インディカー・シリーズ 本田技研工業
ニューヨーク州の伝統あるロードコース、ワトキンス・グレン・インターナショナル(全長3.37マイル)で開催された2017年のインディカー・シリーズ第16戦で、アレクサンダー・ロッシ(Andretti Herta Autosport w/ Curb-Agajanian)が今季初勝利、キャリア2勝目を挙げた。

昨年はルーキーながら、第100回インディアナポリス500で奇跡的な勝利を挙げたアレクサンダー・ロッシは、前日の予選でキャリア初のポールポジションを獲得。その翌日にはロードコースにおけるキャリア初勝利を手にした。

2位はスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、3位はライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)と続き、Hondaはデトロイトでのレース1以来となる、今シーズン2度目の1-2-3フィニッシュを果たした。

スコット・ディクソンはワトキンス・グレンでの2位フィニッシュによって、チャンピオンシップポイントを41点加算し、ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(シボレー)が18位で13点しかかせげなかったことから、ポイント差を31点から3点まで一挙に縮めた。

週末を通して気温が非常に低く、決勝レースは雨の心配もされました。出場21台はレインタイヤを装着してスタートを切ったが、1周目、あるいは2周目にピットインしてスリックタイヤに交換。結局、その後も雨は降らず、ドライコンディションでハイスピードバトルが繰り広げられた。

ポールポジションからスタートしたアレクサンダー・ロッシは、スタートからゴールまで最速の存在であり続けた。2回目のピットストップでは燃料補給システムのトラブルに見舞われ、燃料を少ししか入れられずにレースに戻ったため、ライバル勢より一度多いピットストップを行わねばならなくなった。しかし、2回目のフルコースコーションが出されたことで、アレクサンダー・ロッシはトップグループとの差を縮めた上、一度多いピットストップによってずれたタイミングが逆にプラスに作用してトップに復帰。最多となる32周のリードラップを記録し、今季初勝利を果たすこととなった。

スコット・ディクソンは、彼のワトキンス・グレンでの速さを改めて強くアピールした。過去に7度出場して4勝。ディフェンディングレースウイナーとして出場した今年は、予選2番手となった。レース中盤の34~40周目には、ピットタイミングを違えることで前を走っていたドライバーたちを次々パスする目覚ましいドライビングを披露し、7位から2位へと浮上。レース終盤の12周にはアレクサンダー・ロッシの背後まで迫ったが、約1秒の差で優勝を逃した。

それでも、過去4勝を誇るスコット・ディクソンは、2位フィニッシュによってポイントリーダーのニューガーデンとの差を31点から3点にまで縮めることに成功。もう今シーズンに残されているのはカリフォルニア州ソノマでの最終戦だけ。そして最終戦は、通常のレースの倍のダブルポイントが、各順位に対して与えられる。

ホンダ勢はワトキンス・グレンで大活躍。ライアン・ハンターレイは予選7番手から3位までポジションを上げてゴールし、グレアム・レイホール( Rahal Letterman Lanigan Racing)は10番手スタートから5位まで順位をゲインしてのゴールを成し遂げた。グレアム・レイホールのトップ5フィニッシュは、これで6度目となった。

アレクサンダー・ロッシの優勝はホンダにとって今季7勝目です。6人のドライバーたちによって、そして、ホンダで戦うすべてチームによってこれらの勝利を記録してきた。佐藤琢磨(Andretti Autosport)はインディ500で優勝し、スコット・ディクソンはロードアメリカで勝利。グレアム・レイホールはデトロイトでのダブルヘッダーで両レースを制し、ジェイムズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)はロングビーチで勝った。そして、セバスチャン・ブルデー(Dale Coyen Racing)は開幕戦セント・ピーターズバーグのストリートで表彰台の中央に立った。

ワトキンス・グレンでの佐藤琢磨は予選4番手から見事なスタートダッシュを決め、ターン2の入口でアレクサンダー・ロッシの後ろの2番手に浮上。優勝争いの中心的存在となると見られたが、この直後にターボチャージャーのトラブルで突如スピードダウン。周回遅れとなり、インディ500に続くシーズン2勝目のチャンスを失った。それでも佐藤琢磨はあきらめずに戦い続け、マシンの修復がされると全速力で周回。トップグループと同等か、それ以上の速さをみせ続けた。トラブルでレース序盤のうちに4周もの遅れをとったことから結果は19位だったが、集まったファンにスピードを披露することはできた。

2週間後、インディカー・シリーズは2017年シーズンを締めくくる、ソノマでの最終戦を迎える。決勝レースは9月17日(日)に、カリフォルニア州の大都市サンフランシスコのすぐ北にあるソノマ・レースウェイで開催される。

アレクサンダー・ロッシ (優勝)
「最後のリスタートからの12周は予選アタックのように走りました。(スコット)ディクソンという強敵を相手に勝てたことはとてもうれしいことです。今日の私たちには、とても強力なマシンがありましたから、勝つことは十分に可能だという自信がありました。Andretti Autosport、そしてHondaに感謝します。マシンは驚くべきパフォーマンスを備えていました。今週末の最初のプラクティスから私たちのマシンは速く、レースが始まると、自分たちに勝つチャンスが十分にあると確信しました。燃料ホースのトラブルがありましたが、それを跳ね返す力が私たちにはありました。私たちのマシンは本当に速く、チームの能力も高い。これまでは、それが結果につながらなかったのですが、今日こうして実力を発揮して優勝を果たせました」

スコット・ディクソン (2位)
「エキサイティングな1日になりました。2位でゴールし、ポイント差を大幅に縮められましたが、それは予想していたより大きな成果で、驚いているぐらいです。今日のレースではとても多くのライバルをパスしなくてはならず、たいへんなレースでした。最終的にロッシとのバトルになり、彼を追いかける展開となったのはよかったのですが、オーバーテイクはできませんでした。ロッシとの優勝争いは楽しかったです。Hondaがワトキンス・グレンで力強いレースを戦えたことを讃えたいと思います。最終戦ソノマでは激しいチャンピオン争いが繰り広げられることとなるでしょう」

佐藤琢磨 (19位)
「ポコノ、ゲイトウェイ(モータースポーツパーク)、ワトキンス・グレンと、3戦続けて悔しい戦いになりました。スタートで2番手まで上がり、そのままトップに出られる勢いがあったのですが、なにかトラブルが出てスピードが伸びませんでした。優勝争いができたに違いないレースでトラブルに見舞われたのは非常に悔しいです。しかし、昨年はワトキンス・グレンでパフォーマンスの悪かったAndretti Autosportが、今年は予選でポールポジションと4番手、レースで優勝と3位という結果を残しました。ここまでのパフォーマンスの向上を、1シーズンで遂げたことは近ごろでは非常に珍しいです。その進歩に自分も貢献できたのではないか、と誇りに思います。最終戦のソノマは好きなコースですが、レースがなかなかうまくいかないことが続いています。今年のマシンはセッティングも高いレベルに仕上がっているので、持っているポテンシャルを披露し、ロードレースでの勝利を果たせるようがんばりたいです」

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カテゴリー: F1 / インディカー