F1:スーパーライセンスの資格と発行条件
レーシング・ポイントF1のセルジオ・ペレスが新型コロナウイルスに感染したことを受け、昨年末でF1を離れていたニコ・ヒュルケンベルグが急遽代役参戦。その際、スーパーライセンスの発給条件が再び話題となった。

2015年にマックス・フェルスタッペンがF1史上最年少となる17歳でF1デビュー。低年齢のF1デビューは論争となった。

そして、翌年からF1に参戦するには18歳以上で有効な運転免許を持ち、40ポイント以上のスーパーライセンスポイントを獲得しなければならないという“フェルスタッペン・ルール”が生まれた。

今回のニコ・ヒュルケンベルグの代役参戦の背景には、メルセデスのリザーブドライバーであるエステバン・グティエレスにスーパーライセンスの資格がないという状況も関係していた。ここで改めてFIA国際モータースポーツ競技規則付則L項に記されているスーパーライセンスの資格と発給条件を確認してみる。

第5条 スーパーライセンスの資格と発給条件
FIAフォーミュラワンのスーパーライセンスはFIAによって発給される。

5.1) 資格
5.1.1
ドライバーは、現行のFIA国際グレードAライセンスの所持者でなければならない。

5.1.2
スーパーライセンスの初回申請の際、ドライバーは有効な運転免許証の所持者でなければならない。

5.1.3
ドライバーは、最初に参加する週末のF1レースの開始時点で、少なくとも18才でなければならない。

5.1.4
a)スーパーライセンスの初回申請の際、または本条項5.1.6 c)に基づきスーパーライセンスを申請する際は、ドライバーは国際スポーツ競技規則、およびF1競技規則の最重要事項に関する質問セッションを成功裡に修了しなければならない。
b)すべてのF1スーパーライセンスの要請においては、当該F1チームは、国際モータースポーツ競技規則およびF1競技規則の最重要事項についてのブリーフィングをドライバーとともに開催したことをF1スーパーライセンス申請書を介して証明しなければならない。

5.1.5
ドライバーは、付則1にあるいずれかのシングルシーターの選手権での、2つのフルシーズンにおいて、各々少なくとも80%に参戦していなければならない。

5.1.6
更にドライバーは、以下の必要条件の少なくとも1つを満たさなければならない:
a)少なくとも40ポイントを累積する。FIAは次のいずれかで累積したポイントのいずれか高い方を考慮する(a)申請日直前の3カレンダー年間、あるいは(b)申請の年に完了した選手権で累計したポイントに加えて申請日直前の2カレンダー年間。選手権大会とポイントは付則1に掲載される。
b)過去3シーズンの間にスーパーライセンス(練習専用のスーパーライセンスは除く)が与えられたことがある。
c)過去3シーズンの間より前にスーパーライセンス(練習専用のスーパーライセンスは除く)が与えられたことがある。この場合、ドライバーは、シングルシーターのフォーミュラ車両において、近年中に一貫して突出した才能があるとFIA で判断されなければならない。当該F1チームは申請に先立つ180日以内に申請者が相当とするフォーミュラワンの車両(1)で、最低300kmをレーシングスピードで最大2日間の間に走行していることを、テストを行った国のASNが証明されるか、FIAフォーミュラワン世界選手権ドライバー部門対象のイベント中に申請者が行ったことを示さなければならない。ドライバーがヒストリックカーで最低300kmを走行したという場合、当該F1チームは、F1スーパーライセンス申請書式にて、当該ドライバーがすべての関連する現行車両の制御とシステムについて正しく習熟するためのブリーフィングを行ったことを証明しなければならない。
(1)現行車両、以前の車両あるいはヒストリックカーはF1競技規則で定められたもの。

5.2) 練習専用のスーパーライセンスの取得要件
5.2.1
ドライバーは現在有効なFIA国際グレードAライセンスを保有していなければならない。

5.2.2
練習専用のスーパーライセンスの初回申請の際、ドライバーは有効な運転免許証の所持者でなければならない。

5.2.3
ドライバーは、最初に参加する週末のF1レースの開催時点で少なくとも18才でなければならない。

5.2.4
a)練習専用のスーパーライセンスの初回申請時ドライバーはFIAフォーミュラ2選手権の6つの競技会を完了しているか、前の3年以内で累積25ポイントを獲得していなければならない。さらにドライバーは国際モータースポーツ競技規則およびF1競技規則の最重要項目に関する質問セッション を成功裡に終了させなければならない。
b)すべての練習専用のスーパーライセンスの要請においてドライバーは、FIAフォーミュラ2選手権のフルシーズンを完了しているか、前の3年以内で累積25ポイントを獲得していなければならない。さらに、当該F1チームは、国際モータースポーツ競技規則およびF1競技規則の最重要事項についてのブリーフィングをドライバーとともに開催したことを、F1スーパーライセンス申請書を介して証明しなければならない。

5.2.5
ドライバーは、シングルシーターのフォーミュラカーで突出した才能があることを示し、FIAにより全員一致で認められた者。当該F1チームは、申請に先立つ180日以内に申請者が相当とするフォーミュラワンの車両(1)で、最低300kmをレーシングスピードで最大2日間の間に走行していることを、テストを行った国のASNが証明していることを示さなければならない。ドライバーがヒストリックカーで最低300㎞を走行したという場合、当該F1チームは、F1スーパーライセンス申請書式にて、当該ドライバーがすべての関連する現行車両の制御とシステムについて正しく習熟するためのブリーフィングを行ったことを証明しなければならない。

5.2.6
ドライバーは12ヵ月は試行期間とされ、練習専用のスーパーライセンスは仮所持であり、いつでも再審査を受けることになる。
(1)現行車両、以前の車両あるいはヒストリックカーはF1競技規則で定められたもの。

5.3) 申請手順
a) 申請者が参戦しようとする最初のFIAフォーミュラワン世界選手権競技の車両検査の14日前までに申請を完了しなければならない。やむを得ない理 由により選手権のドライバー交代をする場合は、その競技の最初の車両検査が始まる48時間以上前にFIAに申請が受理されていなければならない。
b) 現有の競技ライセンスを発給したASNは、ドライバーの競技記録、現有の国際Aライセンスナンバーとともに特別な推薦状を一緒に提出しなければな らない。
c) ドライバーは、完璧なスーパーライセンス申請書をFIAに提出しなければならない。 d) 年間のスーパーライセンス料金がFIAに支払われていなければならない。
 
5.4) 発給条件
5.4.1
5.1)あるいは5.2)および5.3)の条件を満たしていれば、FIAはスーパーライセンスを発給する。

5.4.2
スーパーライセンスは発給した年の末日まで有効である。

5.4.3
スーパーライセンスを取得したドライバーについて、見習い期間である初のフォーミュラワンレースの後12ヵ月の間は、いつでも再審査が行われる。

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カテゴリー: F1 / F1ドライバー