ランド・ノリス 角田裕毅との攻防を回想「数センチずれていたら終わっていた」

ノリスはトラフィックの中を抜けながらタイトルに必要な3位を確保していったが、レース中に最も神経を使った一幕の一つとして、角田裕毅が前方にいると気づいた瞬間を挙げた。
ノリスは中盤にハードタイヤへ交換。しかしリードを広げたい場面で、前方には1ストップを引っ張る角田裕毅が立ちはだかった。
角田裕毅はハードスタートのロングスティントで順位を守っており、ノリスよりもタイヤが古い状態。それでも、角田はノリスが接近すると「自分の仕事は分かっている」とレッドブルへ通信し、数周にわたってトップ争いの行方を左右する役割を果たす姿勢を示した。
ノリスにとっては、タイトルの重圧の中での極めて重要な局面。DRS圏内に入りながらも、角田裕毅はバッテリーを巧みに利用してストレートで抵抗。ノリスは数周にわたりペースを上げられず、フェルスタッペンやピアストリの戦略に影響する可能性もあった。
そして24周目、勝負の瞬間が訪れる。バックストレートでノリスが再び角田裕毅を襲うと、角田はわずかに寄せて応戦。ノリスはコース外へ逃れながら突破する形となり、このオーバーテイクはスチュワードによって審議対象となったが、ノリス側に不利な判断は下されなかった。一方、角田は後に進路変更による5秒ペナルティを受けることになる。
この攻防を抜けたことで、ノリスはようやく自分のレースに集中できる状態へ戻った。その後はタイヤ管理とペースを安定させ、最終的に3位でフィニッシュ。激しい角田とのバトルは、ノリスにとって“タイトルを決めた重要な局面”のひとつとなった。

角田裕毅との攻防について「レース中にも何度か『あ、次は角田だ』と思った場面があった」とノリスは語った。
「角田が僕を抑えようとして、ルイス相手にペレスがやったみたいなことを仕掛けてくる可能性があると分かっていた。チームの予測でもそういう展開があると見ていた。だから素早く対処しなければならなかった」
「かなり際どかった。ほんの数センチずれていたら──終わっていたかもしれない。そう思うと怖いよ」
さらに、終盤の周回ではリスクを避けるため、走り方を大きく変えていたことも明かした。
「残り3周、4周になると、縁石を踏まないようにしたんだ。ちょっとした衝撃で車の部品が外れたら終わりだから。『最終ラップでファステストラップを取りにいくべきかな?』って少し思ったけど──いや、リスクを取る価値はないと判断した。いろいろ考えながら走った」
「思い切ったオーバーテイクをしなければならない場面もあったし、攻めるべき瞬間もあった。でも今日勝ったからチャンピオンになれたわけじゃない。今年1年の安定性、そして特に最後の4か月の素晴らしいレースの積み重ねでタイトルを獲ったんだ」
ノリスは「今日は簡単にもなり得たし、もっと難しくもなり得た」と述べつつ、「ただの1レース」として冷静な姿勢を保ったことが結果につながったと語った。
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