ホンダF1:2020年 第1戦 オーストリアGP プレビュー
ホンダF1は、2020年のF1世界選手権の開幕戦オーストリアGPをレッドブル・レーシング、アルファタウリ・ホンダの2チーム4台体制で戦う。
ホンダF1にとって13年ぶりのF1勝利となった2019年のオーストリアGPは、大きな節目となった。マックス・フェルスタッペンはRB15でシーズン随一のドライビングをみせ、見事に優勝。マックスとともにホンダF1のテクニカルディレクターである田辺豊治が表彰台に上がり、コンストラクターズトロフィーを受け取ったことは、決して忘れることのできない、誇らしい瞬間だった。
グランプリの中でも、最も美しい舞台の一つであるレッドブル・リンクで、ホンダF1はもう一度全力を尽くして準備に取り組む。シーズンで全長が短いコースなので、ガレージのスタッフとピットクルーは気を抜けない。高速コーナーとロングストレートで構成されたコースだけに、パワーユニットはフル稼働し続ける。2020年、再びレッドブル・リンクにホンダのエンジンサウンドが響き渡ることを期待している。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「当初開幕戦となるはずだった3月のオーストラリアGPが走行中止になって以降、長い期間を経て、再びサーキットに戻れることをホンダのメンバー一同が非常にうれしく思っています。この中断期間中には、急きょ改定されたF1レギュレーションにともない、日本のHRD Sakuraと英国ミルトンキーンズでファクトリーシャットダウンを実施しました。その期間を除き、我々はパワーユニットの開発を継続し、今回の2020年初戦に向けた準備を進めてきました。このレースで使用するパワーユニットはオーストラリアで使用する予定だったものから、信頼性とパフォーマンス両面でのアップデートが施された仕様になります。いまだにウィルス感染が収まりきっていない状況下でここから欧州各地を転戦する戦いが始まります。レースを確実に実施するためにはメンバー・関係者の安全が最優先となることはいうまでもなく、そのために各チームともに参加人数を最低限とし、F1が定めた感染防止ルールに従いレース運営を進めていきます。ホンダにおいても、マシンを走行させるのに必要なエンジニア・メカニックといった要員は通常時と同人数が帯同するものの、マーケティングや広報、一部のマネジメントといった間接スタッフは帯同せず、リモートでオペレーションを行う形になります。レース帯同メンバーは2つのパートナーチームと共にそれぞれ行動し、同じホンダ内であっても担当チームが異なるメンバー同士では接触しないかたちでレース運営を行います。第1戦、第2戦が同じオーストリアのレッドブル・リンクで行われるため、移動の負担はいくらか軽減されますが、多くの制約をともなう形での3週連続のレース開催は、精神的・肉体的にもタフなものになると考えています。開幕の地となるオーストリアのレッドブル・リンクは、昨年ホンダがF1復帰後初優勝を挙げた地で、我々にとって相性のいいサーキットです。今年はレッドブル・レーシング、アルファタウリ・ホンダ共にシーズン通して昨年よりもさらに上の成績を目指して戦いますので、その目標に向かって勢いをつけるべく、開幕戦で好成績を挙げられるようにチーム一丸となって挑みます」
クリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング チーム代表)
「レッドブル・リンクは、パンデミックの影響でレースが減少していく中で、早期からF1再開に向けて取り組んでいました。ディートリヒ・マテシッツ氏(レッドブル創業者)とレッドブル社に感謝しています。私たちはプロモーターと密接に協力して、このレースを実現させるための努力をしてきました。F1を運営しているリバティメディアの皆さんが、F1再開のために適切かつ安全な環境を提供し、またオーストリアで2週連続のレース開催するために、多大な努力をされてきたおかげで、私たちはホームでのレースウイークを迎えることができました。F1や開催国では、スタッフや全メンバーの感染対策に大きな力を注いでおり、チームは基本的に外部との接触を断った「ソーシャル・バブル」の中で仕事をすることになります。それぞれのチームは別々のホテルに宿泊しますし、ホスピタリティチームもレースには参加しません。ピットウォールでのセッション中はフェイスマスクを着用します。通常のレース前のグリッドや表彰台でのセレモニーなどは行われませんので、これまでとは異なるレースになるでしょうが、安全な環境を作るためです。さらに、レースの過程でもコロナウイルスの検査が実施されます。感染対策は徹底していて、安全で管理された環境が整っています。いよいよレースが再開されますが、メルボルンでの出来事は今となってはとても昔のことのように感じています。本来であればシーズンが中盤に差しかかる時期に、ようやく再開すると考えると、ちょっと不思議な感じがします。F1チームが2カ月半も休止状態になる異常事態で、その期間中にもチームの感覚を維持する必要は当然のこととしてありました。そのため、最新の情報をチームに伝えることはもちろん、オンラインでのフィットネス・クラス、金曜日の夜のクイズ大会、スタッフが私に質問できるタウンホール・ミーティングなど、ドライバーとチーム・メンバーとの関わりを維持する活動などを行いました。この活動は、先行きが不透明な時期には非常に重要なものでした。またロックダウン中は、チームを超えた調整作業が多く行われており、個々のチームだけでなく、F1全体の利益になるような解決策を見つけようとする仲間意識がありました。新しいレギュレーションの導入を遅らせることや、コスト制限の上限を下げることなどを決定しました。危機的状況に陥ったときはチーム同士の連携が非常に重要です。レース再開後は、活動が制限されるので微調整が必要になるでしょう。2022年に向けた新しいレギュレーションにあるコスト規制については、全く新しいものであり、今後さらに詳細が決定されると思います。去年の11月以来、7カ月間もレースをしていなかった状態から、一気にレースが再開されます。今回のように短期間に多くのレースが連続する場合、マシンの信頼性が重要になってきます。多くのレースが行われるので、関係者全員にとって厳しい時期になるでしょう。再開直後は激しい展開もあるでしょうし、私たちはチャンスを最大限に活かすことが重要になってきます。今年は異例の幕開けとなりますが、過去6年、圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するためには、それが必要なことなのかもしれません。フィルミングデーでマシンを確認することができたのはすばらしいことでした。なんのためにここまで頑張ってきたのか、自分たちの目標はなんなのかを思い出させてくれました。レースがスタートすれば、マシンとレースに集中することになります。すべてはコース上でなにが起こるかにかかっていると思っています。2020年はすばらしいシーズンになると思います。もちろん、ドライバーたちはレースの感覚が鈍った部分もあるかもしれませんが、彼らはプロですから、すぐに克服できるでしょう。レースは激しいものになるでしょうし、これまでとは少し違ったプレッシャーとダイナミクスがもたらされると思います。レースをとても楽しみにしていますし、チームは2013年以来の総合優勝を目指しています。開幕戦は全員が同じ条件で臨むことになるので、マックス・フェルスタッペンのプレッシャーは例年と変わらないと思います。シーズン前のテストではメルセデスが依然として好調でしたが、今年の私たちのマシンにはポテンシャルがあると感じていますし、期待しています。私は心からドライバーたちを信じ、勝利を祈っています。私たちは非常に強いチームです。メルセデスに挑戦するための設備とツールで、今年は勝利に導きたいと考えています。忘れられがちですが、アレクサンダー・アルボンは、F1ではまだ2年目のシーズンです。しかも、昨年はシーズン途中に移籍し、見事な活躍をみせました。彼はプレッシャーにとても強いように見えますし、昨シーズンの成績をさらに伸ばしてくれると思います。彼にはチャンスが巡ってくるでしょう。今年はさまざまな面からも、とても期待しています。シーズン前に行われたザントフォールトとバルセロナでのテストやモントリオールでの結果を踏まえ、マシンはさらにアップデートが行われています。シャットダウン後に得られた情報はすべてマシンに反映され、シャットダウン前に準備されていた状態から進化しているでしょう。ほかのチームもそうだと思います。私たちがオーストリアでどのポジションにいるかはまだ分かりません。また、PUのアップグレードもされています。6月初旬にファクトリーが再開されて以来、時間と勝負をしながら、マシンのあらゆる面で努力を重ねてきました。ホンダとの関係は2年目に入り、チーム内での一体感が増してきました。ホンダのデビューシーズンだった昨年は3勝を挙げましたが、今年はそれ以上を期待しています。彼らは私たちと同じ野心を持っています。オフシーズン中も懸命に開発を続け、もちろん今年はより高い目標を持って臨んでくれています。PUはマシンの重要な部分であり、ホンダは私たちが前進し、シリーズ制覇に挑戦するための重要なパートナーです」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1オーストリアGP / スクーデリア・アルファタウリ
ホンダF1にとって13年ぶりのF1勝利となった2019年のオーストリアGPは、大きな節目となった。マックス・フェルスタッペンはRB15でシーズン随一のドライビングをみせ、見事に優勝。マックスとともにホンダF1のテクニカルディレクターである田辺豊治が表彰台に上がり、コンストラクターズトロフィーを受け取ったことは、決して忘れることのできない、誇らしい瞬間だった。
グランプリの中でも、最も美しい舞台の一つであるレッドブル・リンクで、ホンダF1はもう一度全力を尽くして準備に取り組む。シーズンで全長が短いコースなので、ガレージのスタッフとピットクルーは気を抜けない。高速コーナーとロングストレートで構成されたコースだけに、パワーユニットはフル稼働し続ける。2020年、再びレッドブル・リンクにホンダのエンジンサウンドが響き渡ることを期待している。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「当初開幕戦となるはずだった3月のオーストラリアGPが走行中止になって以降、長い期間を経て、再びサーキットに戻れることをホンダのメンバー一同が非常にうれしく思っています。この中断期間中には、急きょ改定されたF1レギュレーションにともない、日本のHRD Sakuraと英国ミルトンキーンズでファクトリーシャットダウンを実施しました。その期間を除き、我々はパワーユニットの開発を継続し、今回の2020年初戦に向けた準備を進めてきました。このレースで使用するパワーユニットはオーストラリアで使用する予定だったものから、信頼性とパフォーマンス両面でのアップデートが施された仕様になります。いまだにウィルス感染が収まりきっていない状況下でここから欧州各地を転戦する戦いが始まります。レースを確実に実施するためにはメンバー・関係者の安全が最優先となることはいうまでもなく、そのために各チームともに参加人数を最低限とし、F1が定めた感染防止ルールに従いレース運営を進めていきます。ホンダにおいても、マシンを走行させるのに必要なエンジニア・メカニックといった要員は通常時と同人数が帯同するものの、マーケティングや広報、一部のマネジメントといった間接スタッフは帯同せず、リモートでオペレーションを行う形になります。レース帯同メンバーは2つのパートナーチームと共にそれぞれ行動し、同じホンダ内であっても担当チームが異なるメンバー同士では接触しないかたちでレース運営を行います。第1戦、第2戦が同じオーストリアのレッドブル・リンクで行われるため、移動の負担はいくらか軽減されますが、多くの制約をともなう形での3週連続のレース開催は、精神的・肉体的にもタフなものになると考えています。開幕の地となるオーストリアのレッドブル・リンクは、昨年ホンダがF1復帰後初優勝を挙げた地で、我々にとって相性のいいサーキットです。今年はレッドブル・レーシング、アルファタウリ・ホンダ共にシーズン通して昨年よりもさらに上の成績を目指して戦いますので、その目標に向かって勢いをつけるべく、開幕戦で好成績を挙げられるようにチーム一丸となって挑みます」
クリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング チーム代表)
「レッドブル・リンクは、パンデミックの影響でレースが減少していく中で、早期からF1再開に向けて取り組んでいました。ディートリヒ・マテシッツ氏(レッドブル創業者)とレッドブル社に感謝しています。私たちはプロモーターと密接に協力して、このレースを実現させるための努力をしてきました。F1を運営しているリバティメディアの皆さんが、F1再開のために適切かつ安全な環境を提供し、またオーストリアで2週連続のレース開催するために、多大な努力をされてきたおかげで、私たちはホームでのレースウイークを迎えることができました。F1や開催国では、スタッフや全メンバーの感染対策に大きな力を注いでおり、チームは基本的に外部との接触を断った「ソーシャル・バブル」の中で仕事をすることになります。それぞれのチームは別々のホテルに宿泊しますし、ホスピタリティチームもレースには参加しません。ピットウォールでのセッション中はフェイスマスクを着用します。通常のレース前のグリッドや表彰台でのセレモニーなどは行われませんので、これまでとは異なるレースになるでしょうが、安全な環境を作るためです。さらに、レースの過程でもコロナウイルスの検査が実施されます。感染対策は徹底していて、安全で管理された環境が整っています。いよいよレースが再開されますが、メルボルンでの出来事は今となってはとても昔のことのように感じています。本来であればシーズンが中盤に差しかかる時期に、ようやく再開すると考えると、ちょっと不思議な感じがします。F1チームが2カ月半も休止状態になる異常事態で、その期間中にもチームの感覚を維持する必要は当然のこととしてありました。そのため、最新の情報をチームに伝えることはもちろん、オンラインでのフィットネス・クラス、金曜日の夜のクイズ大会、スタッフが私に質問できるタウンホール・ミーティングなど、ドライバーとチーム・メンバーとの関わりを維持する活動などを行いました。この活動は、先行きが不透明な時期には非常に重要なものでした。またロックダウン中は、チームを超えた調整作業が多く行われており、個々のチームだけでなく、F1全体の利益になるような解決策を見つけようとする仲間意識がありました。新しいレギュレーションの導入を遅らせることや、コスト制限の上限を下げることなどを決定しました。危機的状況に陥ったときはチーム同士の連携が非常に重要です。レース再開後は、活動が制限されるので微調整が必要になるでしょう。2022年に向けた新しいレギュレーションにあるコスト規制については、全く新しいものであり、今後さらに詳細が決定されると思います。去年の11月以来、7カ月間もレースをしていなかった状態から、一気にレースが再開されます。今回のように短期間に多くのレースが連続する場合、マシンの信頼性が重要になってきます。多くのレースが行われるので、関係者全員にとって厳しい時期になるでしょう。再開直後は激しい展開もあるでしょうし、私たちはチャンスを最大限に活かすことが重要になってきます。今年は異例の幕開けとなりますが、過去6年、圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するためには、それが必要なことなのかもしれません。フィルミングデーでマシンを確認することができたのはすばらしいことでした。なんのためにここまで頑張ってきたのか、自分たちの目標はなんなのかを思い出させてくれました。レースがスタートすれば、マシンとレースに集中することになります。すべてはコース上でなにが起こるかにかかっていると思っています。2020年はすばらしいシーズンになると思います。もちろん、ドライバーたちはレースの感覚が鈍った部分もあるかもしれませんが、彼らはプロですから、すぐに克服できるでしょう。レースは激しいものになるでしょうし、これまでとは少し違ったプレッシャーとダイナミクスがもたらされると思います。レースをとても楽しみにしていますし、チームは2013年以来の総合優勝を目指しています。開幕戦は全員が同じ条件で臨むことになるので、マックス・フェルスタッペンのプレッシャーは例年と変わらないと思います。シーズン前のテストではメルセデスが依然として好調でしたが、今年の私たちのマシンにはポテンシャルがあると感じていますし、期待しています。私は心からドライバーたちを信じ、勝利を祈っています。私たちは非常に強いチームです。メルセデスに挑戦するための設備とツールで、今年は勝利に導きたいと考えています。忘れられがちですが、アレクサンダー・アルボンは、F1ではまだ2年目のシーズンです。しかも、昨年はシーズン途中に移籍し、見事な活躍をみせました。彼はプレッシャーにとても強いように見えますし、昨シーズンの成績をさらに伸ばしてくれると思います。彼にはチャンスが巡ってくるでしょう。今年はさまざまな面からも、とても期待しています。シーズン前に行われたザントフォールトとバルセロナでのテストやモントリオールでの結果を踏まえ、マシンはさらにアップデートが行われています。シャットダウン後に得られた情報はすべてマシンに反映され、シャットダウン前に準備されていた状態から進化しているでしょう。ほかのチームもそうだと思います。私たちがオーストリアでどのポジションにいるかはまだ分かりません。また、PUのアップグレードもされています。6月初旬にファクトリーが再開されて以来、時間と勝負をしながら、マシンのあらゆる面で努力を重ねてきました。ホンダとの関係は2年目に入り、チーム内での一体感が増してきました。ホンダのデビューシーズンだった昨年は3勝を挙げましたが、今年はそれ以上を期待しています。彼らは私たちと同じ野心を持っています。オフシーズン中も懸命に開発を続け、もちろん今年はより高い目標を持って臨んでくれています。PUはマシンの重要な部分であり、ホンダは私たちが前進し、シリーズ制覇に挑戦するための重要なパートナーです」
関連:2020年 F1オーストリアGP テレビ放送時間&タイムスケジュール
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1オーストリアGP / スクーデリア・アルファタウリ