アウディ、バーチャルレースで“替え玉”起用のダニエル・アプトを解雇  / フォーミュラE
アウディは、フォーミュラEの公式バーチャルレース『Formula E Race at Home Challenge』で自分の代わりにプロのシムレーサーを起用するという不正行為を行ったダニエル・アプトを“出場停止”にすることを発表。その後、ダニエル・アプトはそれが解雇通知であることを明らかにした。

ベルリンのテンペルホーフ空港を舞台に行われた『Formula E Race at Home Challenge』で、ダニエル・アプトはオリバー・ローランド(日産)、ストフェル・バンドーン(メルセデス)に次ぐ3位表彰台を獲得していた。

しかし、ダニエル・アプトはインタビュー中にカメラをオフにしたり、物を置いて顔を見えにくくしたりしたことで疑惑が浮上。フォーミュラEの技術者は、関連するドライバーのIPアドレスを相互に照会し、実際にはアウディの66号車を操作していたのは、プロシムレーサーのロレンツ・ヘーツィンクであったことが発覚した。

不正を認めたダニエル・アプトは、大会から失格となり、慈善団体への10,000ユーロの“強制寄付”を命じられた。また、ロレンツ・ヘーツィンクに関しては、併催されているプロシムレーサーによる『Race Challenge』への参戦禁止が言い渡されている。

フォーミュラEでアウディとパートナーシップを組んでいるアプト・スポーツラインの創設者であるハンズ・ユルゲン・アプトの息子であるダニエル・アプトは、2014年のフォーミュラEの開始以来、すべてのレースに参戦。各シーズン、アウディと1年契約を結んでいる。

だが、アウディは、今回のバーチャルレースでのダニエル・アプトの不正行為を重く受け止め、“出場停止”処分とすることを発表した。

アウディは「ダニエル・アプトは、5月23日のFormula E Race at Home Challengeの5回目のイベントで、予選とレースで自分のマシンを運転せず、プロのシムレーサーに操作させた」とコメント。

「彼は翌日にこのことを直接謝罪し、失格を受け入れた。完全性、透明性、適用されるルールへのコンプライスの遵守は、アウディの最優先事項だ。これは、ブランドが関与するすべての活動に例外なく適用される」

「この理由により、アウディ・スポーツは、ダニエル・アプトを直ちに出場停止とすることを決定した」

その後、ダニエル・アプトは、自身のYouTubeチャンネルに『My Formula E scandal statement』と題した15分間の動画を投稿。アウディのチームウエアは着用せず、アウディの声明が事実上の解雇通知であったことを認めた。

「僕たちはTwitch配信で今回のRace at Home Challengeのために練習していた…会話のなかでシムレーサーが基本的に僕に代わって運転して、他のみんなやリアルドライバーたちに彼の実力を示して、彼らと戦うチャンスに使ったら面白いことになるんじゃないかというアイデアが浮かんだ。僕たちははそれを文書化して、ファンのために面白いストーリーにしたかった」とダニエル・アプトは語った。

ダニエル・アプトは、替え玉として参戦したロレンツ・ヘーツィンクには言及しておらず、その行為が逆効果をもたらすとは予想もしていなかったし、このアイデアにお金は絡んでいないと付け加えた。

「結果を出すためために他のドライバーを運転させようとしたわけではないし、見栄えをよくするためにその後も黙っておくつもりではなかったと言っておくこともとても重要なことだ」

「土曜日にこのレースをドライブしたとき、他のドライバーはもちろんそれに反応していたし、何か奇妙なことがあることに気づいていた。僕はそれに気づいていた。彼れに秘密のままにしておくつもりはなかったし、考えてもいなかった。WhatsAppのグループにテキストメッセージを送っていくつかのヒントを与えたりしていた」

「レースを終えてすぐにそんなことでは終わらないことを認識したし、突然、夢の中でこれが起こるとは想像もできなかった方向に進んだ。このアイデアは行き過ぎたことだと理解している、僕たちは大きな間違いを犯した。僕はこの間違いを受け入れて、自分がやったことの結果をすべて支持するつもりだ」

「僕のバーチャルでの違反行為は当然の結果をもたらす。今日、アウディとの会話で、これで僕たちは別々の道を進んでいくことを知らされた」

「僕たちはもうフォーミュラEで一緒にレースをすることはない。協力は終わった。人生で感じたことのないような痛みだ」

「最後には一つだけ言いたい。人生で間違いを犯すこともあるだろう。僕はこれ以上深く落ちることはないように感じている。僕はどん底にいりうけど、再び再び起きるつもりだ」

ダニエル・アプトは彼の家族、友人、アウディ、フォーミュラE、ユニセフに謝罪して締めくくった。



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カテゴリー: F1 / フォーミュラE / アウディ