フェルシュホー 「多くの新しいF1ファンはモータースポーツを理解していない」
トップレベルのフォーミュラレースに新しく加わった多くのファンは、「モータースポーツという競技がどのように成り立っているか」を理解していない。そう語るのは、FIAによるオンライン中傷対策の最新の事例の中心にいるF2ドライバー、リチャード・フェルシュホーだ。

F1におけるジャック・ドゥーハンや角田裕毅への中傷騒動に続いて、2人のF2ドライバーが新たに激しいネット上の誹謗中傷の標的となっている。

最近モナコで発生した1周目の多重クラッシュのあと、アレックス・ダンはスマートフォンからすべてのSNSアプリを削除するに至り、バルセロナでの記者会見ではこの問題に触れる際に目に見えて感情をあらわにしていた。

さらにバルセロナでは、リチャード・フェルシュホーがアービッド・リンドブラッドとの接触の直後、「5分以内」に受け取ったという脅迫メッセージの一部を公開。その中には殺害予告も含まれていた。

「“フェルシュホー、お前は逃げろ、ナイフ持って追いかけてやるからな”ってね」と、フェルシュホーはZiggo Sportのインタビューで、送られてきたメッセージの一例を読み上げた。

「もちろん、こんなのは望ましいことじゃない」と彼は笑いながら言った。

だが彼は、こうした新たなファン層がモータースポーツという競技を根本的に誤解していると、より真剣な口調で指摘した。

「今の時代、誰かドライバーを応援するってことは、そのライバルを憎むことだと思われている。自分としては、それは間違っていると思う」と、オランダ出身でマックス・フェルスタッペンとも親しいフェルシュホーは語った。

「モータースポーツが他のスポーツと違って素晴らしいのは、“ホームとアウェー”という構造がないことだと思う。スタンドにいる誰もが、レッドブルやマクラーレン、フェラーリのグッズを身に着けていて、それでも同じ空間に共存している」

「だから、もっと良い雰囲気だって可能なはずなんだ」

今回の中傷騒動を受けて、F1、F2、F3は合同で声明を発表し、「いかなる形であれ、虐待や嫌がらせを強く非難する」と表明した。

「我々は、SNSプラットフォームに対してこうした問題を継続的に通報・報告し、行動し続けていく」と声明は続けた。「この競技の中心にいるのは、紛れもない“人間”だ」

一方でフェルシュホーは、こうした中傷に対してドライバー側が自由に反論できない状況に不満を示した。

「僕らが何か言おうとすると、すぐに止められてしまう。悪いことをしているのはこっちじゃないのに。こういうことに触れること自体が、さらなるヘイトを招く可能性があると言われてね」

フェルシュホーは、多くのファンが中傷の“本当の影響”を理解していないと考えている。

「たまたまF2で今ランキング1位のアレックス・ダンの隣に座っていたとき、記者会見でいくつかの厳しい質問が投げかけられて、彼は泣き出してしまった。モナコでのクラッシュの後、彼に届いたメッセージのことを思い出させられたんだろう」

フェルシュホー自身は、他の一部ドライバーよりも中傷への耐性があると語る。

「あいつ(ダン)はまだ19歳なんだ。こういう若いドライバーも多い。そんな彼らが受け取っているメッセージの内容は、正直、異常だし、度を超えている」

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カテゴリー: F1 / FIA F2