーターポンプの問題がある場合、それは純粋な信頼性の問題であることは明らかで、より良い、あるいは異なるウォーターポンプを搭載しても得るものは何もない」

「ピストンリングの材質を変えれば、よりハイパフォーマンスで強力なものができる。わからないがね」

ハイウェル・トーマスの告白によって、FIAは2022年3月に凍結されて以来行われたメルセデスのパワーユニットのアップグレードを見直す道が開くはずだ。

ブリックスワースでパフォーマンスを求める意図があるのは明らかで、ブルーノ・ファミンが説明するように、故障していないのに信頼性向上と称して交換されている部品は明らかにパフォーマンス指向であり、したがってFIAが禁止すべきものである。

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カテゴリー: F1 / メルセデスF1