2025年F1 オーストリアGP:知っておくべき統計・トリビア・洞察

今回はこのレースに向けて、統計データ、ドライビング上の注目ポイント、戦略面の傾向、そして勢力図の最新動向まで、決勝前に押さえておきたい重要情報を一挙に紹介する。
■基本統計
初開催グランプリ – 1964年(ツェルトヴェク)
コース全長 – 4.326km
ラップレコード – 1分05秒619、カルロス・サインツ、マクラーレン、2020年
最多ポールポジション – マックス・フェルスタッペン(4回)
最多優勝 – マックス・フェルスタッペン(4回)
豆知識 – オーストリアのレッドブル・リンクは、F1カレンダーで最もコーナー数が少ない(全10コーナー)
ポールからターン1ブレーキングポイントまでの距離 – 233メートル
2024年のオーバーテイク数 – 85回
セーフティカー出動確率 – 38%
バーチャルセーフティカー出動確率 – 50%
ピットストップでのロスタイム – 20.3秒(2.5秒の停止時間を含む)

■ドライバーの見解
元ルノーF1ドライバーのジョリオン・パーマー:「オーストリアは絵のように美しいサーキットで、本当に起伏がある。それがドライブしていて楽しく、特徴的なものにしている。
縁石には気を付けなければならない。縁石にまたがったり、荒い縁石に乗り上げたりすると、クルマにダメージを与える可能性がある。でも、それを除けば、このサーキットは短く比較的シンプルだが、隠れたテクニカルな要素がある。
ターン1はいつも思っているより速いが、第1セクターではブレーキングが重要だ。ターン4は下り坂のブレーキングゾーンで、ミスしやすいポイント。多くのドライバーがそこの立ち上がりでグラベルにはまる。
ターン3とターン4ではオーバーテイクがたくさん見られるし、後半の流れるようなセクションもとても良い。展開が非常に速く感じられるサーキットのひとつで、コクピットではほとんど息つく暇もないGPなんだ。」
■過去5回のオーストリアGPポールシッター
2024年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2023年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2021年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2020年 – バルテリ・ボッタス(メルセデス)
■過去5回のオーストリアGP優勝者
2024年 – ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2023年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年 – シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2021年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2020年 – バルテリ・ボッタス(メルセデス)

■タイヤと戦略の洞察
「チームが使用できるコンパウンドの選択肢は昨年と同じで、C3がハード、C4がミディアム、C5がソフト」とピレリの週末プレビューには記されている。「レッドブル・リンクの路面はかなり古く、非常に粗いが、摩耗は主な問題ではない。
コーナーが非常に少ないため、タイヤにかかる横方向の負荷は大きくない。一方で、デグラデーション(性能低下)は主に熱起因で、これは数々の激しいブレーキングと加速ポイントを持つレイアウトによる。
リヤアクスル(後輪側)のタイヤのオーバーヒート管理は大きな課題。また、この時期は気温と路面温度が非常に高くなる可能性がある」
戦略面についてタイヤメーカーは次のように付け加える:
「昨年のレースは、少なくとも最初の3分の2までは非常に直線的だった。
予想通り、最も効果的だったのは2ストップ戦略だった。3回以上ピットインしたマックス・フェルスタッペン、シャルル・ルクレール、フェルナンド・アロンソ、ローガン・サージェントは、いずれも想定外の事情によるものだった。
グリッドに並んだ全ドライバーがミディアムタイヤを履いてスタートしたが、ピットレーンからスタートした周冠宇だけはハードを選択した。
このレースでの主役は間違いなくC4とC3だった。C5は終盤にのみ登場し、フェルスタッペンが不可避なピットストップ後に残り7周で装着したほか、アロンソもファステストラップを狙って使い、実際にそれを記録した。」

■現在の勢力図
表面的には、カナダGP後の選手権争いに大きな変化はなかった。オスカー・ピアストリがドライバーズランキングのトップを維持し、マクラーレンはコンストラクターズ選手権で大きなリードを保っている。
だが、モントリオールで起きたピアストリとランド・ノリスの衝突など、タイトル争いに影響を与えるトピックがいくつか浮上した。
ノリスは直ちにこの接触の責任を認め、チーム代表アンドレア・ステラからもその姿勢は評価された。しかし、彼がチャンピオン争いでさらに差を広げられないためには、今週末のオーストリアで巻き返しが必要だ。
一方、メルセデスはカナダで今季最高の成績を収め、ジョージ・ラッセルがポールポジションから優勝を果たした。この結果、フェラーリから2位の座を奪い返したが、スクーデリア・フェラーリが不調の週末を経て反撃できるか注目される。
また、マックス・フェルスタッペンは、レース出場停止が科されるまで残り1ポイントという状況が続いているが、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでの週末をクリーンに過ごしたことで、こうしたプレッシャーに影響されていない様子を見せた。彼は依然としてドライバーズ選手権3位に位置している。
中団争いでは、ウィリアムズがチームランキング5位を堅持しているが、後方の差は急速に縮まっており、6位のハースから9位のキック・ザウバーまでの差はわずか8ポイントだ。今週末、このいずれかのチームが重要なポイントを加算できるかが見どころだ。
■名場面
1999年のオーストリアGPは、それ自体がすでに異例の週末だった。ミハエル・シューマッハが足の骨折により欠場し、エディ・アーバインがフェラーリのエースとしてマクラーレン勢に挑む立場となっていた。
予選では明らかにミカ・ハッキネンとデイビッド・クルサードに遅れをとっていたアーバインだったが、ターン3での劇的な接触が彼にチャンスを与える。クルサードがチームメイトのハッキネンに接触し、スピンさせたのだ。これにはマクラーレンのピットも落胆を隠せなかった。
その後、クルサードにはさらに悪い展開が待っていた。戦略の展開の中でアーバインに追いつかれ、オーバーテイクされたのである。これによりフェラーリのアーバインはタイトル争いに弾みをつけ、クルサードは謝罪。ハッキネン(その年の最終的なチャンピオン)は3位に滑り込む形となった。
カテゴリー: F1 / F1オーストリアGP