ランド・ノリス マクラーレンF1の新サスペンションは「勝因の全てじゃない」

オーストリアでの勝利からわずか1週間後、ノリスはホームレースであるシルバーストンでも圧巻の勝利を挙げ、選手権ポイントでチームメイトのオスカー・ピアストリに8ポイント差まで迫った。
この快進撃は、コーナーでのフィードバックを向上させることを目的として導入された新しいフロントサスペンションと同時期に起きており、注目されている。
このサスペンションはチーム内でも話題となっており、アップグレードが施されているのはノリスのマシンだけで、ピアストリは現時点で装着を見送っている。
チーム側はこれがノリスの最近のパフォーマンスに貢献していると考えているが、ノリス本人はその重要性を控えめに評価しており、このアップグレードをめぐる騒ぎは過熱気味だと指摘した。
「君たちの方が僕よりポジティブだね」と、シルバーストンでこの件について聞かれたノリスは冗談交じりに答えた。「そうだな。もっと悪くてもおかしくない。だけどたぶん……人々はこの件についてちょっと話しすぎてると思う」
「正直なところ、それが僕を助けてる可能性はあるし、“助けてる”って言っても、百分の一秒とか千分の一秒とか、そういうレベルかもしれない。数値的に明確に表せるものではないと思う」
ノリスは、チームがこのサスペンションに一定の効果があると信じていることは認めたが、それを最近の勝利の理由と断言することは避けた。
「前にも言ったけど、これはチームが“もしかしたらフィーリングが良くなるかも”って思ったもので、僕はただそれに従っただけなんだ。信じて、ね」
「チームが“これが助けになるかもしれない”って考えた。それが確実だとは限らないけど、“かもしれない”ってね。僕もそれを信じた。それだけだよ」

成果の裏にある地道な努力
ノリスは、サスペンションではなく、レース以外の場所での準備やチームとの協力の方が、成功の鍵だったと考えている。
「たしかに2勝した。カナダでもすごく速かった。でも、それが全部サスペンションのおかげだとは言いたくない。むしろ、自分の努力や、レース以外でやってきたこと、チームや周囲の人たちとの作業の成果だと思いたい」
「僕は、そういった部分の方が大きいと思ってる。サスペンションの変更よりもね」
「同時に言えるのは、もし前の仕様のままだったとしても、同じことを成し遂げられたかもしれないということ。だから、分からないんだよ」
とはいえ、ノリスは比較テストによって何らかの答えが得られる可能性には言及しているが、それすらも決定的なものではないという。
「いつか、新しい仕様と前の仕様を比較テストできたら、何か違いを感じるかもしれないし、感じないかもしれない」
「ここ数戦、自分のフィーリングは良かった。でもそれは、“マシンの改善によるもの”というよりも、むしろ“自分が良い感触を得ようと取り組んできたこと”、そして“フィーリングが十分に得られない中でもどう最大限に活用するかを学んできたこと”によるところが大きいと思う」
それでも、ノリスはマクラーレンの開発努力には敬意を示し、マシンの競争力が大幅に向上していることを認めた。
「クルマは進化してるよ。先週末にもアップグレードがあったし、そういうのが助けになる」
「今週は30秒差で勝ったし、先週は20秒差だった。クルマはかなりいい状態だと思う」
「僕は自分の努力による部分が大きいと思いたいけど、実際には両方の要素がある。両方の組み合わせなんだよ」
サスペンションの影響、個人の成長、マシンの進化――どれが主因なのかは依然としてはっきりしないが、1つだけ確かなのは、ランド・ノリスが今勢いに乗っており、その歩みはまだ止まる気配がないということだ。
カテゴリー: F1 / ランド・ノリス / マクラーレンF1チーム