フェラーリF1で苦戦のハミルトン レースエンジニアとの不協和音が顕在化
7度のワールドチャンピオンであるハミルトンは、2025年からスクーデリア・フェラーリへ移籍。しかし、メルセデス製エンジンのマシンでキャリアの大半を戦ってきた彼にとって、新天地での適応は容易ではない。中でも課題となっているのが、レース中のコミュニケーションだ。

イタリア紙『ラ・レプッブリカ』は、ハミルトンが開幕戦メルボルン以降、レースエンジニアのリカルド・アダミ(元セバスチャン・ベッテルおよびカルロス・サインツ担当)と幾度も衝突を繰り返していると報じた。

「ハミルトンとアダミの間の理解はいまだ噛み合っていない。開幕戦の日曜日から摩擦と緊張が続いている」と同紙は伝えている。

また、マイアミGP期間中、ハミルトンはSNS上で、かつての盟友であるメルセデスのレースエンジニア、ピーター・ボニントン(現キミ・アントネッリ担当)との思い出に触れた。ボニントンやアントネッリ、トト・ヴォルフが映る映像を見たというハミルトンは、「心が温かくなった」とし、「ボノは最高の存在だ」と称賛の言葉を送った。

こうした状況に対し、『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙のジャーナリスト、アリアンナ・ラヴェッリは「ハミルトンとフェラーリ、そしてアダミの組み合わせは、いまだに“バランスを欠いている”」と指摘。さらに、ハミルトンの加入自体が短期的な視点による決断だったのではないかと疑問を呈した。

「年齢を考えれば、フェラーリにとってこの移籍は短期的な賭けだ。今こそ“赤い新たなキミ(アントネッリ)”を夢見るべきだったのではないか」

10代の新星アントネッリとの契約を見送った件について、フェラーリ会長のジョン・エルカーンは「彼が40歳になった頃に」と冗談めかして語った。

一方、ラヴェッリ記者はチーム代表フレデリック・バスールの手腕についても厳しい視線を向けている。

「ビノット時代の終焉後、“バスールに料理を任せろ”というのがマラネロの合言葉だった。しかし、材料が悪かったのか、それとも料理人の腕が足りなかったのか」

マイアミGPでのアダミとの無線応答について問われたハミルトンは、自身の闘志が衰えていないことを強調し、こう語った。

「僕の中にはまだ闘う気持ちがある。勝利を望むこと、戦うことに謝るつもりはない」

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カテゴリー: F1 / ルイス・ハミルトン / スクーデリア・フェラーリ