ホンダF1 田辺豊治 「表彰台セレモニーに遅刻した人はたぶん私が初めて」
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、F1オーストリアGPで表彰台に登壇した際のエピソードを語った。
今年からレッドブルへのF1エンジン供給を開始したホンダは、第9戦フランスGPで“スペック3”F1エンジンを投入。そして、レッドブルのホームレースとなる第10戦オーストリアGPでマックス・フェルスタッペンがF1復帰後初となる勝利をもたらした。
田辺豊治は、レッドブル・ホンダを代表してコンストラターズトロフィーを受け取ったが、国歌斉唱に間に合わなかった。
「第8戦フランスGPでスペック3にアップデートしたPUを投入した後に迎えた、第9戦オーストリアGP。35度近い外気温や600m超の標高などの諸条件にマックスの素晴らしい走りが加わり、ついに初優勝を飾ることができました。よく、『その時の気持ちを一言で』という質問を受けますが、いつも回答に困ってしまいます。率直に言えば『そうそう簡単に言葉では表せない気持ち』というところでしょうか。そのぐらい特別で、忘れられないレースになりました」と田辺豊治は振り返る。
「もう一つ、私自身にとって非常に特別だったことと言えば、マックスと一緒に表彰台に立たせてもらったことです。あのときは、レースが終わった後レッドブルのマルコさんに『タナベサン、表彰台に行くぞ』と言われたので一緒に向かいましたが、それがまさか自分が表彰台に登れと言われているのだとは思ってもみませんでした。その後、表彰台を下から眺めていたときに『何やってるんだ、ここじゃないぞ』と言われ、ようやく事態を把握した次第です」
「ただ、表彰台に案内するはずのFIAのスタッフもまさか私が登壇するものとは思っておらず、結果、裏で待たされる形となりました。そして国歌演奏後に、ようやく遅れて表彰台に上がりました。つまり遅刻したわけですが、F1のポディウムに遅刻した人は、これまでもなかなかいなかったのではないでしょうか・・・」
「ちなみに、マックスがホンダのHマークを指さしてくれたシーンは、このときの遅刻のせいで直接見られていませんでした。あの写真は後で見ることになったのですが、今後に向けてさらなる闘志を掻き立てられるものでした」
「PU(エンジン)サプライヤーが表彰台に登ったケースもあまり記憶にないのですが、あのときはレッドブルが格別の計らいをしてくれたのだと思っており、そこからも彼らからのホンダに対する強い信頼とリスペクトを感じました。そもそも、我々を信じて彼らがホンダのPUを載せる決断をしてくれたことが始まりです。そのことも含めてレッドブルとトロロッソにはとても感謝をしています。彼らとの信頼関係は、シーズンを追うごとに、そして成績を残すごとに、強くなっていったと感じます」
「表彰台から見る景色は、本当に特別なものでした。優勝した瞬間は当然のごとくとてもうれしかったのですが、表彰台に登るとわかったときからその喜びは消え失せ、一瞬にして緊張感の塊へと変わりました。それがまた、表彰台から下にいるホンダやレッドブルのメンバーを見たときに、一気に喜びがこみ上げてきました」
「これは余談ですが、あんなに大きなボトルでのシャンパンファイトも初めてで、ものすごい勢いでシャンパン飛び散っていくその噴出力に驚きました。あの後、何人かの人に『シャンパンファイト上手ですね』と冷やかし半分で言われたのですが、私としては正直表彰台で何をしていいのかもわからない状況のなか、マックスが『これがあなたのボトルだよ』と言ってくれたので、よくわからないままにボトルをもってシャンパンファイトをしたという感じです」
カテゴリー: F1 / ホンダF1
今年からレッドブルへのF1エンジン供給を開始したホンダは、第9戦フランスGPで“スペック3”F1エンジンを投入。そして、レッドブルのホームレースとなる第10戦オーストリアGPでマックス・フェルスタッペンがF1復帰後初となる勝利をもたらした。
田辺豊治は、レッドブル・ホンダを代表してコンストラターズトロフィーを受け取ったが、国歌斉唱に間に合わなかった。
「第8戦フランスGPでスペック3にアップデートしたPUを投入した後に迎えた、第9戦オーストリアGP。35度近い外気温や600m超の標高などの諸条件にマックスの素晴らしい走りが加わり、ついに初優勝を飾ることができました。よく、『その時の気持ちを一言で』という質問を受けますが、いつも回答に困ってしまいます。率直に言えば『そうそう簡単に言葉では表せない気持ち』というところでしょうか。そのぐらい特別で、忘れられないレースになりました」と田辺豊治は振り返る。
「もう一つ、私自身にとって非常に特別だったことと言えば、マックスと一緒に表彰台に立たせてもらったことです。あのときは、レースが終わった後レッドブルのマルコさんに『タナベサン、表彰台に行くぞ』と言われたので一緒に向かいましたが、それがまさか自分が表彰台に登れと言われているのだとは思ってもみませんでした。その後、表彰台を下から眺めていたときに『何やってるんだ、ここじゃないぞ』と言われ、ようやく事態を把握した次第です」
「ただ、表彰台に案内するはずのFIAのスタッフもまさか私が登壇するものとは思っておらず、結果、裏で待たされる形となりました。そして国歌演奏後に、ようやく遅れて表彰台に上がりました。つまり遅刻したわけですが、F1のポディウムに遅刻した人は、これまでもなかなかいなかったのではないでしょうか・・・」
「ちなみに、マックスがホンダのHマークを指さしてくれたシーンは、このときの遅刻のせいで直接見られていませんでした。あの写真は後で見ることになったのですが、今後に向けてさらなる闘志を掻き立てられるものでした」
「PU(エンジン)サプライヤーが表彰台に登ったケースもあまり記憶にないのですが、あのときはレッドブルが格別の計らいをしてくれたのだと思っており、そこからも彼らからのホンダに対する強い信頼とリスペクトを感じました。そもそも、我々を信じて彼らがホンダのPUを載せる決断をしてくれたことが始まりです。そのことも含めてレッドブルとトロロッソにはとても感謝をしています。彼らとの信頼関係は、シーズンを追うごとに、そして成績を残すごとに、強くなっていったと感じます」
「表彰台から見る景色は、本当に特別なものでした。優勝した瞬間は当然のごとくとてもうれしかったのですが、表彰台に登るとわかったときからその喜びは消え失せ、一瞬にして緊張感の塊へと変わりました。それがまた、表彰台から下にいるホンダやレッドブルのメンバーを見たときに、一気に喜びがこみ上げてきました」
「これは余談ですが、あんなに大きなボトルでのシャンパンファイトも初めてで、ものすごい勢いでシャンパン飛び散っていくその噴出力に驚きました。あの後、何人かの人に『シャンパンファイト上手ですね』と冷やかし半分で言われたのですが、私としては正直表彰台で何をしていいのかもわからない状況のなか、マックスが『これがあなたのボトルだよ』と言ってくれたので、よくわからないままにボトルをもってシャンパンファイトをしたという感じです」
カテゴリー: F1 / ホンダF1