アウディF1 メルセデスのADUO優位性に疑問「巧みに制度を利用した可能性」

ビノットは、メルセデスが実際の性能を十分に発揮しないことで制度上の恩恵を受けた可能性があると示唆。一方で、アウディは開発ロードマップを長期視点で進める方針を明らかにしており、ホンダやアストンマーティンも頻繁なアップデートを避ける戦略を採用している。
メルセデスはADUO制度を巧みに利用したのか
FIAのADUO制度では、基準となるパワーユニットより性能が劣るメーカーに追加の開発機会が与えられる。
FIAの評価では、レッドブル・フォードの内燃エンジン(ICE)がベンチマークとなり、メルセデス、フェラーリ、ホンダ、アウディがそれぞれ開発支援の対象となった。
しかしビノットは、メルセデスの実力はレッドブル・フォードに劣らないとの見方を示した。
「誰もがレッドブルのエンジンが優れていることは知っていた。しかし、メルセデスのエンジンも決して劣っているわけではない」
「おそらく信頼性などの理由で、そのポテンシャルを十分に引き出していなかったのだろう。その結果、巧みにADUOの恩恵を確保した可能性がある」
さらにビノットは現行制度そのものにも疑問を投げかけた。
「優位性を得てしまえば、それ以上開発を続ける理由がなくなってしまう。それが現行レギュレーションの限界だ」
「追加アップグレードはシャシーのようなランキング方式で配分すべきだ。そうすれば隠しようがなくなる」
アウディは2027年を見据えた開発計画
アウディはすでにADUOによる最初のアップグレードをバルセロナ・カタルーニャGPで投入。改良型ターボチャージャーを中心とした仕様変更によってドライバビリティの改善を図った。
ただし、レーシングディレクターのアラン・マクニッシュは、大規模な次のアップデートは来季になる可能性が高いと説明している。
「自分たちの現在地は把握している。初めて開発したパワーユニットは非常に堅牢で、初期の問題もすでに解消された」
「バルセロナで導入したような変更は小さいが重要なものだった」
2026年中の次なるADUOアップグレードについて問われると、次のように語った。
「おそらく本当の意味での次のステップは2027年になるだろう」
ホンダも小刻みな開発より長期戦略を重視
ホンダも2026年に2回のADUOアップグレードが認められているが、小規模な改良を繰り返すのではなく、中長期的な開発を優先する姿勢を示している。
HRCの折原慎太郎 チーフレースエンジニアは、最初のアップグレードについて次のように説明した。
「今回のパッケージでは数多くの改良を盛り込みました」
その上で、今後の方針についてこう明かした。
「夏休み以降は来年に向けた別の戦略があります。小さなアップデートを積み重ねるのではなく、パフォーマンス向上に向けた長期的なロードマップを描いています」
「それまでは、新しいパワーユニットを投入する前に、戦略の最適化を続けていく必要があります」
アストンマーティンも大型アップデートを待機
ホンダのワークスパートナーであるアストンマーティンも、他チームのような頻繁なアップデート競争には加わらず、エイドリアン・ニューウェイ主導による大型パッケージ投入を待つ戦略を維持している。
チーム代表のマイク・クラックは、ライバルの開発競争を意識していないと語る。
「自分たちのチームだけでも十分忙しいので、他チームの動向はあまり気にしていない」
「彼らが今のペースで開発を続ければ、いずれ新車開発へ移行しなければならないことは誰もが分かっている。ただ、他チームがどんな戦略を採っているかは分からない」
現在アップグレードを待つ状況についても、必要以上に悲観していない。
「これは心理的な問題に過ぎない。私たちは他チームの80~90%のレベルには達しており、それほど大きく離されているわけではない。トンネルの先には光が見えている」
「現状の仕様であと2戦を戦うことになる。もちろん悔しさはあるが、それが私たちの選んだ道だ」
ADUO制度を巡っては、メルセデスの開発戦略に疑問を投げかけるビノットの発言が注目を集めた一方、アウディ、ホンダ、アストンマーティンはいずれも短期的な性能向上より長期的な開発計画を重視する姿勢を示している。限られた開発機会をどのように活用するかは各メーカーで大きく異なっており、その判断が2026年シーズン後半から2027年にかけての勢力図を左右する重要な要素となりそうだ。
カテゴリー: F1 / アウディ
