F1は“第4のアメリカGP”より韓国と南アフリカへ ザク・ブラウンが市場戦略を語る
マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンは、F1の次なる成長戦略について「第4のアメリカGP」よりも、南アフリカや韓国といった新市場への拡大を優先すべきだとの考えを示した。

近年のF1はNetflixの『Drive to Survive』や、ブラッド・ピット主演のF1映画効果もあり、北米市場で急成長を遂げている。現在はアメリカ国内でマイアミ、ラスベガス、オースティンの3戦を開催しているが、ブラウンは“開催数拡大”だけでは次の成長にはつながらないと見ている。

F1の本当の成長余地は“テレビ視聴者数”
ABX主催イベントに登壇したザク・ブラウンは、F1のアメリカ市場での最大の課題は「開催数」ではなく「視聴者数」だと説明した。

「成長の鍵はテレビ視聴者数だと思っている」

「アメリカにはすでに素晴らしい3つのグランプリがある。もちろん4戦、5戦開催することも可能だと思う。しかし、それは我々が拡大すべき他市場を犠牲にすることになる」

「だから今の状況には満足している。南アフリカや韓国のような新たな成長市場が存在しているからだ」

ブラウンは特に、アメリカ国内におけるF1視聴者数の伸びしろを重要視している。

「NFLと比較すると、F1のテレビ視聴者数はまだかなり小さい。そこが最大の成長分野だ」

Apple TV時代でF1人気はさらに拡大
2026年からアメリカでのF1放映権はESPNからApple TVへ移行した。Apple幹部のエディ・キューは、開幕3戦の視聴データに強い手応えを感じているという。

「昨年よりも大幅に視聴者数が増加している」

「しかも日曜決勝だけではなく、週末全体を通じて長時間視聴されている」

Appleはモバイルアプリやデジタル配信を軸に、若年層や女性ファンの獲得を進めている。F1の2025年調査では、アメリカの新規ファンの47%が18〜24歳で、その半数以上が女性だった。

ESPN最終年となった2025年シーズンには、F1はアメリカで平均130万人の視聴者を記録。これは2022年の121万人を上回る史上最高記録だった。

ただしNFLは2025年レギュラーシーズン平均で1870万人を記録しており、F1との差は依然として圧倒的に大きい。

ドメニカリ「アメリカ市場はまだ始まりにすぎない」
F1 CEOのステファノ・ドメニカリも、アメリカ市場での成長はまだ“序章”だと語る。

「我々のアメリカでの冒険はまだ始まったばかりだ」

「アメリカの巨大スポーツがはるか先を走っていることは理解している。しかし我々は競争者だ」

「だから我々は挑戦を恐れない。もちろん他スポーツへの敬意は払う。しかしF1はアメリカのファン文化の一部になっていく」

“開催数拡大”から“市場浸透”へ変わるF1戦略
今回のザク・ブラウンとステファノ・ドメニカリの発言から見えてくるのは、F1がアメリカ市場で「新規開催地を増やす段階」から、「既存市場で文化として定着させる段階」へ戦略を移し始めていることだ。

実際、マイアミ、ラスベガス、オースティンの3戦体制によってF1の存在感は急速に拡大した一方で、NFLやNBAのような“国民的スポーツ”との差は依然として大きい。F1側は今後、Apple TVやデジタル配信を武器に、若年層や女性ファンをさらに取り込むことで、アメリカ国内の視聴規模そのものを押し上げようとしている。

そのうえで、次の開催地候補として南アフリカや韓国が具体的に語られた点は興味深い。F1は近年、中東・北米偏重とも言われるカレンダー構成が続いていたが、“未開拓市場の再獲得”へ再び目を向け始めていることがうかがえる。

特にアフリカGP復活は、F1が以前から掲げてきた「全大陸開催」構想の最後のピースでもあり、韓国についてもアジア市場再強化の一環として注目される可能性がある。

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / F1韓国GP