フェラーリF1 メルセデスはPU性能を隠している?開発ルール巡る駆け引き
フェラーリは、2026年F1シーズン序盤におけるメルセデス製パワーユニットの優位性を強く意識している。特に注目しているのは、単純な出力差だけでなく、追加開発機会を左右する評価制度のなかで、メルセデスが意図的に真の実力を見せ切っていない可能性だ。

今季の新レギュレーションでは、パワーユニットの絶対性能だけでなく、FIAが定めた追加開発・アップグレード機会制度への対応が極めて重要になっている。

フェラーリは、2026年F1シーズン序盤におけるメルセデス製パワーユニットの優位性を強く意識している。特に注目しているのは、単純な出力差だけでなく、追加開発機会を左右する評価制度のなかで、メルセデスが意図的に真の実力を見せ切っていない可能性だ。

今季の新レギュレーションでは、パワーユニットの絶対性能だけでなく、FIAが定めた追加開発・アップグレード機会制度への対応が極めて重要になっている。フェラーリは、メルセデスがこの制度をめぐる駆け引きの中で、フェラーリを開発対象ラインの外に留めようとしているのではないかとみている。

フェラーリが疑うメルセデスの“出し惜しみ”
開幕2戦までの内容から、冬の段階でささやかれていたメルセデス製パワーユニット優勢説には十分な根拠があったことが示されている。

特にワークスのメルセデスは、電力マネジメント面でも優位性を見せている。一方で、同じメルセデス製パワーユニットを使うマクラーレン、アルピーヌ、ウィリアムズは、その運用をまだ完全には使いこなせていない。

新レギュレーション初期には、大手メーカー勢が優位に立つのはある意味で当然でもある。ただし今季は、パワーユニットそのものの性能だけでなく、追加開発・アップグレード機会制度との兼ね合いで、どのように性能を管理するかが大きなテーマになっている。

FIAはオーストラリアGP以降、内燃エンジンがどれだけの出力を発生しているかを基準に、各メーカーの性能を比較する専用指数でパワーユニットを評価している。その比較対象となる現時点のベンチマークは、明らかにメルセデス製パワーユニットだ。

当初、この最初の評価チェックポイントは第6戦マイアミGP後に設定されていた。しかし、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止により、最初のリセットがいつ行われるのかは再協議の対象になっている。

フェラーリとメルセデスの争いは、この期限までにどこまで有利な立場を築けるかという点に集中している。

追加開発制度をめぐる駆け引き
エンジンメーカーは、基準性能に対してどの程度遅れているかによって、追加アップグレード機会を得られる。

基準から2%以上4%未満遅れていれば、今季中に1回、さらに2027年に1回のアップグレードが認められる。4%以上遅れていれば、今季に2回、2027年にも2回のアップグレードが可能になる。

実際には、この対象に入るには約20馬力の差が必要になるとされる。FIAは独自の手法で測定を行っているが、その分析メカニズムは公表していない。

そのなかでフェラーリは、メルセデスが本来の性能の一部を意図的に抑え、フェラーリが2%の閾値を下回らないようにして、追加開発制度の発動を防ごうとしていると考えていることで知られている。

アウディ、レッドブル・パワートレインズ、ホンダは、この制度による開発機会を得る可能性が高いとみられている。

もっとも、レギュレーション上はサンドバッギングを防ぐ仕組みもある。FIAは裁量で開発枠を取り消すことができるほか、各メーカーのテストベンチでシミュレーションを通じて数値を確認することも可能だ。

メルセデスについては、4チーム分の実走データをFIAが取得できる点も判断材料になる。

フェラーリは新しい内燃エンジンを準備か
この問題で最も興味深いのがフェラーリの立場だ。マラネロでは新しい内燃エンジン仕様の開発が進められているとされており、現行性能では最高レベルで戦うには不十分だと判断していることを示している。

フェラーリは、自分たちのパワーユニットが少なくともメルセデスより15馬力ほど低いと見積もっており、最低でも2%、場合によっては4%の範囲で追加開発対象になる可能性が高いとみている。

一方で、メルセデスが出力を抑えている理由は、単純な政治的駆け引きだけではない可能性もある。信頼性面にまだ懸念があり、ピークパワーの使用を保守的にしている可能性もあるからだ。

それでもオーストラリアと中国では、メルセデスのW17がピークパワーをより長く維持できる強みを示した。エネルギー回生効率が高いため、全開走行中にバッテリーを充電するためのスーパークリッピングの必要性を減らせていることが、その背景にある。

フェラーリにとって追加開発資格を得られることは重要だ。パワーユニット技術責任者のエンリコ・グアルティエリ率いるグループは、最大の弱点が内燃エンジン側にあると考えており、新しい内燃エンジン開発を進めるためにも、その権利が必要になる。

シャシー性能ではフェラーリ優位との見方も
これまでのところ、フェラーリ製パワーユニットはグリッド上で2番手の存在とみられている。ただし効率面でのメルセデスとの差は明確であり、その一方でSF-26は空力面ではグリッド最良のマシンのひとつとの評価もある。

フレデリック・バスール代表が、フェラーリはアップグレード条件を満たす見通しだと示唆していることを前提に、仮にその差が資格取得に必要な最低ラインである2%だとする。そして開幕2戦でのフェラーリの“スーパ―タイム”がメルセデス比で100.948%だったことを当てはめると、シャシー性能自体はメルセデスより約1%優れている計算になる。

ただしマラネロ内部では、通常条件では2026年の大半のサーキットでメルセデスのほうが速いという認識が定着しているようだ。つまりフェラーリにとって今季は実質的に移行期間であり、2027年に勝利を争うには新しいエンジンが不可欠ということになる。

モンツァでの走行が意味するもの
フェラーリは来月、モンツァで200kmのフィルミングデーを実施する予定だ。バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって生まれた空白期間を利用し、第4戦マイアミGPの前に走行する見込みとなっている。

このサーキットを選んだのは、カレンダーの中でもとりわけエネルギーマネジメントが厳しく問われるコースで、さらなるデータ収集を進める狙いが明確だからだ。

もしシーズン序盤から追加開発対象になることができれば、フェラーリは熱効率側の対策を前倒しで進め、2026年終盤にその成果を実戦で評価することが可能になる。

現時点では、フェラーリが4%以上の大幅な遅れに該当する可能性は低いとみられている。その領域に入る可能性が高いのは、レッドブル・パワートレインズ、アウディ、そして当然ホンダだと考えられている。

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カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ / メルセデスF1