ニューウェイが悩み抜いた2026年F1マシン サスペンションの重要性

2025年シーズンからアストンマーティンのチーム代表を務めるニューウェイは、2026年F1シーズンに向けた新車AMR26の開発を主導してきた。
AMR26のサスペンションはニューウェイとアストンマーティンにとって重要な検討事項
AMR26は、ニューウェイが昨年レッドブルから電撃移籍して以降、初めて手がけるマシンとなる。また同時に、ホンダとの新たなテクニカルパートナーシップの船出を象徴する1台でもある。
ニューウェイとホンダという2つの大型加入によって、2026年F1でのアストンマーティンには高い期待が集まっている。2026年はシャシーとパワーユニットのレギュレーションが全面刷新され、電動化比率50%、完全持続可能燃料、アクティブ・エアロダイナミクスが導入される節目の年だ。
AMR26は、来週バルセロナで行われる2026年F1最初のプレシーズンテストで、初めてサーキット走行を行う予定となっている。
このスペインでのテストは1月26日から30日までの5日間にわたって実施され、各チームは最大3日間までの走行に制限される。
その後、アストンマーティンは2月9日に2026年F1マシンを正式発表し、バーレーンで行われる最終2回のプレシーズンテストに臨む。
2026年F1開発初期トレンドとして注目されるサスペンション選択
ここ数週間、各チームが採用するサスペンション形式は、2026年開発初期のトレンドとして注目を集めている。
今月初めに行われたアウディのシェイクダウンでは、同チームの2026年F1マシンにダブル・プッシュロッド式サスペンションが確認された。さらに先週には、レッドブルとレーシングブルズもショーカーやレンダリングで同様のアプローチを示している。
また、フェラーリも新型SF-26の前後いずれかにプッシュロッド式サスペンションを採用するとの報道が続いており、このマシンは金曜日に正式発表される予定だ。
2026年に向けてF1がグラウンドエフェクト主体の車両設計から離れることで、プッシュロッド化が容易になるとされ、他チームも今後のローンチシーズンで同様の選択に踏み切ると見られている。
しかし、ニューウェイはAMR26のサスペンション選択について、最後まで頭を悩ませていたとされる。
伊メディア「アウト・レーサー」は、アストンマーティンのチーム代表がマシン開発の「可能な限り遅い段階」まで、サスペンションの最終決断を保留していたと報じた。
サスペンション設計におけるニューウェイのこだわり
サスペンションは近年のニューウェイにとって極めて重要な要素だ。2022年には、レッドブルRB18の前後サスペンションを自身が設計したことを明かしている。
この専門性により、レッドブルは同年のグラウンドエフェクト初年度に多くのチームを苦しめたポーパシング現象の影響を、最小限に抑えることができた。
その結果、レッドブルは2022年にコンストラクターズとドライバーズのダブルタイトルを獲得し、マックス・フェルスタッペンは当時の最多記録となる15勝を挙げた。
アストンマーティンの2026年サスペンション選択が難航した背景には、昨夏に加入した元フェラーリのテクニカルディレクター、エンリコ・カルディレの存在もあると見られている。
カルディレが在籍していたフェラーリでは、グリッド上の他チームが次々とプッシュロッドへ移行する中、フェラーリとカスタマーチームのハースF1チームだけが、長期間プルロッド式リアサスペンションを使い続けていた。
フェラーリの2024年マシン発表時、カルディレはプッシュロッドとプルロッドを直接比較しても「顕著な性能差は見られなかった」と説明している。
ニューウェイが明かした「24時間ルール」
ニューウェイは2017年の著書『How To Build A Car』の中で、レッドブル時代に導入した独自の判断プロセスについて明かしている。
いわゆる「24時間ルール」と呼ばれるこの制度では、新たなアイデアが提案されると、最低24時間は結論を出さず、徹底的に議論を重ねる。
「24時間経っても成立するか? 答えがノーならゴミ箱行きだ」とニューウェイは記している。
その後、スケッチから製図、3D化、風洞実験へと進み、結果次第で採用が判断されるという流れだ。

2026年に向けた慎重な姿勢
ニューウェイは、過去30年にわたるF1キャリアの中で、大きなレギュレーション変更を成功に結びつけてきた。一方で、2026年開幕時にアストンマーティンが一気にトップ争いへ躍進する可能性については、昨年の時点で慎重な見方を示している。
モナコGPでの初の現地参加時、ニューウェイはアストンマーティンのシミュレーションツールを「弱い」と表現し、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーターについても「まったく相関していない」と警鐘を鳴らした。
その後、チームは改善に着手し、ニューウェイの元同僚であるジャイルズ・ウッドをシミュレーションおよび車両モデリング部門の責任者として招へいしている。さらに、昨年11月にはフェラーリ黄金期を支えたシミュレーションの専門家、マルコ・ファイネッロもコンサルタントとして迎え入れた。
同様の懸念は、シーズン終了後にランス・ストロールからも示され、「現時点ではトップチームになるためのすべてのツールが揃っていない」と語っている。
ホンダ側も慎重な構え
2026年はホンダにとっても、2021年末の公式撤退以来となる本格的なF1復帰の年となる。ただし、その判断の揺り戻しにより、開発準備では他メーカーに後れを取っている可能性も指摘されている。
ホンダ・レーシング・コーポレーションの社長、渡辺康治は今月、「すべてが順調というわけではない」と認めている。
「正直に言えば、うまくいっていない部分も多く、苦労している領域はある。しかし、乗り越えられない致命的な問題は起きていない」
「アストンマーティンはエイドリアンのビジョンを反映したマシン作りを続けたいと考えている。我々としても、それにどう適応していくかを見極める段階にある」
「それが競争力向上につながり、勝利に近づくのであれば、我々は必要なことをすべてやるつもりだ」
AMR26のサスペンション選択は、ニューウェイの哲学、アストンマーティンの体制、そしてホンダとの協業が交差する、2026年F1の成否を左右する重要な分岐点となりそうだ。
Source: PlanetF1
カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム
